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深町純さんとCafe & Live spot FJ's
FJ's Cafe & Live spot
Jun Fukamachi Official site
大人のための文化的空間で気軽に音楽を
中目黒のライブスポット Cafe & Live spot FJ's
「目黒に深町さんのお店がある」・・・と知人から聞き、初めて訪れたのが深町純さんの命日に行われたKEEP LEGENDのライブ。KEEPというバンドを知る人も少なくなってきているかも知れないが、まさに究極のプログレフュージョンを聴かせる、深町さんのリーダーズバンドで、深町さんを偲んで毎年、彼の命日に開催されている。
店内は落ち着いた雰囲気のカフェバーで、奥にバーカウンターがあり、その手前にグランドピアノが置かれている(以前は深町さん愛用のYAMANA CP-80が置かれていた)。店内には深町さんの絵画が飾られ、ライブの時には深町さんのライブ映像が流れることもある。本当に惜しくも7年前に亡くなってしまったのだが、このカフェにいると、深町さんの才気あふれる感性が感じられるようだ。
(写真上 KEEP LEGEND / 2017.11.23)
KEEP LEGEND(2017.11.23)のミニレポートはこちらをご覧ください
コンセプトは大人のための文化的空間
かねてより深町さんは、「音楽仲間が自然に集まって語り合ったり、演奏できる場がほしい」と考えていた。そこでイメージしたのはパリのカフェ発祥の地、サンジェルマン・デ・プレにある老舗カフェ。かつてサルトルやボーボワールなど、知識人が集まった文化的なサロンでもある。
FJ'sには「語りながら音楽が楽しめるサロンを日本のどこかに作りたい」という深町さんの想いも込められており、コンサートを終えたミュージシャンたちが打ち上げ後に立ち寄って深夜まで語ったり、演奏したり、ということもあった。深町さんは、「ぼくはこういう時間がもちたくてこの場所を開いたんだよ」と語っていたという。
さらに彼には「店のある通りが、文化人、知識人が自然と集まるような雰囲気になれば」という構想もあったという。そしてその構想どおり、今では個性的でセンスのよい店が増えている。
音楽の発信の場として
~「FJ’s」という場所が、新しい音楽を生み出そうとする音楽家と観客によって、
音楽発信の実験室のような空間になったら面白い。~(深町純)
FJ’sではオープン当初からさまざまなライブが行われてきたが、今では毎晩のようにライブ演奏が繰り広げられている。
では、深町さんのイメージしていた「新しい音楽」とは、どういうものだったのだろう?深町さんは、日ごろから「日本人にしかできない音楽を作りたい」と語っていた。
日本独自の、日本人としてのアイデンティティをもった音楽・・・というと雅楽や民謡、または洋楽と邦楽のコラボレーションをイメージしがちだが、彼が意図していたのはそれとは違い、日本独自の感性がベースとなって、自然に表現される音楽のことを意味する。
日本独特・・・たとえば「わび」「さび」など、おそらく日本人でなければわからない感覚や感受性、そして日本語ならではの繊細な言語表現など。言語という観点で捉えると、確かに日本語ほど多彩で繊細な言語はないように思う。「言語が国の特性を作る」と語った哲学者がいたが、そう考えると少し解りやすい。日本独自の繊細な感性や感覚が、自然に表現されている音楽・・・それが彼の意図するところで、彼自身、それを一番自然に表現できるのが「即興演奏」だった。
細部まで丁寧にこだわりぬいたホスピタリティー
FJ’sの運営にあたって深町さんは、「少しでも有意義で有意味で、かつリラックスできるような空間」を作るために、店内に置くものにもこだわり、画家である父親 深町辰夫氏の絵画、哲学書、オブジェなど、彼が生前、大切にしていたものが配置されている。
また、おしゃれで良質な空間とするために細部まで丁寧に気遣い、メニュー一つひとつにもこだわるなど、徹底的なホスピタリティーを心がけ、採算度返しで良い店を作ろうとしていた。
音楽と同じくらい話好きな深町さんは、自身のライブの時などに自らテーブルを周ったり、質問されれば子供でも大人でも・・・誰に対しても同じように丁寧に答えていた。深町さんに会いたくて店を訪れる人も多かったという。
左より「赤道通過」「芽生え」(深町辰夫 画) | 「ノスタルジー NO.1」(深町辰夫 画) |