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Concert Report
2019 セイジ・オザワ 松本フェスティバル
ふれあいコンサート II
会場:ザ・ハーモニーホール
2019年8月25日
「ふれあいコンサート」は毎年、セイジ・オザワ 松本フェスティバル開催期間中に数回、小~中規模のホールで開催されている。サイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)メンバーや著名なゲストプレイヤーの演奏を間近で聴くことができるため、クラシックファンに人気がある。
この日はオール・ベートーヴェン・プログラム。第1部では若手オーボエ奏者3名による「ザ・リング・トリオ」が登場。フィリップ・トーンドゥルがオーボエ奏者として初めて「ベートーヴェン・リング賞」を受賞したのをきかっけに結成されたトリオだ。1曲目「モーツァルトの主題による12の変奏曲」では艶やかで美しいオーボエと落ち着いた響きのイングリッシュホルンによる繊細なアンサンブルが絶妙。トーンドゥルは軽やかな高速パッセージを聴かせた。そして「オーボエ三重奏曲」は聴きごたえ十分。鮮やかなテクニックを披露しながら、表現豊かに音楽を作り上げていく、時に快活に、時にゆったりと歌いげ、オーディエンスを魅了した。アンコールで演奏されたのは少しコミカルにアレンジした「エリーゼのために」。笑いも誘いながら、三人三様、鮮やかなテクニックを披露した。
第2部で演奏されたのはSKOの実力派メンバーたちによる「七重奏曲 変ホ長調」。冒頭、アダージョ-アレグロ・コン・ブリオでは、透き通るようなヴァイオリンと抑揚たっぷりに歌うクラリネットが印象的。優美なアダージョ・カンタービレではまろやかで深みのあるホルンの音色が響いた。明るく華やかなメヌエット、そしてスケルツォではヴァイオリンのジュリアン・ズルマンが高速パッセージを披露。アップテンポに乗って変化に富んだ表情と見せたアンダンテ・コン・モルト・アッラ・マルチャ-プレストまで、心地よい空間の中で上質な室内楽を堪能した。
曲目
第1部
モーツァルト「ドン・ジョバンニ」の「お手をどうぞ」の主題による12の変奏曲 ハ長調 WoO. 28
オーボエ三重奏曲 ハ長調 Op. 87
I.アレグロ
II. アダージョ・カンタービレ
III. メヌエット:アレグロ・モルト・スケルツォ
IV. フィナーレ:プレスト
アンコール)
エリーゼのために
演奏:
ザ・リング・トリオ
フィリップ・トーンドゥル、マティユー・ペティジョン(オーボエ)
マックス・ヴェルナー(イングリッシュホルン)
第2部
七重奏曲 変ホ長調 作品20
I. アダージョ-アレグロ・コン・ブリオ
II. アダージョ・カンタービレ
III. テンポ・ディ・メヌエット
IV. テーマ・コン・ヴァリアツィオーニ:アンダンテ
V. スケルツォ:アレグロ・モルト・エ・ヴィヴァーチェ
VI. アンダンテ・コン・モルト・アッラ・マルチャ-プレスト
演奏:
リカルド・モラレス(クラリネット)
マーク・ゴールドバーグ(ファゴット)
ニール・ディーランド(ホルン)
ジュリアン・ズルマン(ヴァイオリン)
叶澤 尚子(ヴィオラ)
上村 昇(チェロ)
渡邉 玲雄(コントラバス)
レポート:Asako Matsuzaka
撮影: Michiharu Okubo, Takeshi Yamada
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