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Artist Press Vol. 8 > Feature: massA: 佐藤正治

massA: 佐藤正治インタビュー
特別企画「ジェンベ魂」 (By 佐藤正治)
LIVE Report: "Creole a massA VII "龍飛 〜tappi〜 LIVE




特別企画「ジャンベ魂」



文=massA:佐藤正治



この間、僕のソロアルバム「龍飛〜tappi〜」関連の記事をこのサイトに載せてくれるということで、インタビューを受けた。grobal-artist.netさん、どうもありがとうございます。

インタビュー後の雑談で、「ジャンベについて執筆していただけませんか?」という話になった。僕はジャベ好き。二つ返事でOK。でも、僕は楽器の研究家ではない。一応、打楽器の辞典で“Djambe”を調べてみると....おや?載っていないじゃないか!昭和54年初版のこの辞典には、ジャンベが載っていない....アカデミックな打楽器やいろいろな国の民族打楽器、はては“拳銃の音”“コオロギ”まで載っているのに...この本は何なんだぁぁぁぁぁ!

まあ、僕のジャンベ感ってことで、始まり始まり。

ジャンベ:ジンベ、ジェンベと言う人もいるね。アルファベットで書くと、"Djambe" "Djembe"。ちなみに僕は「ジャンベ:Djambe」って呼んでいる。 西アフリカ諸国に分布する打楽器(膜皮楽器)で、くり抜かれたゴブレット型の木の上部に、なめされた山羊の皮を直径2〜3mmのひもで張ってある。

僕は、ギニア、セネガル、マリの楽器を何種類か叩いたことがあるけれど、同じジャンベという楽器でも、固体差とは別に、それぞれの国の音がある。音の違いに関しては、「龍飛 〜tappi〜」のレコーディングの時に行った、パリの楽器屋の兄ちゃんもそう言っていた。「当ったり前だぜ!!」って感じで....だから、俺もそう思ってるって。

その時に見つけた素晴しいジャンベ2台:マリとセネガルのもの。悩んだ末、セネガルのものを手に入れた。めちゃいい音してる。

地下鉄に乗ってスタジオに戻り、即レコーディング。アルバムの3曲目「The forbidden」という曲で叩いているので、チェックしてみて下さい。ちなみに、その時に手に入れた、真っ赤なツボ(Udu pot)も数曲でプレイしてる。こっちもいい音で録れてマス。僕はツボ好きでもある。





「ドンベックを上に乗せたジャンベ」(某スタジオにて)



話をジャンベに戻そう。

僕がジャンベという楽器を初めて叩いたのは、もう15年以上前のこと。

「なんて深い音のする楽器なんだろう!」 が第一印象。

少し、いじるうちに、 「なんていろいろな音を出すことができる楽器なんだろう」となる。

当時のものは、ドイツ経由で日本に入って来るものがほとんどだった。扱っている楽器屋もそう多くはなかったけれど。その後、フランス経由の楽器が多くなって、今は、アフリカ直輸入のものも多いな、たぶん。それ以前にも、個人がアフリカに行って手に入れたものなどはあった。でも、まだまだ、アフリカ民芸品的な扱いのものが多かったように思う。

いずれにしろ、楽器だからといって、必ずしも楽器屋で手に入れることはない。実際、僕の持っているジャンベのうち2台は、毎年近所で開かれる大骨董市で手に入れたもの。露店商のおっちゃんと市場トークをするのも楽しいしね。ようは、いい音がすれば良いのだ。

とは言え、楽器を選ぶ時に大切なことを一つ。少しだけ色の濃いラインが打面の中央を真直ぐ走っているのを確認。これは、背骨のライン。皮の均一性(音質、耐久性にも繋がる)という意味でも、このことは大切。覚えておいて損はない。


さて、次は奏法ね。奏法は、おおまかに分けて3種類。

1. 掌で打面の中央を叩く。 ド〜〜ンという深い音がする。
2. 打面の縁から手の平の前面、半分強を使って叩く。 トン、パン、ポン的な音
3. 打面の縁に近い部分を指の部分を使って叩く。 カ〜ンッ!的な、気持ち良く抜ける音

う〜ん、文だけで表現するのは難しいな。その辺は、「ジャンベフォラ」という映画の中に、名人が子供達や弟子に基本を教えるシーンがあるので見ると良いのだ。(この映画は1993年に日本でも初上映された。最近も時々やっているようなので要チェック。もちろん映画としても面白いし、凄い)
僕はジャンベを誰にも習ったことはないので、基本的な3つのテクニックは、この映画で知った。

他の楽器の例にもれず、上記の基本的な奏法以外にも、個人があみ出したものも含め、たくさんの奏法がある。それぞれ、研究してみて下さい。

最近は、大きな公園に行くと必ずと言ってよいほど、誰かがジャンベを叩く音が聴こえてくる。カルチャーセンターのようなところにもジャンベ教室があったりする。そんなところに“コンガ教室”や“トーキングドラム教室”なんていう、単一打楽器の教室なんて無いもんね。

それほど小さくはないこの楽器が、日本に住む一般の人々の間で、これ程、ポピュラーになるなんて、誰が想像しただろう。噂によると、名前も知らない人どうしが、どこからともなく集まって、演奏が終わるとまた無言で去って行く、という集団もあるらしい。それは、別の意味でも興味深いけれど...。

同じフレーズを大勢で同時に演奏できる楽しさ(これはある種、和太鼓にも通じるところがあるね)それから、股の間に挟んで演奏するという奏法上、響きや振動が体に直接伝わって来る気持ち良さもあるんだろう。理由はたくさんあるな。

何にせよ、いいことだ。みんなで叩いて幸せになろ。

アルバム「龍飛 〜tappi〜」もよろしく!





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