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Special Report
第16回 東京JAZZ

16th TOKYO Jazz FESTIVAL Official Site


9/2 daytime -THE JAZZ STREAM
9/2 Evening -FROM SHIBUYA TO THE WORLD
9/3 daytime -CELEBRATION!
9/3 Evening -JAZZ SHOWER






Sep. 3 (Sun) Evening

JAZZ SHOWER



ロン・カーター カルテット
川口千里TRIANGLE featuring フィリップ・セス & アルマンド・サバルレッコ
渡辺貞夫 CALIFORNIA SHOWER 2017 featuring デイヴ・グルーシン、リー・リトナー、ピーター・アースキン、トム・ケネディ





ロン・カーター カルテット





2日目の夜公演「JAZZ SHOWER」はロン・カーター・カルテットからスタート。さまざまな趣向がこらされたプログラムのなかにあって、唯一のオーソドックスなジャズ・カルテットだ。今年5月に80歳となった巨匠ロン・カーター率いるメンバーたちが紡ぎだすナンバーはどれも味わい深い。まさに「珠玉のジャズ」を堪能した1時間となった。

軽快な「Stablemates」から始まり、ゆったりしたスウィングで感動的に聴かせた「Stardust」へと続く。「Stardust」では一音一音、心をこめて丁寧に歌い上げていくトランペットと、美しい響きの余韻を楽しむようなピアノソロが印象的だった。「Blues in the Closet」では各メンバーが技巧を凝らしたプレイで聴かせたが、ここでは「Stardust」から一転、リニー・ロスネスは縦横無尽の高速パッセージを駆使したピアノソロを聴かせた。

カーターのソロナンバーとなった「You are my sun shine」では彼独特の、彼ならではのウッドベースの深い響きを堪能。そこにはゆったりと自在に、自ら楽しむようにメロディーラインをとるカーターの姿があった。ラストナンバー「Cut and Paste〜All Blues」ではテクニカルなフレージングが次々と繰り広げられたが、常に的確でバランスよくコントロールされたドラミング聴かせる、炸裂するような凄まじいドラムソロが圧巻だった。


Members:
ロン・カーター(b)、ウォレス・ルーニー(tp)、リニー・ロスネス(pf)、ペイトン・クロスリー(ds)


SET LIST
1. Stablemates
2. Stardust
3. Blues in the Closet
4. You are my sunshine
5. Cut and Paste〜All Blues


レポート:Asako Matsuzaka





川口千里TRIANGLE featuring フィリップ・セス & アルマンド・サバルレッコ





20歳ですでに10年以上のキャリアを持つ大型新人が凄腕2人と演じるフュージョン大会。
川口千里といえば現在Casiopea 3rdで活躍するキーボーディスト大高清美とのデュオ・ユニットKIYO*SENでの活動や、Asia、The AristocratsのGuthrie Govanとの競演など最近特に注目を集めているドラマーだ。菅沼孝三に師事しただけあって手数の多さでは抜きんでている。

今回は昨年発売されたCD「CIDER ~Hard&Sweet~」の録音メンバーであったフランス人キーボーディストPhilippe Saisseとカメルーン人ベーシストArmand Sabal-Leccoとのトリオで、同作の曲を披露。

サウンドエフェクトからテクニカルなリズムに突入する1曲目「ZEMBLA」はキーボードとドラムスの掛け合に続く歌心のあるフレットレス・ベースの音が心地よい。2曲目「Wupatki」ではアルマンド・サバルレッコがフレットベースに持ち替え、フィリップ・セスのキーボードが疾走するところへ川口千里の手数の多いドラムスが絡むスリリングな展開。

ミディアム・テンポな3曲目「Am stram gram」ではベースは再びフレットレスに持ち替え。ライト・フュージョンというべき軽快な印象の曲だが、ドラムスの手数とベースの歌心が聴かせる。続く「Tucheze」はアーバンな感じの曲だが所々に仕掛けられたキメのブレイクがポイントで、ドラムスの技が光る。

メンバー紹介に続いて5曲目の「Blue Ronde」、これはピアノとドラムスのみで、ほぼドラムソロといった印象の前半部とベースが絡んでくる後半部で構成されている曲で、ドラマー川口千里の技の見せどころ。次の「Park Moderne」ではベースの弦を手でこすって出すつむじ風のような音が面白い。キーボードのカリンバの音とフレットレスベースの相性が抜群だ。所々に拍子の変わるトラップが仕掛けられているのが楽しい。最後の「Flux Capacitor」はミディアム・テンポなのだが展開が速いため曲としては速く聞こえるところが面白い。

以前は「女子高生ドラマー」などと言われていたが、こうして名手たちと渡り合う実力も備えた技巧派ドラマーとして観客を魅了したステージだった。


Members:
川口千里(ds)、フィリップ・セス(key)、アルマンド・サバルレッコ(b)

SET LIST
1. ZEMBLA
2. Wupatki
3. Am stram gram
4. Tucheze
5. Blue Ronde
6. Park Moderne
7. Flux Capacitor


レポート:Tatsurou Ueda




渡辺貞夫 CALIFORNIA SHOWER 2017
featuring デイヴ・グルーシン、リー・リトナー、ピーター・アースキン、トム・ケネディ





TOKYO JAZZ "the Hall" のラストを飾るのは渡辺貞夫率いる超豪華メンバーたち。JAZZ& FUSION界の大御所によるステージに会場は大いに盛り上がった。

メンバー登場から大歓声があがり、1曲目「ORANGE EXPRESS」がスタート。渡辺貞夫のサックスが爽やかにメロディーを奏で、場内はウェストコーストサウンドに包まれる。心憎いまでにツボを押さえたアースキンのドラミングはさすが、グルーシンは心地よくうねるシンセソロを聴かせた。

最高のアンサンブルのなかで、よりサックスが際立った「BUTTERFLY」、心地よいスウィングにのって奏でられるピアノの美しさ、抑揚豊かなトム・ケネディのベースソロが印象に残る「TREE TOPS」と続き、ずっしりとしたロックビートにのった「SONGOMA」へ。リー・リトナーのロックフィーリング溢れるソロがカッコいい。このユニットにはリトナーの先輩格が多いせいか、いつもよりリラックスした感じで楽しそうに演奏していた。

サックスが情感たっぷりなメロディーを聴かせた「ALL ABOUT LOVE」、そしてシンプルながら強靭なストロークのドラムと安定感抜群のベースによるグルーヴが気持ちよくハマった「STRAIGHT TO THE TOP」。のびのびとプレイするリトナー、熱のこもったプレイで集中力を増していったグルーシンのソロ、ベテランならではの絶妙な間を感じさせるピーター・アースキンのドラムソロ、圧巻のプレイの応酬でオーディエンスをぐいぐいと引き込んでいった。 ピアノが消え入りそうなほど繊細に奏でた「CALL ME」、「I THOUGHT OF YOU」と続いたあとは、渡辺貞夫の代表曲「CALIFORNIA SHOWER」。イントロから大歓声&手拍子、会場が一体となって大いに盛り上がった。

アップテンポの中で凄まじいドラムソロが展開された「CHEGA DE SAUDADE」、伸びやかにサックス歌った「TEMBEA」、会場全体で楽しくグルーヴしたラストナンバー「LIFE IS ALL LIKE THAT」まで、最高のメンバーによる、一夜限りの贅沢なバンドアンサンブルを楽しんだ。この日のアンコールは「花は咲く」。想いを込めてメロディーを吹く渡辺の姿が心に残った。


Members:
渡辺貞夫(sax)、デイヴ・グルーシン(key)、リー・リトナー(g)、ピーター・アースキン(ds)、トム・ケネディ(b)


SET LIST
1. ORANGE EXPRESS
2. BUTTERFLY
3. TREE TOPS(こずえ)
4. SONGOMA
5. ALL ABOUT LOVE
6. STRAIGHT TO THE TOP
7. CALL ME
8. I THOUGHT OF YOU
9. CALIFORNIA SHOWER
10. CHEGA DE SAUDADE
11. TEMBEA
12. LIFE IS ALL LIKE THAT
13. 花は咲く


レポート:Asako Matsuzaka



画像提供:第16回 東京JAZZ
撮影:中嶌 英雄、岡 利恵子
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