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オーケストラ コンサート Bプログラム
特別イベント「小澤征爾総監督 感謝の会―その生涯を祝福して―」
ふれあいコンサート II
Concert Report
2024セイジ・オザワ 松本フェスティバル
オーケストラ コンサート Bプログラム
会場:キッセイ文化ホール
2024年8月17日
「オーケストラ コンサート Bプログラム」指揮者変更のお知らせ(2024年8月14日発表)
今年のオーケストラ コンサートでは、ブラームスの全交響曲が演奏された。これまでブラームスの交響曲はフェスティバル開催ごとに1曲ずつ演奏されることはあったが、今回はなんと全交響曲を演奏・・・惜しくも亡くなられた小澤征爾総監督の言葉にあるように「40周年を迎え、新たな時代への第一歩」を踏み出した、その気概のようなものを感じた。
この日のBプログラムでは第1番、第2番が演奏されたのだが、出演予定だった
アンドリス・ネルソンス氏の降板により、 急遽、 沖澤のどかが振ることになった。沖澤は2022年、同フェスティバルでの指揮が小澤氏の目に留まり、初のOMF首席客演指揮者として、小澤氏の後を託された人物である。すでに開催されたAプログラム(メンデルスゾーン、R.シュトラウス)での評価も非常に高く、サイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)とともに、どんな世界を作り上げてくれるのか楽しみであった。
実は今回、座席がかなり左前方となってしまい(さらに客席とステージの間が近いこともあり)、オーケストラ・サウンドとしてはかなりバランスを欠いた状態での鑑賞となってしまった。なので少々、バランスを欠いたレポートになってしまうかもしれないが、聴こえたままをお伝えしたいと思う。
1曲目はブラームス交響曲第1番。第1楽章の冒頭、断固としたリズムを刻むティンパニと深い音色で歌い上げ、迫力を増していく弦、この冒頭の掴みは見事! 気迫に満ちた沖澤を観ていると小澤氏をほうふつさせる物を感じる。非常にストレートで無駄のない指揮。メロディーを絡ませながら美しいアンサンブルを奏でる管、ゆったり抑揚に飛んだハーモニーを聴かせるオーケストラ。普遍的なテンポを保ちながらの、気迫に満ちた演奏が印象的だった。
不穏な雰囲気の第1楽章とは対照的に、ゆったりと、広がりのある大らかなサウンドを聴かせた第2楽章。第3楽章は、軽やかに、そして自在に全体をリードしていく管のアンサンブルが聴き応え十分。そして第4楽章。うねるように奏でられる艶やかな弦、緊張感に満ちたピチカートによるテンポアップ。緩急を繰り返しながら、より迫力を増していくオーケストラサウンドが会場を包んだ。
2曲目の交響曲第2番。第1楽章はとにかく優美。柔らかなハーモニーに全体が包まる。深いベース音と透き通るような高音、そして滔々と歌う中音と、SKOならではの弦のアンサンブルを堪能。澄み渡るような透明度の高い弦のアンサンブルに心を打たれた第2楽章。第3楽章では、場面場面で豊かな表情を見せる管のアンサンブルを楽しむ。そして第4楽章はとにかく輝かしい。沖澤もぐいぐいオケを引っ張っていく。ノリ良く、高らかに、煌びやかなオーケストラサウンドに圧倒されながら最高潮のエンディングであった。
2曲を聴き終えて、SKOの素晴らしさは十分に分っていたのだが、改めて、なんて表情豊かなオーケストラなのか、と思った。そしてそのSKOの魅力を存分に発揮させることができる沖澤の実力、素晴らしさを実感した。
小澤総監督のいない初めてのフェスティバル。だが、沖澤、SKO、全員の「総監督に届け」という思いを感じたような、見事な、見事なブラームスだった。
<プログラム・出演者>
曲名 ブラームス:交響曲 第1番 ハ短調 作品68
ブラームス:交響曲 第2番 ニ長調 作品73
演奏 サイトウ・キネン・オーケストラ
指揮 沖澤のどか
OMF首席客演指揮者 沖澤のどかに聞く(セイジ・オザワ 松本フェスティバル オフィシャルサイト > News )
レポート:Asako Matsuzaka
撮影:Michiharu Okubo
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