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Artist Press Vol. 10> Feature: 日野賢二

日野賢二インタビュー
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ライブレポート:
日野賢二 CD発売記念ライブ JINO in Wonderland Tour


LIVE REPORT


日野賢二 CD発売記念ライブ JINO in Wonderland Tour
23 June 2003 at Sweet Basil 139


ゴキゲンなファンクビート、心地よいグルーヴに満たされた、ダンサブルでエキサイティングなショー





JINO in Wonderland Tourもラストスパートにさしかかったこの日、Sweet Basil 139でダンサブル&エキサイティングなショーが繰り広げられた。この日、演奏されたのは5月に発売された彼のソロアルバムからのナンバー中心であったが、アルバム参加メンバーをはじめ、とにかく豪華なゲストが次々と登場、見応えたっぷり、聴き応えたっぷりの、楽しく賑やかなステージとなった。

バンドメンバーが登場するとオーディエンスから歓声がおこる。「みんなでこれから始まるショーを楽しもう」、といった雰囲気に満ちている。一曲目"Pop's"のファンキーなリフが流れると、会場全体がリズムにのりだす。日野賢二(ここでは彼の愛称JINOで呼ばせてもらうことにしよう)のベースはとても存在感がある。そしてグルーヴィーな骨太サウンドは、彼が影響をうけたというマーカス・ミラーを彷彿させるものがある。

"Pop's"は、リフ中心に組み立てられた曲だが、その弾むようなファンクビートにのって、1コーラス終えたあたりから早くもソロバトルが展開された。特にJINOとサックス、石崎忍の掛け合い、それに加わるギターMASAのプレイは、聴き応え十分であった。

 
J.R.Robinson(ds)日野賢二(Bs)
 
MASA(g)  石崎忍(sax)

ビート感を大いに楽しんだ後はスタンダード"Black Orpheus(黒いオルフェ)"へと続く。一転して落ち着いたムードの中で、会場はゆったりとしたグルーヴに包まれた。JINOの奏でる抑揚のあるメロディライン、深い音色は心に響くものがあった。

3曲目"Wonderland"は、再びグルーヴィに展開。思わず体が動き出してしまうようなグルーヴ感がよい。2人のKeyboardist、Penny-KとNOBU-K(b.key)のエレピとオルガンはバンドアンサンブルをより際立たせた。

 
Penny-K(key)NOBU-K(Key)

"Face da Funk"で聴かせたJINOのソロパフォーマンスは圧巻であった。まずは、ゆったりとしたリズムの中で時にメロディアスに、時にリズムバッキング中心にスケールの大きい演奏を聴かせ、石崎とPenny-K & NOBU-K、サックスとキーボードの見事なソロバトルの後、再びスラッピング・べースソロで卓越したテクニックを存分に披露。彼がNYで多くのトップアーティストに受け入れられているというのも十分うなずける。

JINOのソロを堪能した後、さらにバンド全体によるソロバトルが展開された。パーカッション、オバヲ、そしてドラムス、ロビンソンの迫力満点のリズムバトル、そしてエキサイティングなMASAのギターワーク・・・そして最高の盛り上がりの中、"Purple Haze"が始まった。有名なリフを奏でながらVocalをとるのはJINO、そして場内大歓声の中で聴かせたMASAのギターワークはまさにエキサイティングであった。

"Purple Haze"で大団円を迎えたかのステージだったが、この日のエンタテインメントはこれからが本番だった。豪華で多彩なゲスト達の登場である。

"You're in my System"では、ヴォーカリスト、タニヤ・ミッチェルが登場。そしてバックボーカルをJINOの友人であるJAYとイヴォンヌが勤める。タニヤのヴォーカルは、その歌唱力といい、そのパフォーマンスといい、まさに他を圧倒する迫力だ。途中、JINOはラップ調で語りながらバンドをリードし、オクターヴァーを巧みに操りながらのソロを聴かせる。MASAのファンキーなカッティングが、全体のリズムを引き締めていた。

JAY(Cho)、イヴォンヌ(Cho)タニヤ・ミッチェル(Vo)AKIKO(Vo)


そしてTyrone"ではゲストヴォーカルにAKIKOを迎える。彼女は若手本格派として注目されているヴォーカリストだ。アンニュイな雰囲気のなかで、タニヤ、イヴォンヌ、JAYの織り成す美しいハーモニーに包まれて、しっとりと感動的に歌い上げた。

曲ごとに、次々とゲストミュージシャンが登場する。"Mrmando's Rumba"では、パーカッションにカルロス菅野を迎え、軽快なラテンを聴かせる。右Keyはラテンテイストあふれるピアノソロを聴かせた。そしてカルロスのパーカションソロは、やはり堂々たる演奏ぶり、オバヲとのコンビネーションもバッチリ。

 
オバヲ(Per) カルロス菅野(Per)


日野皓正(Tp)

楽しいライブもいよいよクライマックスとなり、ステージには日野皓正が登場。そして演奏するのは、彼の伯父であり、名ドラマーであった日野元彦作曲の"It's There"、まさに、これ以上ない選曲だ。風格のあるトランペットの音色が、クリアに響き、タイトでスリリングに曲が進んでいく。途中、日野のトランペットとドラムスの掛け合いは、聴き応えたっぷりであった。

熱く盛り上がったステージをクールダウンさせるように、スペイシーなハーモニーが飛び交う。曲は"Toko's Wave"。JINOははアフリカンビートをベースとしたリズムの波にのって、静かにメロディを奏でた。JINOのオリジナルであるこの曲を、日野元彦のドラムスで聴いてみたいと思ったのは、私だけではないだろう。

そして、この日のラストナンバーは"Power"。押さえを聴かせたビートが特徴のミドルテンポの曲。JINOは抑揚たっぷりにベースとユニゾンで歌い、さらに縦横無尽なベースラインを聴かせる。MASAの渾身のプレイは圧巻。ラストまで、力強くグルーヴしていた。

そしてアンコール。まず1曲目は、JINOの語りかけるようなベースメロディーが印象的な"Missin' U"で始まった。そして彼のラインをそのままタニヤが歌い継ぎ、"SUKIYAKI"へと移る。タニヤのソウルフルなヴォーカルが感動を呼んだ。


アンコール2曲目は"City Living"。軽快なファンクビートにのってゴキゲンな演奏を聴かせた。そしてこの日のフィニッシュは、出演者全員による"Chicken"だった。ステージ上、ところ狭しと並んだ多彩な顔ぶれは壮観。気持ちよいリズムにのって、思い思いにソロパフォーマンスを聴かせる。途中、JINOがオーディエンス全員を立たせて、躍らせるシーンもあり、会場はおお盛り上がり、もう自由自在、なんでもあり、の楽しいラストステージとなった。

今回、JINOこと日野賢二の初のソロアルバム発売を記念してのステージであったわけだが、その評判通り、実力、音楽性には、注目すべきものがある。そして一旦ステージが始まると、彼の、まさに率直で明るいキャラクターに引き込まれる。これからはNYだけでなく、日本でも活動の幅を広げていくという日野賢二、今後の活躍が楽しみである。

Members:
日野賢二(Bs)、Penny-K(key) 、MASA(g)、NOBU-K(b.key)、 石崎忍(sax) 、J.R.Robinson(ds)、
オバヲ(Per)

Guest:
日野皓正(Tp)、カルロス菅野(Per) 、タニヤ・ミッチェル(Vo)、AKIKO(Vo)、JAY(Cho)、イヴォンヌ(Cho)、Mamoudu Diabate(Per)

 


<Set List>

1. Pop's
2. Black Orpheus
3. Wonderland
4. Face da Funk -Purple Haze
5. You're in my System
6. Tyrone
7. Armando's Rhumba
8. It's There
9. Toko's Wave
10. Power

Enc)
Missin' U -SUKIYAKI
City Living
Chicken


レポート、撮影: Asako Matsuzaka
取材協力:
ゲン・プランニングユニバーサル・ミュージックSweet Basil 139

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