<Home>

2024セイジ・オザワ 松本フェスティバル トップページ
オーケストラ コンサート Bプログラム
特別イベント「小澤征爾総監督 感謝の会―その生涯を祝福して―」
ふれあいコンサート II


Concert Report


2024セイジ・オザワ 松本フェスティバル
ふれあいコンサート II


会場:松本市音楽文化ホール(ザ・ハーモニーホール)
2024年8月18日







「ふれあいコンサート」は毎年、セイジ・オザワ 松本フェスティバル開催期間中に数回、サイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)メンバーや著名なゲストプレイヤーによって開催されるコンサート。名手たちの演奏を間近で聴くことができるため、クラシックファンに人気がある。

この日のプログラム前半はとてもユニークなパーカッション・アンサンブルでドン・リウッツィらSKOの打楽器セクションを中心としたメンバーによって演奏された。いつもSKOのティンパニ奏者として素晴らしい演奏を聴かせてくれるリウッツィが中心ということで、とても楽しみにしていた。

第1部、1曲目はヴィオラとパーカッションのための「グランド・デュオ」。1985年に作曲され、その後、この日のヴァイオリン奏者である岡浩乃とリウッツィのために書き直された曲。艶やかで伸びのあるヴァイオリンの音色や歯切れのよいピチカート、そしてリウッツィは、心地よく響くマリンバ中心に様々なパーカッションを駆使し、幅のあるプレイを聴かせた。

2曲目は「ムーブメント・イン・タイム」(リウッツィの委嘱作)。演奏の前に作曲者であるモーリス・ライトによる楽曲説明があった。2人のパーカッション奏者の視点から見た気まぐれなオーケストラの姿が描かれているという(長さ、テンポ、拍が異なる12のパートからできている12分の楽曲)。

曲のスタートでは、竹島悟史がグロッケン(鉄琴)、リウッツィがシロフォン(木琴)を演奏。その後、マリンバ、シンバル、ティンパニ等、さまざまなパーカッションで(時には共有しながら)、テンポや楽器の組み合わせが変わる中で多彩なプレイを披露。目まぐるしく動きながら、まさに「時間に間に合うように/move in time」で、見事な演奏を繰り広げる。ライトはPCを操作しながオーケストラサウンドをコントロール(人工的なオーケストラサウンドをパーカッション奏者の背景に置くことで、パーカッションにスポットライトを当てている)。そして目にも耳にも楽しい12分間のクライマックスでは、1つのスネアドラムを2人が同時に演奏しフィニッシュへと向かっていった。

3曲目は公演で繰り広げられるパーカッション・ジャムを描写した「リトル・ルンバ」
。竹原美歌がコンガ、リウッツィがスネアドラム、コンガ、カウベル、竹島悟史がボンゴとコンガを担当。リラックスムードで始まった3人の競演は、次第に激しさを増していき、怒涛のパーカッション・バトルへ。会場は大迫力のドラムサウンドに包まれた。



第2部のプログラムは、ガラリと雰囲気を変えて「ブラームス弦楽六重奏曲 第1番」。SKOの名手たちによる演奏は聴き応え十分。重厚感のある弦のハーモニーが圧巻だった第1楽章。深い音色で奏でられる悲痛なメロディが心に響いた第2楽章。リズミックな中で軽妙な表情を見せた第3楽章。そしてハーモニーの美しさがより際立った第4楽章と、
ストリングスサウンドの魅力を堪能したひと時だった。


<曲目・出演者>

モーリス・ライト:グランド・デュオ

ヴァイオリン: 岡 浩乃
パーカッション: ドン・リウッツィ

--
モーリス・ライト:ムーブメント・イン・タイム―2人のパーカショニストと電子音のための

ティンパニ/パーカッション: 竹島悟史、 ドン・リウッツィ

--
ローランド・モラレス=マトス:リトル・ルンバ
パーカッション: 竹原美歌、 竹島悟史、 ドン・リウッツィ

--
ブラームス:弦楽六重奏曲 第1番 変ロ長調 作品 18
ヴァイオリン: フェデリコ・アゴスティーニ、 ジュリアン・ズルマン
ヴィオラ: 川本嘉子、 中村翔太郎
チェロ: 佐藤晴真、 伊藤文嗣


レポート、撮影:Asako Matsuzaka



本サイト内の文章、写真、イラストほか、すべてのデータの無断転載を禁じます。
Copyright (C) Global Artist Network. All rights reserved.