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LIVE REPORT


-GLOBAL ARTIST NETWORK企画ライブ第一弾-

RYO OKUMOTO SUPER QUARTET
"We Rock!"


激しさと静けさ、突き抜けた歓びと秘められた美しさ・・・言葉にならないからこそ成し得た音楽の奇跡


22 February 2003 at ASTRO HALL ...The Day Jazz Rocked >> Flier(2/22 チラシ)

Members:
奥本亮(Keyboards): Official Site
http://www.ryookumoto.com/ Fan Site http://www.bea.hi-ho.ne.jp/piyuchan/
増崎孝司(Guitar): "Dimension Official Site" http://www.being.co.jp/dimension/
村上聖(Bass): Fan Site
http://pap.cside3.com/
則竹裕之(Drums): Official Site http://www.village-a.com/HiroyukiNoritake/ Fan Site http://homepage1.nifty.com/noritake/


メンバーの皆さんからのコメントとメイン使用機材はこちらをご覧ください

増崎孝司、則竹裕之、村上聖・・・とくればジャズ・フュージョンのファンならば誰でも知っているスター・プレイヤーであり、その3人がユニットを組んだとしたら即ち「ドリーム・チーム」ないしは「スーパー・グループ」という言葉が浮かぶだろう。そのスーパー・グループのステージが(今のところ)一夜限りだが奇跡的に実現した。なぜか?それは奥本亮が「日本で最高のプレイヤーと演奏したい」と望んだからであり、そしてその期待にかの3人が応じたからである。

席を埋め尽くした聴衆の好奇心と期待感が高まる中、会場となった原宿アストロ・ホールの照明が落とされ、ステージにはスモークが流れる。カクテル・ライトの中にかの3人が現れ、これから始まる饗宴のプロローグをフリー・ジャムで奏でる。絡み合うベースとドラムス、縦横無尽に駆け巡るギター、そして音の厚さが増したところへシンセサイザーの音が被さると、今日のメイン・ビルである奥本亮がショルダーキーボードを携えてステージ脇から登場する。


すでにステージは熱を帯びており、ベースがリフで迎えるとフリーフォームな音の洪水の中から一曲目の"KAMIKAZE"が次第にその姿をあらわしてくる。普段はクールなフュージョンサウンドを聞かせる増崎、則竹、村上の3人だが奥本の荒ぶるキーボードに煽られてロック・スピリッツのこもった熱い音を叩き出している。この時点で会場はステージから吹き付ける音の嵐に呑み込まれてしまったようだ。

曲は続いて"WAITING TO BE BORN"へ。エレクトリック・ピアノが奏でる少しブルージーなリフに乗せてギターがボリューム奏法で入ってくる。刻むドラムスが曲をリードして行き、ベースが表情豊かに歌っている。ギターは終始ブルージーな陰を帯びている。いつも思うことだが奥本のキーボード・オーケストレーションの腕は実にしたたかだ。シンセ音とエレクトリック・ピアノを巧みに使い分けて曲を構成して行く様はプレイヤーとして、またアレンジャーとしての彼の才能を表わすに充分といえる。

曲はMCなしに進んで行き、細かくリードするドラムスに続いてベースが"SPACER"のリフをぐいぐいと押し出して行く。ギターとキーボードのユニゾンが小気味良い。途中シフトアップするかのようなゴリゴリのロック・リフが始まると先ほどとは打って変わって増崎のギターが駆け巡る。しかし奥本の操るCX-3が吼えるとその圧倒的存在感で全てをさらってしまうのはさすが世界の奥本。曲の終わりではCX-3が"レズリーの効いた唸る野獣から静謐なコラールへ"と表情を変えるのだが、これも奥本の非凡さを見せつけて余りあるといわずばなるまい。

その空気に呑まれて静まり返る聴衆はすっかり奥本の手に操られて"CRYSTAL HIGHWAY"へと連れ去られる。クールな都会的サウンドが前曲の火照りを冷ますようだ。テンションと浮遊感のあるキーボードに乗せて村上のよくコントロールされたベースソロが光る。徐々に激しさを増して行くとドラムス、ギターがさらに盛り上げて行く。ロベン・フォードを思わせるギターソロで迎えるエンディングに会場は沸き立つ。

続く"SOMEWHERE SAFE"では奥本の奏でるアルゼンチン・タンゴ風なピアノに乗せてアコースティックギターに持ち替えた増崎がなめらかなピッキングを聴かせたあとジャヴァンを思わせる小粋なシャッフリングへと流して行く。こうしたエスニックな要素のある曲では則竹のリズム・メーカーとしての才能が際立つ。それにしてもここでの奥本のピアノはリズムと言い、ハーモニーと言いラテンそのものだ。村上の歌うベースソロも短いながら味わい深い。

 
奥本亮(Keyboards) 則竹裕之(Drums)
   
 
村上聖(Bass) 増崎孝司(Guitar)



しばしのMCのあと、奥本の「Let's Rock!」 のシャウトに呼応して"ロックするジャズバンド"がはじけると奥本の幻の名盤「Makin' Rock」からのメドレーの始まりだ。増崎ルカサーのギターが吼えれば村上、則竹も熱いビートで絡んでくる。いくつものチェンジアップやキメを配しながら力強さと曲の一体感を失わず突き進むのはやはり奥本の巧みなキーボード・オーケストレーションがあればこそと、今さらながらに感服させられる。

というのも、18分以上にわたる長大なメドレーなのだが"中だるみ"と言うものがまったく感じられないのだ。スローなパートで見せる増崎のフィードバックを使ったギターフレーズが情感のこもった良い味を出しているのも、プレイヤー自身が曲に入り込んでいる証拠と言ってよい。そして13分を過ぎるころに飛び出してくる、Spock's Beardでもおなじみの7拍子のリフ。ここへきて会場の興奮は最高潮、ステージ上で全員が"これでもか"とばかりに弾き倒す様は実に圧巻だ。

曲は変わって"SAY YOU'LL STAY WITH ME"。パット・メセニー・グループで知られるライル・メイズを思わせるキーボードの音がどこかけだるい雰囲気をかもし出している。どこかラテン風なトーンが漂い、少しだけブルージーなギターソロからシンセとギターのユニゾンでメインメロディーが奏でられると、これはまさに奥本ワールドである。

スチール・ドラムのサンプリングでなにやら軽快なムードで始まるのが次の"ATSUI NATSU"。曲名どおり暑い夏を思わせる曲が真冬に響くのも不思議だがそれに乗せられてしまうのもまた不思議。これも会場の熱気のなせる技に違いない。このあたりでバンドとしてのまとまりが一番出てきたようだ。ラテン・リズムを刻むキーボードにギターとベースが踊っている。則竹のドラムスは相変わらず巧みに曲を引っ張って行く。

次の定番曲、"ORIGINAL VIEW PLUS"が始まると客席が波打つように動き始める。ミドルテンポでレイドバックな曲だが今回はいささか趣が違う。絶妙なスイング感。スラップベースのソロが実にスパイシーな味わいを加えている。そして後半のハードロック大会はへヴィーな中にも洒落っ気が満ちている。本当に楽しい。

則竹と増崎がステージを去るとストリングスに導かれて清清しいピアノの音が響く。"ASA"の始まり…クラシックな端正さを湛えた緩やかなサウンドスケープが明染めた空と緑の草木に滴る朝露をステージに飾る。ベースが語りかける。エレクトリック・フレットレスベースがこれほどまでに木質な響きを持ち得るものだろうか。
4つの手が描く朝の情景、印象派の絵画が音を持ち得るならばこうした音であるに違いない。奥本の骨の髄に染み込んだジャズが鍵盤をすべるように駈けぬけると、それは憎らしいほどに粋で美しい。

会場は水を打ったように静まり返っている。曲が終わってもだれも動かない。次に来る音を待ちわびても報われないと気がついたときに起こる拍手は幾ばくか残念そうに響く。それほどまでに胸を打つ演奏だったという事だ。

則竹がドラムセットに戻るとシンセサイザーが唸るような不気味な音を吐き出す。ストリングスの音すら邪悪な影を帯びている…前曲と打って変わって不安な予兆に満ちた始まりは他でもない、"GODZILLA vs. KING GHIDARAH"である。則竹の打ち出すシンバルの音が警鐘のように響くと、村上のファズベースがゴジラの強大な尾のように地を這う。奥本のキーボードからは放射能が吐き出されているに違いない。トリオ編成ならではの"聞かせどころたっぷり"なキーボードに挑発されて、怒り狂うかのように弾き倒すベースソロは今日のステージの白眉かもしれない。どれほどの迫力だったか…ソロのあと、奥本がキーボードの手を止めて言ったその一言。「もう一回やってっ!!」

増崎が戻ると、やおらChunkyなカッティングが息を呑む速さで繰り出されてくる。手首のスナップを効かせた連続技に前曲の興奮冷め遣らぬ会場が思わず声を上げる。クールに構える増崎だが、前曲の熱いバトルに確かに挑発されている。これぞライブの醍醐味というものだ。曲は"SHIBA"、ややブルーな表情を装った曲調ながらそこここに意外な展開を巧みに配したアクロバティックな曲にメンバー全員が絡み、突っ込んでくる。ここでも奥本の名アレンジャーぶりが光る。

再びメロウなピアノの響きが会場を渡って行くと、奥本にとって特別な思いのある曲、"COMING THROUGH "が静かに始まる。いくつもの山場を配した胸に迫るバラードだ。本来はヴォーカル曲だが、今回はインストゥルメンタル・アレンジで曲本来の味わいを前面に出した演奏となった。奥本のキーボード・オーケストレーションが本当に素晴らしい。普通ならば何人もの手で奏でられるであろう重奏音が、奥本のふたつの手で、シークエンサーなどのギミックに頼ることなく、毅然とした深い音楽性に支えられて紡ぎ出される。そうした奇跡を目の当たりにできる、この場に居合わせた人たちは本当に幸運だ。

そして最後の曲。"KIGHTS IN THE DARK MIST"、村上のボリュームを絞ったベースのストラミングが徐々に響きを増して行く。スタンリー・クラークが エイブラハム・ラボリエルにバトンタッチしたかのような表情豊かなベースソロが休符を入れると、すかさず増崎が合いの手を入れて来る。会場が沸き立つ。こうなると奥本も黙ってはいられない。
振り切るように弾きこむE.ピアノとオルガン。奥本得意のラテン・フュージョンがスピードに乗って風を切って走り出すと、奥本ワールドが会場を包みこんでゆく。則竹のドラムソロが痛快だ。フットペダルのウッドブロックでリズムをキープしながらあらゆるビートをこれでもかと繰り出してくる様を名人芸といわずして何と言おう。変拍子のリフに戻って終わると思いきや、最後はハードロック然としたジャムを聴かせてくれるところが心憎い。

アンコールはもちろん"FREE FALL"。まるで音の自由落下状態の中を則竹、村上、増崎の3人のテクニシャン達が絡み合い、もつれ合い、お互いを前へ前へと押し出して行くかのようだ。ショルダーキーボードの奥本が現れるとその自由奔放さが更に深くなって行く。スピード感の中に随所に小技をちりばめた音のカレイドスコープだ。会場に降り立った奥本はスタッフの肩車に乗って練り歩くが曲のスピード感は一向に衰えない。地球周回軌道に乗ったSuper Quartetは燃え尽きるまで止まらないとでも言いたげだ。

かくして、奥本亮というスーパー・ミュージシャンに操られたスーパー・バンドの一夜は幕を降ろしたわけだが、この興奮はちょっとやそっとでは、おさまらない。こうなれば奥本の言葉を借りなければならないだろう・・・「もう一回やってっ!!」



SET LIST:

1. KAMIKAZE
2. WAITING TO BE BORN
3. SPACER
4. CRYSTAL HIGHWAY
5. SOMEWHERE SAFE
6. "MAKIN' ROCK" MEDLEY 〜Solid Gold, Keep on Rockin', Mystery White, L.A. Express, Freedom〜
7. SAY YOU'LL STAY WITH ME
8. ATSUI NATSU
9. ORIGINAL VIEW PLUS
10. ASA (R.Okumoto and K.Murakami)
11. GODZILLA vs. KING GHIDARAH (R.Okumoto, K.Murakami and H.Noritake)
12. SHIBA
13. COMING THROUGH
14. KIGHTS IN THE DARK MIST

ENC)
FREE FALL






Report: Tatsuro Ueda
Photos: Chikako Ozawa, Yoko Ueda, Takahiro Tsukahara


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メンバーの皆さんから、コメントをいただき、当日、メインで使用されていた機材を教えていただきました!


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奥本亮さん

自分の実力が発揮できた素晴らしいショーとなった。メンバー、クラブともに大満足。早くVol. 2をやりたい!

<主な使用機材>

[Keyboards] KORG: CX-3,
TRITON STUDIO 61 keys, YAMAHA: P-250, CASIO: AZ-1
[Speaker] Leslie 145
[Effecters] Digitech: Wahmmy, BOSS: V-WOWほか


*YAMAHA P-250(Digital Piano)以外のセッティングは2/22「Ryo Okumoto Super Session」(Artist Press Vol. 9)のセッティングとほほ同じです。

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村上聖さん

今回、奥本氏とはもちろん初共演だったのですが、ギターの増崎氏とも初の顔合わせという事でとても楽しみにしていたライブでした。音楽もプレイヤーのアプローチによって秒刻みで変化して行くのですが、最終的に表現したいと思われる「核」の部分はしっかりとしていて、気がつけば奥本Worldの中で自由に遊んでいた...いや遊ばされていたのかもしれませんね。(笑)ミュージシャンの方々、そして一緒に時間共有したすべての皆さまに感謝の気持を贈りたいと思います。

<主な使用機材>

[Bass] K2 Guitars Factory: K.Murakami Model 5 Strings Bas , Crews: Jackson 5 Strings Bass(Fletless)
[Amp
lifier] EDEN WT-400: Travelar Plus
[Cabinet] EPIFANI T-210


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増崎孝司さん

今回、初めて一緒に共演させていただき感謝しています。最近こうしたRock Fieldから遠ざかっていたので、何だか懐かしいような、清々しいような気持ちでした。音楽を創る喜び、そして素晴らしい演奏家の皆さんと出会えた喜び、その全てを導いてくれた奥本さんはじめGlobal Artist Network、Staffの皆さん、そしてMusicianにお礼を言います。

<主な使用機材>

[Guitars] Baker Guita r:B1 Goldtop, John Shur Guitar: Std Firemist Silver, Wechter: Pathmaker Nylon strings/with piezo PU
[Amplifier Rack(4unit)]
Preamp: VHT GP-3 Tube preamp, Poweramp: VHT 2150 Tube Poweramplifier
[Effects Rack(4unit)] Eventide Eclipse Harmonizer, TC electronics:1210 Chorus/Flanger, C.A.J: VCA Volume Controler, C.A.J: Power Distributer
[Effects Boards] C.A.J: RS616 Midi Controled Swicthing Board, MXR: Dyna comp, Coconat2 Vintage effect, Arion: analog chorus, Fulltone: Super Tremolo, Korg : Volume pedal, Custom design Wah pedal
[Speaker Unit (Stereo)] C.A.J: Original Enc with Vintage30 speaker

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則竹裕之さん

奥本さんはとても熱い方だと思いました。また
楽曲の自由度が高く、いろいろなハプニングを楽しませていただきました。どうもありがとうございました。またこのメンバーで、今後より良い形で発展させていければいいなあ・・・


<主な使用機材>

[Drum Kit] YAMAHA: Birch Custom Absolute
[Cymbals] Zildjian: K.Zildjian Series

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Global Artist Networkで初めて企画させていただいたライブ「Ryo Okumoto Super Quartet "We Rock ! "」は、
おかげをもちまして、大盛況のうち無事終了いたしました。ご来場いただいた皆さま、本当にどうもありがとうございました!

急遽決定し、まさに勢いのまま本番に突入したライブでしたが、本当に感動的で素晴らしい一夜となりました。
大熱演で最高のパフォーマンスを披露していただいたメンバーの皆さま方になによりも心から感謝申し上げます。

そして、このライブを実施するにあたって、ご支援、ご協力いいただいたスタッフおよび関係者の皆さま、
そして会場アストロホールの皆さまに深くお礼申し上げます。

Global Artist Networkでは次回の企画ライブも検討中です。皆さまからのリクエストなどございましたら、ぜひお寄せください。

GLOBAL ARTIST NETWORK

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