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Artist Press Vol. 13 > 鶴谷智生

鶴谷智生インタビュー
機材紹介
ライブレポート

mini REPORT

sclap at JIROKICH (2003.12.13)
クリヤ・マコト TRIO at 青葉台東急 (2003.12.21)
Shiro Sasaki Caoba Big Band 年末スペシャル at Blues Alley Japan (2003.12.27)
バカボン鈴木セッション at Blues Alley Japan (2004.1.9)
INFINITE CIRCLE at Blues Alley Japan (2004.1.15)
丹羽勝海 LIVE with FRIENDS at STB139 (2004.2.3)



sclap at JIROKICHI (2003.12.13)

大人のロック・・・といっても、そこにあるのは適度に抑えの効いた耳ざわりのよいサウンドではない。そこには、荒々しいまでのパワーで突進してくるようなハードロックサウンドがある。ロックをベースにあらゆる音楽が、おそらく脈略なく(?)スクラップされていくようなステージだが、その"音"と一緒に伝わってくるのは、ベテランであり、トップクラスといわれる彼らのキャリアや技術、そして人生そのもの。それらが凝縮されたような気骨のあるロック魂だ。

一部のオープニング2曲「渚でニトロ」「Camouflage」は迫力満点のハードロック。重量感のあるディストーションの効いたバカボン鈴木のベース。ひたすら攻撃的な鶴谷智生のドラム。まさに全てを押しのけて迫ってくるようなサウンドである。そして一転、エレアコを手に始まったフォークソング「大人の悩みに子供の涙」では、白井良明がストレートな説得力のあるヴォーカルで語りかけた。

その後、ベースのロングトーンによるメロディーラインが印象的な「The Twilight Years of My Life」、多彩なシンバル使いで聴かせた「CostaBrava」、8ビートが気持ちのよいハードロック「Who's Gonna Die First?」と続き、強烈なタテノリロック「トンピクレンッ子」で締めくくった。

2部も変化に富んでいた。スタートはsclap風にアレンジされた「Diamond Head」(ベンチャーズ)。バカボン鈴木が滑らかなラインでベースソロを聴かせれば、白井はクリーントーンで、独創的な表現もとりまぜながら流れるようなフレーズを奏でた。

「Travesia」で、白井のガットギターとナチュラルなヴォーカルをじっくりと聴かせた後、プログレッシヴなアプローチの「Strychnine」から終盤に向かって、そのサウンドは激しさを増していった。

「Castration」はテクニカルな要素の強い激しいインストゥルメンタル。バカボンのスティックによる太くインパクトの強い音で奏されるリフが印象的である。テクニカルで多彩な表現を聴かせたバカボンのスティック・ベース、それに鋭く切り込む鶴谷のドラム、そしてエキセントリックなアプローチをみせる白井のギターが相まって、凄まじい音の洪水となった。続く、「Nebula」も激しいビートにのって一騎に突っ走った。この曲で鶴谷は激しいドラミングの中でもバランスのとれた見事なまでのドラムソロを聴かせた。

そして最高潮に達しての2部ラストは、強烈なロックビート、パープルヘイズを思わせるリフにのった「Hypnosis」。うねるベースライン。あくまでもアグレッシヴで激しいドラムス、とそのパワーはとどまることを知らないようだ。アンコールでは、これまた強烈な「White Christmas」など3曲を披露、全員で大合唱となった。

若者ロックバンド顔負け、というか、吹き飛んでしまうようなパワーである。そして、ライブハウス全体を振動させるような迫力サウンドとともに、ストレートなすがすがしさの残る、気持ちのよいバンドであった。

Members:
白井良明(Guitar)、バカボン鈴木(Bass)、鶴谷智生(Drums)

1st set:
1. 渚でニトロ
2. Camouflage
3. 大人の悩みに子供の涙
4. The Twilight Years of My Life
5. Costa Brava
6. Who's Gonna Die First?
7. トンピクレンッ子(お風呂に入る唄)

2nd Set:
1. Diamond Head
2. Travesia
3. Strychnine
4. Castration
5. Nebula
6. Hypnosis

Encore:
1. Shipbuilding
2. White X'mas
3. あ、何かきこえる



Report by Asako Matsuzaka


クリヤ・マコト TRIO at 青葉台東急(2003.12.21)

CDプロモーションも兼ねたフリーコンサート。フリーコンサートではあったが、1曲目「Don Segundo」で一気に集中力を高め、ミニコンサートながら本編4曲(30分)に加え、予定外のアンコールが30分という充実ぶり。思い切りエキサイトしたライブとなった。

当日はラテンテイストの濃い曲中心に演奏された。ショート・ヴァージョンで演奏された「Don Segundo」のあとは、「Time & Tide」へと続く。坂本竜太のタメの効いたファンキーなビートの上でピアノが伸びやかに奏でられる。十分に響くコードトーンを中心に組み立てられたピアノソロは聴き応があり、サウンドの響きを楽しむように演奏するクリヤ・マコトの姿が印象的であった。

「星に願いを」のフレーズがちりばめられたイントロで始まる「The Voyager」。この日、クリヤの奏するピアノの音色は、野外ステージではあったが、冬のひんやりとした空気の中でなかなか良い感じに響いている。ゆったりとしたテンポにのって美しいメロディーが丁寧に奏でられた。クリヤのプレイは、リラックスしていて伸びやか、たっぷりと響くピアノが心地よい。音色を十分に響かせながら、その中でしっかりと弾きこんでいく。そして後半、テンポが上がる中、坂本が弾き出すファンクビートがサウンドを引き締めていった。

本編ラストは、アップテンポでノリの良いラテンフュージョン、「Celebration」。坂本はスピード感のあるスラッピング・ソロを披露。そしてアップテンポにのって、激しく鋭さを増していく鶴谷智生のドラムソロは圧巻。ベース&ドラムスの掛け合いでは、見事なリズムヴァリエーションの応酬を展開した。

そしてこの日、もっとも圧巻だったのは、アンコールでフル演奏された「Don Segundo」。全員がユニゾンで動く、早いパッセージを決めながらグルーヴしていく。全員のソロプレイもより熱を増し、リズムチェンジを繰り返しながら、フリーフォームなジャムスタイルも聴かせる。ラストは凄まじいまでのドラムソロでエンディングとなった。

終わってみれば、200人は有に超える人だかり。最後まで拍手は鳴り止まず。師走の町に一足早いクリスマスプレゼントとなった。

Members:
クリヤ・マコト(Piano, Keyboards) 坂本竜太(Bass) 鶴谷智生(Drums)



Set List:
1. Don Segundo(Latin Touch)
2. Time & Tide(Style)
3. The Voyager(Latin Touch)
4. Celebration(Style)


Report by Asako Matsuzaka


SHIRO SASAKI Caoba Big Band 年末スペシャル at Blues Alley Japan (2003.12.27)

総勢16人のCaoba Big Band。ステージ右半分に総勢13人のホーンセクション、そして左には、青柳誠が奏するスタインウェイ、ハモンドB3、ローズが並んでいる。年末スペシャルにふさわしい豪華なステージだ。オープニングは、「Valdez In The Country」「Lover come back to me」と、明るくくつろいだ雰囲気ではじまる。「Valdez In The Country」では、竹野正邦がなめらかなラインのテナーサックスソロを、青柳はローズピアノで熱のこもったソロを聴かせた。小気味のよいスイングにのった「Lover come back to me」では、本間マサトの勢いのある若々しいプレイが印象的だった。

瑞々しく広がるB3の音色が心地よいブルースチューン「Filthy McNasty」では、佐々木史郎と小林太、2人のトランペットソロの応酬を堪能。佐々木のまろやかで抜けのよい音と小林の鋭い音色。この対比も面白い。この曲では2人のトロンボーンソロも聴き応えがあった。佐野聡がやわらかい音色を響かせれば、河合わかばは切れ味よくくっきりとしたメロディラインを描き出した。とにかく、にぎやかで楽しいステージ。メンバー全員が、それぞれに何かを語っているかのようだ。

「The Feelin' Free」で心地よくスイングした後は、佐々木のオリジナル「Groove Society」へと続く。ドラムとベースが作り出す土台のしっかりとしたグルーヴが気持ちよい。佐々木のソロワークは、音色といいフレーズといい、さすがである。鈴木明男はセンスと機智にとんだアルトサックスソロを聴かせた。

ファーストセット、ラストは「Wind Machine」。疾走感のある4ビートにのって、ブラスアンサンブルがぴたりと決まっていく。臼庭潤(T. Sax)のアドリブプレイは軽快。そして後半〜エンディングに向けて盛り上がる中、鶴谷智生はバリエーション豊かなストロークを聴かせた。

セカンドセットは「Dujii」から。勢いよくブラスが鳴り響き、明るくはじけたスタート。鶴谷のドラムはビートの核を的確に捉えていく。キャッチーなメロディラインにのって、わくわくするような展開だ。竹野(A. Sax)のアドリブはつやのある音色で表現に幅がある。そして青柳はローズとハモンドの魅力を見事に引き出しながら、オリジナリティあふれるソロワークを聴かせた。

続く「And That That」は、落ち着いたJAZZYなナンバー。古きよき時代のアメリカの雰囲気が漂う。佐々木は味のあるミュートソロを披露。そして、Tonightのテーマ曲でもあった 「Blow's Job」は小林太のオリジナル。上下降する土井孝幸のベースラインが印象的。鋭く切り込むブラスサウンドとアグレッシヴに攻めるリズムがよりエイキサイトさせる。小林をはじめとする各自のソロワークも冴えをみせた。

ノリがよくコミカルな「One Mint Julet」では、ハモンドが小粋に鳴り響く。青柳の操作にハモンドが生き生きと応えていた。佐野(TB)はユーモアたっぷりに、山本一(B. Sax)は渋い低音で表現豊かなソロを披露。

そしてマーカス・ミラーの「SNAKES」では、鈴木のサックスをフィーチャー。タイトなドラムのリズムにのって手拍子が沸き起こる。つややかな音色で、存分に吹く鈴木。ブラスの不協和音のコード感がおもしろい。

ステージ終盤を迎えての「Fat Back」は本当に楽しい曲。前半、4人のトロンボーン奏者が、それぞれリコーダーとオカリナに持ちかえ、かわいらしいメロディーを奏でると、会場からは微笑ましい笑い声がきこえる。そして途中、イーブンなリズムから、実に鮮やかに大胆なスイングに変わった。内田光昭(B. TB)はまろやかな太い音色でセンスのよいソロを、鶴谷はダイナミック&パワフルなドラムソロを展開した。この日のラストナンバーは「Dancing Men」。ぐいぐい押してくるようは16ビートにのって、高らかにブラスが鳴り響いた。

大いに沸く拍手に応えてのアンコールは「Groove Merchant」。臼庭は曲の雰囲気を的確にとたえたアドリブをプレイ。高らかに鳴り響く高音が印象的な佐久間式ドロップ(TP)。芯の強い音色の五反田靖(TP)。河合(T. TB)はユニークなアプローチを見せ、手拍子のなか、全員でソロを回すソロ大会となった。

ステージ上もオーディエンスも和気藹々とした、とても楽しいステージ!見事に調和のとれたブラスアンサンブルを聴かせる13本の管。バラエティ豊かな選曲。ビッグバンドの楽しさを十分に堪能した一夜であった。

Members:
TP: 佐々木史郎、佐久間式ドロップ、小林太、五反田靖
A. Sax: 鈴木明男、本間マサト
T. Sax: 竹野正邦、臼庭潤
B. Sax: 山本一
T. TB: 佐野聡、河合わかば、佐藤春樹
B. TB: 内田光昭
Pf., Key: 青柳誠
B: 土井孝幸
Ds: 鶴谷智生

1st Set:
1. Valdez In The Country(ダニー・ハザウェイ)
2. Lover Come Back To Me
3. Filthy McNasty (Horace Silver)
4. The Feelin' Free(サミー・ディステコ)
5. Groove Society ( Shiro Sasaki)
6. Wind Machine (サミー・ディステコ)

2nd Set:
1. Dujii(Kool & The Gang)
2. And That That
3. Blow's Job (Futoshi Kobayashi)
4. One Mint Julet( レイ・チャールズ)
5. Snakes( マーカス・ミラー)
6. Fat Back
7.Dancing Men

Enc)
Groove Merchant


Report by Asako Matsuzaka


バカボン鈴木セッション at Blues Alley Japan (2004.1.9)

この日はバカボン鈴木 3daysの最終日。リラックスしたセッションということもあって、オープニング「Bad Prediction」から和やかなムードが漂う。フリーフォームを作りながら始まった「プレモーション&ハービンガー」では、シャッフルビートの上で、6人が自在に出す音の絡まり具合が面白い。青柳誠の絶妙のローズピアノソロが素晴らしかった。

ステージが思わぬ長時間MC(大食い話)に沸いたあと、「アフリカン・ドリーム」「印象主義」と続く。ヤヒロトモヒロのコンガの響きが心地よい「アフリカン・ドリーム」では、のどかなムードの中、B3サウンドが気持ちよく広がり、本田
雅人とバカボンがユニゾンで奏するメロディーラインが際立つ。本田はラインのはっきりとした力強いソロをプレイ。そして「印象主義」ではバカボンの繊細なメロディーラインが、まさに印象的であった。

心地よいフュージョン「My Complicated Mind」の後は、スピード感のあるプログレフュージョン「Desperation」へ。アップテンポな中、安定感をもって全体を支えるリズム隊と、それをバックに縦横無尽に動き回るピアノ&サックス・・・熱い演奏が繰り広げられた。

セカンドセット、バカボン+本田+鶴谷のトリオで演奏された「Penalty」は圧巻。まずはベースとドラムスのデュオ、というよりリズムバトルの後、アップテンポの中で繰り広げられる各自のプレイは、ソロ、バッキングともに、聴き応えたっぷりであった。ディストーションの効いた、うねるような音色で超絶技巧を聴かせるバカボン。全身で表現する本田。そして鶴谷のドラミングは、アグレッシヴなアプローチに冴えをみせた。

「Pool Side」「Composition #1」では、ゲストヴォーカル、南佳孝が加わる。さすがに南のヴォーカルには存在感があり、それをバンドががっちりと支えていた。

そして、「Moon Grow」「Carribian Love Affair」で聴かせた、増崎孝司のアコースティックギターは絶品であった。静かなラテンの情熱を帯びた「Moon Grow」では、エレピのサウンドに包まれて美しいアルペジオを奏で、月明かりのような柔らかい空間を作り出した。そして明るいサンバ「Carribian Love Affair」では、繊細で高度なテクニックを駆使し、ウィットの効いたソロを披露した。

「Scarlet Moon」でしっとりと落ち着いた大人の雰囲気を表現したあと、ラストナンバー「Bono」ではハードにバンドが弾けた。エレキギターの持ち替えて、テクニック満載、痛快なアドリブを聴かせる増崎、エキサイティングに駆け抜けるような青柳のソロ。より力強さを増す本田。多彩なヴァリエーションの鶴谷のドラミングは、終盤に向けて、密度濃く、押し上げるようにパワーアップしていった。

この日、アンコールで、再び南が登場。ハートに響くヴォーカルで、「ブルースでも唄って」をピアノで弾き語りした。「憧れのヨーロッパ」ではバカボンがヴォーカルを披露したあと、「La-La Means I Love You」でフィナーレとなった。

さまざまなスタイル、異なったアプローチの楽曲がぎっしりとつまった、充実した、そして楽しいステージであった。バカボン鈴木のコンポーザーとしての力量を再確認した一日となった。

Members:
本田雅人(Sax) 増崎孝司(G) 青柳誠(Pf,Key) バカボン鈴木(B) 鶴谷智生(Drs) ヤヒロトモヒロ(Perc)
SPECIAL GUEST:南佳孝(Vo)


<SET LIST>

1st Set:
1. Bad Prediction
2. プレモーション&ハービンガー
3. アフリカン・ドリーム
4. 印象主義
5. My Complicated Mind
6. Desperation

2nd Set:
1. Penalty
2. Pool Side(Vo. 南佳孝) *
3. Composition #1(Vo. 南佳孝) *
4. Moon Grow
5. Carribian Love Affair
6. Scarlet Moon
7. Bono

Enc)
ブルースでも唄って(Vo. 南佳孝) *
憧れのヨーロッパ
La-La Means I Love You


※ *印以外は、バカボン鈴木 作曲


Report by Asako Matsuzaka
Support by Akiko Kamo


INFINITE CIRCLE at Blues Alley Japan (2004.1.15)

小気味良い16ビート「ichiro」でスタート。INFINITE CIRCLEのライブは初めだったが、アルバムで聴いていたのとは、かなり印象が違った。アルバムでは、美しく、リリカルな印象が強かったのだが、実際のライブは、よりアグレッシヴで勢いがある。ベースとドラムが互いに自由に動きながらも、確実にビートを打ち出していく。村井秀清のピアノソロは、軽いタッチの出だしから次第に熱を帯びていき、野々田万照のサックスソロは柔らかな音色で流れるようなフレーズを奏でた。

2曲目、「Increditable card」は音と音との"間"を楽しむような曲調が面白く、サックスの高音とベース低音が駆け引きをするかのようである。そして、哀愁漂うボサノバ「3-4-6」では、岡田治郎のエモーショナルなメロディアスベースが印象的。美しいピアノの旋律と相まって、静かな、詩的な感動を呼んだ。

サックスをフィーチャーし、エンディングでは、ちょっとした遊び心も見せた「Nio's Shadow」に続いては、新曲「Hard 6/8th」。うねるようなグルーヴからアップテンポの展開が楽しい。そしてこのあたりから、ベースとドラムが、よりかみ合ってくる。繊細で密度の濃いフレーズが幾重にも重なり、凝縮しながら、集中力と熱気を増していった。村井の、繊細なフレーズを折り重ねるようなピアノソロは聴き応え十分。そして基本リズムパターンを生かしながらも工夫の凝らされた鶴谷智生のドラムソロは見事。

セカンドセットは、清清しい「Stealing home」から。体を大きく躍らせながら奏する、岡田のエモーショナルなベースソロに惹きつけられる。そしてこのセットでは、オリジナル以外に「Bruze」 (Mike Stern)、「Geraldine」(Yellow Jackets)なども演奏された。ソプラノサックスの音色が美しく響いた「Geraldine」、そして「Blues」は、まるで"ドラムを中心に他の楽器が絡み合いながら、原曲をいかに崩していくか"を楽しんでいるような演奏であった。音の空間を楽しみながら、互いにそれぞれが音を重ねて行く・・・そんな空気間を味わえるのもこのバンドの魅力の一つである。

セカンドセット、ラストはラテンの香りがする「Astor's wing 」。心地よいグルーヴである。印象的なサックスのメロディー。存在感のある鶴谷のドラムソロ。そして村井は丁寧に音を響かせながら、感情をこめたソロワークを聴かせた。

この日のアンコールは「19」。繊細なタッチで奏でられるシンバルの音色が美しい。ノリのよいテンポに美しい旋律が響く。それぞれが熱い演奏を聴かせドラマティックに盛り上がる。そして最後には、さわやかな余韻が残った。

Members:

村井秀清(Pf,Key) 野々田万照(Sax) 岡田治郎(B) 鶴谷智生(Drs)


<SET LIST>

1st Set:
1. ichiro
2. Increditable card
3. 3-4-6
4. Nio's Shadow
5. Hard 6/8th


2nd Set:
1. Stealing home
2. Bruze *
3. Geraldine *
4. Astor's wing

Enc) 19

* 以外は村井秀清作曲

Report by Asako Matsuzaka, Akiko Kamo



丹羽勝海LIVE with FRIENDS at SB139 (2004.2.3)

丹羽勝海さんからのメッセージ

丹羽勝海は日本オペラ界を牽引してきた人である。東京藝術大学、同大学院終了後、カリフォルニア大学からジュリアード音楽院へと進み、その後、国内外でオペラ歌手として活躍している。また、日本の第一号のカウンターテナーであり、その唱法を日本に紹介したという功績もある。(詳細は、丹羽勝海プロフィールへ)

その丹羽勝海がジャズバンドとコラボレートして実現したのが、この日、STB139で行われた「丹羽勝海LIVE with FRIENDS」である。

コンサートは3曲のフランス歌曲でスタート。「ジュートゥ・ヴー」「パリへの旅」「酒の歌」を丁寧に歌い上げた。フランス歌曲への研究に力を注いだという、丹羽ならでなの、深みのある表現が印象深い。加納久仁子のピアノ伴奏は品があり、よくコントロールされていた。

そして、続く日本歌曲3曲からがフルバンドでの演奏となった。まず素晴らしかったのは住友のアレンジである。ジャズ風、○○風に・・・というのではなく、あくまでもオリジナル曲調、雰囲気のよさを生かした自然なバンドアレンジとなっていた。

そして丹羽の歌唱は表現が豊かで、そして言葉が明瞭。まっすぐに聴き手の中に入ってくる。「初恋」では、情緒豊かな心こもったボーカルで、静かな感動をよんだ。

リズムを強調したアレンジの「あの子この子」では、ベースの松永孝義とドラムの鶴谷智生が効果的にビート感を出し、「出船」では、村井秀清のセンスの良いシンセソロが曲の雰囲気をより盛り上げた。この曲も丹羽の感情表現が素晴らしかった。

この日、圧巻だったのは、「トラウマ氏の一日」である。吉松隆作曲のサラリーマンの悲哀、サラリーマンの一日を唄った歌。曲の大半が語りで、一人芝居のようでもあり、大熱演であった。全身全霊で熱演した20分間・・・演技者としての大変な力量を感じた。

セカンドセットは、対照的な2曲のインストゥルメンタルで始まった。軽快なフュージョン「St. Louis Blues」では、村井が伸び伸びとしたアドリヴを披露。鶴谷のソロは押さえたプレイの中でセンスが光った。そして一転、クラシカルな「スール 〜よみがえる愛」では崎山弥生のヴァイオリンの音色が美しく響いた。

そしてステージは、丹羽が得意とするシャンソン、カンツォーネへと進んでいく。まずは哀切をこめたシャンソンが2曲。一言一言が心に響いた「愛の賛歌」。言葉を伝えようとする意思の強さを感じた「枯葉」。「枯葉」での、住友のサックスソロは表現豊かであった。シャンソンを歌う丹羽の、唄うことへの情熱と歌えの深い愛情を感じる。そして「カタリカタリ」と「慕情」では、名曲中の名曲を、独自の解釈で、独特の歌唱スタイルで高らかに歌い上げた。

ステージラストを飾ったのは丹羽のオリジナル「これからは」である。これには、「好きなことをやって、あまりなやまず、これからは楽しく生きていこう」というメッセージが込められていた。

さまざまなジャンルの曲が登場したコンサートだったが、アンコールもまた、意表をつくものだった。この「おもいで酒」は、もちろん小林幸子の曲。これがレゲエ調にアレンジされていた。会場も大いに沸き、レゲエのリズムに乗って賑やかなエンディングとなった。

丹羽勝海のボーカルには、独特の説得力がある。いわゆる一般的なオペラの歌唱法だけではなく、ミュージカル、シャンソン・・といったあらゆる歌唱法が取り入れられているようであり、そしてそれが彼自身の演技力・表現力と一体となって、よりストレートに表現されているように感じる。今回のコラボレートは、まだ続いていくとのこと。今後の展開が楽しみである。

Members:
丹羽勝海(Vo) 住友紀人(Sax,EWI) 松永孝義(B) 村井秀清(Key) 加納久仁子(Pf) 崎山弥生(Vl) 鶴谷智生(Drs)

<Set List>

1st Set:
1. ジュートゥ・ヴー
2. パリへの旅
3. 酒の歌
4. 初恋(石川啄木)
5. あの子この子(北原白秋)
6. 出船(カツタ+スギヤマ)
7. トラウマ氏の一日(吉松隆)

2nd Set:
1. St. Louis Blues(W.C.Handy)
2. スール 〜よみがえる愛(アストル・ピアソラ)
3. 愛の賛歌
4. 枯葉
5. カタリ・カタリ
6. 慕情
7. これからは

Enc)
おもいで酒


Report by Asako Matsuzaka


丹羽勝海さんからのメッセージ

自分の価値観を開放していろいろとやってみたい、好きな歌をジャンル問わず、いろいろなスタイルで歌っていきたいと思っています。もともとアメリカ的なもの、ジャズにあこがれていた部分がありましたので、ジャズバンドに挑戦できてとても嬉しく思っています。なんといってもジャズミュージシャンの皆さんは、インプロヴィゼーションが素晴らしいですし、住友さんのアレンジは清楚で美しい。日本歌曲も、思ってもみない展開でとても面白かったです。


丹羽勝海プロフィール

Official Site http://www.zemanrecord.com/

東京藝術大学、同大学院終了。1961年から1966年カリフォルニア大学およびジュリアード音楽院に留学し、ヤン・ホッパー、ロッテ・レーマン、ジャニー・トゥーレルに師事。その間多くのオペラ公演参加。

帰国後1966年「コシ・ファントゥッテ」のグリエルモ役で日本オペラ界にデビュー、同年第一回民音コンクール(現・東京国際音楽コンクール)第一位入賞。その後バリトンからテノールに転じ、1967年夏「蝶々婦人」のピンカートン役でテノール・デビュー。1968年「シンデレラ」のドン・ラミーロ。 1970年になってビクターrecordの「夕鶴」の与ひょうを録音。1971年「椿姫」のアルフレード。1972年「カルメン」のドン・ホセ。1975年「オテロ」のオテロ。日本のテノールの第一人者として活躍。

また、フランス歌曲における詩と音楽との関係の研究に力を注ぎ、日本の第一号カウンターテナーとして、その唱法を日本に紹介する。

最近は国内のオペラコンサートに加え、海外公演が多い。1991年7月フィラデルフィアでの国際声楽学会に日本代表として参加、同年5月の北京でのオペラ「魔笛」公演、1992年朝鮮民主主義人民共和国に芸術家大使として招待される。1993年、ニュージーランドの国際声楽学会で「日本のオペラの歴史」講演、実演する。1993、1994、1995年、柴田南雄作曲オペラ「忘れられた少年」をイタリア、ポルトガル各地で公演。1997年パリとロンドンの国際声楽学会に招かれ、日仏の歌を歌い、大好評を得る。

現在、日本大学芸術学部教授、日本声楽発声学会副理事長、二期会会員、アポロンの会主宰、NATS(米国声楽指導者協会)会員、ICVT(国際声楽指導者会議)日本代表。



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