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カルロス菅野インタビュー

「熱帯倶楽部」&「spirit of rhythm」を語る・・・

熱帯JAZZ楽団のリーダー、カルロス菅野が立ち上げた新プロジェクト「熱帯倶楽部」とは?熱帯倶楽部について、そしてファースト・ユニット「spirit of rhythm」についてうかがいました。

 

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「spirit of rhythm」プロフィール

熱帯JAZZ楽団のリーダー、カルロス菅野が新プロジェクト「熱帯倶楽部」を始動。熱帯JAZZ楽団の精鋭たちにカシオペアの野呂一生、元PSY・SのヴォーカリストCHAKAを加えた「spirit of rhythm」が今ベールを脱ぐ!



メンバー:
カルロス菅野(Perc), 森村献(Pf), 野呂一生(Gt), 神保彰(Dr), 藤陵雅裕(Sax), 美座良彦(Perc), 菰淵樹一郎(Bass)

* 熱帯倶楽部 〜 spirit of rhythm 〜 10/24 ON SALE(発売元:ビクターエンタテインメント)
* アルバム発売記念LIVE:12/11(火) Sweet Basil 139 

オフィシャルサイト:GEN-PLANNING http://www.genplanning.co.jp/

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Q:なぜ、このプロジェクトを始められたのですか?

カルロス菅野:
そんなに複雑な動機ではないんですが、熱帯ジャズ楽団もわりと軌道に乗ってきて一つの確立したものになりつつあるので、そろそろそこから派生した形で、熱帯のミュージシャンだけじゃなくて他のいろいろなミュージシャンともコラボレートしたものを、やってみたくなったんですね。「また違った熱帯メンバーの一面も見せられるんじゃないかな?」と思ったりもしています。


Q:「熱帯倶楽部」とは?「spirit of rhythm 」とは?

説明がすごくややこしいんですけど・・・「熱帯倶楽部」というのは、僕が開いた「お店」みたいなものなんです。ミュジシャンの「遊び場倶楽部」みたいな・・・。「皆さんどうぞ!」っていうお店で、そこに遊びに来てくれた人とユニットを組む。今回はそのユニットが「spirit of rhythm」という名前なんですよ。「熱帯倶楽部」というのは、まあ1つの「空間」みたいなもの。だから僕に言わせると「熱帯ジャズ楽団」も「熱帯倶楽部」のひとつに入ってしまうような・・・僕の中ではそういうイメージなんです。

だから今後も「熱帯倶楽部」の中から、また別のユニットが誕生する可能性もあるんです。おもしろいコンセプトがあれば、「熱帯倶楽部」の中でなにかやってみる。そういう展開ができる「場所」として「熱帯倶楽部」というのを起こしたんです。また新たな"トライアルの場所"を作ってみました、という感じです。


「spirit of rhythm 」誕生のストーリーは?

音楽的方向性は、あんまり深く考えていないんですが、ただギターと一緒にやりたかったんです。熱帯にはギタリストがいないんで、こういう編成の小さいものでは「ちょっとギターをフィーチャーしてみたいな」と・・・。

やっぱり、ギターを入れることによってすごく幅が広がるんですよね。いわゆるラテンジャズのオーソドックスなスタイルから、ちょっと逸脱したものが表現できる、そういう可能性がでてくる。ロックもはいっていれば、ファンクの要素もとり入れて・・・そいう可能性の広がりとして、「ギタリストという存在」がほしいと思ったんです。

そこで頭に浮かんだのが野呂君だったんですよ。今までもいろいろなプロジェクトで一緒に演奏したことがあって、今回、声をかけたたんです。"野呂君と熱帯のメンバー"というところからスタートして、最終的にはそれにボーカルを入れたい、ということになったんです。最初は1、2曲くらいのつもりだったんですが、だんだん構想が膨らんできて・・・CHAKAの名前が浮かんだ時に、「CHAKAだったらいろんな可能性がある」と思って、終わってみれば3曲がボーカル入りになったんです。あくまで"顔ぶれありき"なんです。そこからいろんなコンセプトが出てきたんです。


コンセプトは?


基本的には熱帯でやっていることと似ているんです。「カバーや皆が聴き馴染みのある曲が多い。それを技術の高い良いミュージシャン達がいろいろな料理をする・・・そして演奏したらこういう面白い"もの"になる・・・」、そういう大枠はほとんど同じなんですけど、集まったメンバーによって"ピックアップされるもののテイスト"が変わってくる・・・という感じですね。


アルバム「spirit of rhythm 」について?

レコーディング:
こういうメンバー編成なんですが、ダビングはいっさいしてなくて、熱帯と同じように「せいの!」で一発録りなんです。今回、ボーカルのCHAKAまで、全部いっぺんにとっちゃったんです!スタジオに入って歌ったら「もうええ、これでええわ、大丈夫」って・・・。

だから全員がお互いに触発されている「音」がとれている。そういうふうにしたいんですよね、いつも。荒っぽいところもいっぱいあるんですけど、それを小じんまりまとめるよりは、「ザクっとその時のエネルギーをそのまま音にしちゃいたい」というのがあるんです。とにかくすごく楽しくて、みんなが前向きで、3日間で全部とっちゃった。

選曲:
こういうセットは、いろんな方向にもっていけるんですよね。だからミニマムなものも入っているし、逆に「Another Part of Me」みたいにドカーンというロック色の濃いものもあるし、もう本当に音がスカスカで、すごく空間を楽しんでいるような曲もあるし・・・幅広くなるんですよね。やっぱり熱帯だとある程度アンサンブルの形が決定されるじゃないですか?そうするといろいろなアレンジの妙はあるにしても、全体のテイストとしては「あ、こういう色だ」とはっきりしますよね。だから、こういうミニマムなアンサンブルのほうが、演奏するうえでのセンシティブなからみあいも、少し分かりやすかったりするんですよね。ソロなんかでも、ちょっと自由度が増すし・・・

すべてのベースはラテンなんですけど、ラテンのもっている「ステレオタイプなイメージ」とはちょっと違う"テイスト"を出したかったんです。パーっと派手で元気のいいラテンとは、ちょっと違うサウンドの中でラテンビートが活きているような・・・そういうものをどこかで実現したくて、ストレートな明るい「スパーン」というラテンもあれば、ロックっぽいものもあれば、静かなんだけどラテン、というものもある。最後のスティービーの曲なんか、すごく哲学的な歌詞で、今のこの世界の状況にふさわしい。これは歌詞の内容も含めてやりたかったですね。

ヴォーカル曲への思い入れ:
今回3曲ヴォーカルが入っているんですが、ラストに入っているスティービーの「Pastime Paradise」はすごく哲学的な歌詞で、今のこの世界の状況にふさわしい。これは歌詞の内容も含めてやりたかったですね。

それから「Lady Marmalade」というのはコテコテのファンクなんですよね。これは3年前くらいから、ボーカルものとして取り上げたくて、今回ようやく実現したんですよね。CHAKAにこの話をしたら「あ、そんなん、もう得意や私、何十年も歌うてるし、まかせて」という感じで、それはもうストレートにパコーンといって・・・。

あと「Tom's Diner」はスザンヌ・ベガの曲で、これもどうしてもやりたくて・・・また違うCHAKA良さを出してほしくて、むりやりこっちから、「これをやって」って言ったんです。
英語で歌っていて、これだけ「歌のもっている中身を表現できる」ということがすごいんですよ。「何を言わんとしているのか」というところが、もう噛み砕かれて、それが自然に歌からでてくる。僕も他のメンバーもCHAKAとは初めてだったんですが、スタジオ入ってパーンと歌った瞬間、「この人はどうなってんの!?」(笑)「こんな人がいたんだなあ」って皆びっくりして!だから今回はもう、大満足です!




アレンジ:

全面的に森村献ちゃんにミュージカルディレクターを担当してもらいまして・・・僕の選んだ曲とオリジナルをほとんど全部ゆだねて、何回もディスカッションしました。実際にリハーサルが始まった段階でさらにヘッドアレンジができる自由度もあって、ベースには献ちゃんのしっかりした骨組みがあって、あとはミュージシャンの解釈で、各プレイヤーのアイデアにまかせる、みたいな感じで、そこらへんが面白かったですよね。


ライブ活動は?
これもまた、良いメンバーを揃えちゃったものだから、なかなかできない(笑)、という問題もあるんだけど、なんとかあちこちでやりたいな、と思っています。こういう編成だと、ちょっと大き目のジャズクラブとか、熱帯が入れないようなところでもできますからね。そういうふうに広がっていけたらなあ、と思うんですよね。


やはり、キーはエンタテインメント?
そう、そうです!どんなことをやるんでも、僕にとってのキーはそこなんで・・・「どうやって人をエンターテインするか?」「人の心をつかむか?」「お互いそれでもりあがるか?」というところなんです。「自分の感じるおもしろさと、オーディエンスの感じるおもしろさ、とをいかにフィットさせていくか?」という作業ですからね。そこは、なにをやってもかわらないですからね。

今までのラテンファン、熱帯ファン以外にギターファンもくるだろうしいろいろな意味での広がりができていけば・・・こういうトライアルを地道に重ねていくことが大事だと思っているんです。

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「新たなトライアルをしていきたい」・・・熱っぽく語られるカルロスさんの中には、常に新天地を求めるエネルギーが満ち溢れているようでした。アルバム「spirit of rhythm」は、最高にカッコよく、そして感動的な「とっておきの一枚」。アルバム発売記念ライブが楽しみです!
(2001.10.18)

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Interview & Photos by A.Matsuzaka

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