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Concert Report
オーケストラ コンサート Bプログラム
オーケストラ コンサート Cプログラム
2018 セイジ・オザワ 松本フェスティバル
子どものための音楽会 特別篇
会場:まつもと市民芸術館 3F オープンスタジオ
2018年8月31日
マーカス・ロバーツ・トリオが子供たちのために用意した
スペシャル・プログラム
オーケストラ コンサート Bプログラム
セイジ・オザワ 松本フェスティバルでは毎年、「子どものための音楽会」「子どものためのオペラ」といった“子どものためのプログラム”が組まれているが、今年はマーカス・ロバーツ・トリオによって「障がいをもつ子どもたちを対象とした教育プログラム」が開催された。
当日は長野県内の特別支援学校(盲学校、ろう学校、養護学校)に通う子供たち(小学生~高校生)154名と引率者89名が招待されてマーカスたちのJAZZYなサウンドを体感した。
始まる前は、子供たちが聴きなれた曲(ディズニーミュージックなど)を取り入れながらジャズを聴かせていくのかと思っていたのだが、プログラムを見ると、ブルージーなナンバーはあるものの、「子供向けの選曲」ではなくて、オールジャズのプログラム構成だった。
会場に登場したマーカス・ロバーツ・トリオはまず「It Don’t Mean a Thing, If It Ain’t Got That Swing」を軽快に演奏。その後は1曲ごとにメンバーや楽曲、楽器やパートについて丁寧な説明しながらステージは進んでいく。さまざまな音色を出しながらの楽器説明では身を乗り出して聴き入る子供も見られた。
ジャズは初体験、という子供たちが多かったようだが、「聖者の行進」では大拍手!そして手拍子の練習をして聴いた「New Orleans Blues」では全員が2/4の手拍子で大盛り上がり!子供たちは体を動かしたり、声を出したり、それぞれが思い思いに、自由に楽しんでいた。
ジャズという音楽に、楽しみながら自然に入っていけるように構成されたプログラムで、「ジャズはCall & Response、会話で音を表現しているのです」という説明のあとでは、本当に楽器同士で会話しているような「The Duo」を聴かせてくれた。
ラストの「I Got Rhythm」の演奏前、マーカスが語った。
「今日、聴いていただいた音楽はたくさんの困難を乗り越えてきた人々によって作られた曲です。その人たちのように、私たちも毎日がんばらなければいけません。今ではテクノロジーの発達によって25年前には出来なかったことも可能になりました。皆さん、闘い続けましょう、できなかったことも必ずできるようになります!」
全盲という境遇のなかで苦労を重ねてジャズピアニストとなった、マーカスから子供たちへのエールだった。
終演後、会場の外では子供たちと楽しそうに触れ合うメンバーたちの姿があり、片言の英語で一生懸命、「感動しました」と伝える子供もいた。ある高校生は、「ジャズは初めてでした。一瞬でリズムが変わるのに驚きました」と、楽しそうに語っていた。マーカスたちが伝えたかった「ジャズの醍醐味」を、子供たちはなんの気負いもなく自然体で受け取っていたのだと思うと、一層、感慨深かった。
<プログラム>
1. It don't mean a thing, if It ain't got that swing
2. Mack the knife
3. When the Saints go marchin' in
4. New Orleans Blues
5. The Duo
6. Cherokee
7. I got rhythm
演奏
マーカス・ロバーツ・トリオ
マーカス・ロバーツ(P)
ロドニー・ジョーダン(B)
ジェイソン・マルサリス(D)
レポート:Asako Matsuzaka
撮影: Michiharu Okubo, Asako Matsuzaka
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