mini
REPORT
KANKAWA
122 "Nucleus Dance"
塩谷哲TRIO (2003.4.24)
神保彰 ワンマンオーケストラ+ミニインタビュー(2002.12.14)
KENGO 『Moon Stone』発売記念ライブツアー(2002.11.5)
"Dr.FEELGOOD JAPAN TOUR 2002"(2002.11.4)
J-Trash(2002.9.24)
天野清継ライブ(2002.9.9)
宴 CD発売記念ライブ(2002.8.15)
古川兄弟(2002.7.24)
Nervio CD発売記念ライブ(2002.7.20)
須藤満ウルトラ・セッション2 Days ! (2002.7.10)
Blues Alley All Stars Vol. 2(2002.7.7)
「Blues
Alley All Star's」はBlues Alley Japan企画&主催のスペシャルライブ。ステージ上にずらりと並んだB3、フェンダーローズ、グランドピアノが目を惹く。ライブはとにかく楽しいの一言、聴き応えたっぷりの分厚いホーンセクション、白熱したソロの応酬。小川文明、フィリップ・ウーはB3とフェンダーローズ、ピアノを交互にあやつり、本物の音を存分に聴かせる。ヴォーカルのパリス・ロンドンのエンターテインメントぶりはさすがで、観客を惹きつけた。セカンドセット後半には、この日、観客として訪れていた難波弘之が飛び入り参加。ノリのよいファンクあり、バラードありでラストまでステージ&客席一体となって大いに盛り上がった一夜であった。(A.M)
Members:
Philip Woo<ex. MAZE>、小川文明<ex.
真心ブラザーズ>(HAMMOND B-3/Pf)
高田真(D)、小松秀行(B)、岩見和彦(G)
佐々木史郎、鈴木正則、佐野聡(Tp)、臼庭潤(T.Sax)
Paris London(Vo)
<SET LIST>
Red Cley、Ribbon
in the sky、Vongola Soup、Smokin'、Keep On Some On Feelin'、Seeking About Tomorrow、What
Is Hip、Way Back Tomorrow、Get Up I Feel Like Being A Sex Machine ほか
聴き応えたっぷりの、まさに"ウルトラセッション"だった。この日のメンバーは須藤満と野獣王国の3人のメンバーという組み合わせ。気心のよく解ったメンバー達ということもあって、セッション独特の緊張感はありながらも、和気あいあいとした楽しい雰囲気で進行したステージであったが、互いに触発されて展開されるインプロヴィゼイションの応酬には目を見張るものがあった。須藤の弾き出す強烈なビート感と抜群のテクニックを駆使したアドリブ、是方のハートフルでストレートな表現、難波の切れ味鋭く縦横無尽なプレイ、小森のダイナミックはドラミング・・・と、オーディエンスをぐいぐい引き込んでいった。そしてもう1つ面白かったのは各曲へのアプローチである。セットリストの中には数回耳にしたことがある曲も多かったのだが、いつもとは違う曲へのアプローチやプレイスタイルによって新たな発見や魅力を見出した。ことに須藤のスラッピング奏法による「Dimension Traveler」には新鮮な驚きを覚えた。セッションライブの醍醐味を十分に堪能した一夜であった。(A.M)
Members:
須藤満(B)、是方博邦(G)、難波弘之(Key)、小森啓資(D)
1st set
1. Rushing Spirits (M.Sutou)
2 Lonely Planet (H.Korekata)
3. Where Are
You Going? (M.Sutou)
4. Expecting The Spring(K.Komori)
5. Dimension Traveler(H.Namba)
2nd
set
1. Rafflesia(H.Korekata)
2. Progroove(H.Namba)
3. 2000GT(K.Komori)
4. ふりにげ(M.Sutou)
5. セーヌのメロディ〜LA MELODY DE LASEINE〜(H.Korekata)
Enc)
Manteca(M.Santamaria)
Member:
新澤健一郎(p,moog,kb) http://cat.zero.ad.jp/shinzawa/
水野正敏(b) http://www.col.ne.jp/~mizuno/
音川英二(ts,ss) http://www01.vaio.ne.jp/awkward/otto/
ヤヒロトモヒロ(perc)
岩瀬立飛(ds,perc,voice)
http://www2.ocn.ne.jp/~tappy184/
<SET
LIST>
1st set:
1.Forest Air
2.騙し絵
3.Quaff
4.Treasure Hunt
2nd set:
1.Pa・ra・bo・la
2.まりも
3.偶然の風の中
4.Chimerical Chime
Enc)
1.Boil Coil
"古川兄弟"を聴くのは2月のCD発売記念ライブ以来。そこには"バンドとして、よりパワーアップした"古川兄弟"の姿があった。トッププレイヤーたちが集まったバンドであり、その演奏クオリティの高さには前回も感銘を受けたが、今回のバンドとしてのインパクトは相当に強力なものがあった。とにかくバンド全体の表現力が素晴らしく豊かで、音楽を通して"彼らが描こうとする世界"が聴く者にとてもわかりやすく伝わり、その空間を全員で共有できたような気がした。曲もハードロック、心地よいグルーヴを感じながらのメロディアスな曲、複雑なプログレフュージョンとバラエティに富んだ魅力的な曲ばかり。また、バンド全体の力が結集したうえで展開されるインタープレイも聴き応え十分!感性と発想の豊かな古川初穂、スケールの大きな小池修、縦横無尽な永井敏己、シャープなドラミングの則竹裕之、コンガの響きがグルーヴ全体により深みを持たせたカルロス菅野、そして特に、古川望のプレイは音色の美しさに凄まじいまでの迫力が加わり、スピリットを感じた。
Members:
古川初穂(Key)、古川望(G)、小池修(Sax)、永井敏己(B)、則竹裕之(D)、カルロス菅野(Per)
1st set:
1. With A Birth
2. Milk Shock
3. Reflections
In The Water
4. Dragon's Dream
5. Mia Cadol
* 冒頭、カルロス菅野の歌う、チャド(サンテリアの宗教歌)が入った。
2nd
set:
1. 25 Blues
2. Fifth Heaven
3. Blueland
4. Children In Fairytale
5. Escape From The Blackhole
Enc)
Waterfall Boogie
「宴」は岩瀬立飛を中心に若いアーティストが集まった、新しいスタイルのピアノトリオ。若者らしいストレートな表現や感性豊かなインプロヴィゼイションの応酬が聴き応え十分なのはむろんであるが、特に印象的だったのは、しっとりと聴かせる静かなナンバーにおけるかれらの深い音楽表現力である(8月21日リリースのアルバム「宴」を聴いた時も、大変味わいものを感じた)。ナイーブな感性でメロディアスに奏でる箭島裕治、クラシカルな奏法も取り入れながら一音一音、心をこめて、全身で表現する林正樹、この日も卓越したパワー、テクニック、そして優れたバランス感覚で圧倒的なドラミングを披露した岩瀬立飛・・・宴は素晴らしい可能性を秘めたバンドである。
Members:
林 正樹(Pf), 箭島裕治(.B), 岩瀬立飛(D)
ファーストアルバム「宴」リリース情報はこちらをご覧ください。
1st
set:
1. 宴 (Tappy Iwase)
2. Yajima (Tappy Iwase)
3. Chopper (Tappy
Iwase)
4. Passeio (Masaki Hayashi)
5. Spirit of the Forest (Masaki Hayashi)
6. The Glacial Queen (Yuji Yajima)
2nd
set:
1. Flight for the 21st (Masaki Hayashi)
2. 禁断の思ひ (Tappy Iwase)
3. ヤンバルクイナのかくれんぼ (Masaki Hayashi)
4. 蜃気楼 (Yuji Yajima)
5. 春のマーチ (Yuji
Yajima)
Enc)
7 Dwarfs (Tappy Iwase)
音色、テクニックともにとても洗練された、"上質なフュージョンサウンド"を心ゆくまで楽しんだライブ。小川真司&山下政人のリズムセクションが生み出すグルーヴはとてもツボを得ていて心地よく、さわやかなウェストコーストサウンドや激しいビート感とともに各人の卓越したプレイを堪能した。特に圧巻だったのは「Out
Of Town」「Yuman's Dance」。感性のひらめきを感じさせる松本圭司のエレピソロ、多彩なプレイで圧倒した天野清継、スピード感&持続感あふれるビートを繰り出す小川真司、ソロワークでは爆発的なパワーも見せた柔軟で巾のあるドラミングの山下政人、と痛快で白熱した展開となった。一転して静かな空気の中で感動的だったのが「Azure」。天野の奏でるアコースティックギターは絶品であり、その音色には特別な輝きを感じた。そしてこの日、2nd
Setからはゲストヴォーカル葛谷葉子が登場。「Street Life」「最後の夜」を深い表現でしっとりと歌い上げた。
Members:
天野清継(G)、松本圭司(Key)、小川真司(B)、山下政人(D)
Guest: 葛谷葉子(Vo)
1st Set
1. Spirit Of The West
2. Okinawa
3. Foot Steps
4. First-time Love
5. Out Of Town
2nd
Set
1. My Cherie Amour (K.Amano, Vo)
2. True Lies (Y. Kuzuya, Vo)
3. Street Life (Y. Kuzuya, Vo)
4. Sky Blue Sky
5. Azure 〜 Mt. Hood
6. Freedom Land
7. Yuman's Dance
Enc)
最後の夜
(Y. Kuzuya, Vo)
John & Jerry
日本を代表する実力派アーティスト達が集まったJ-Trash、そのサウンドは、華やかでカッコいい。そのサウンドは、華やかでカッコいい。ポップに、リズミックに、そしてロックっぽく、と次々と展開されるインスト・ナンバーは、聴きやすくて楽しくて、どんどん惹きこまれていく。5本の管による厚いブラスアンサンブルと各曲で展開されるインプロヴィゼイションは魅力にあふれていた。
3人のサックス奏者たちは、迫力の小池、キレ味鋭いつづらの、そしてなにより"メロディー"を感じさせる青柳、とそれぞれが大いに個性を発揮、中路のトロンボーンは深くまろやかに響き、佐々木のトランペットが高らかに鳴った。サウンドを支えるリズム隊、鶴谷と玉木は激しいリズムにのって打のアンサンブルを聴かせ、村上は群を抜くテクニックと抑揚のあるプレイで圧倒。古川のギターは激しさを増すサウンドとともにエキサイトしていく。左右に陣取った2人のキーボードプレイヤーも、中村がシンセを駆使した効果的なサウンドを奏で、青柳のピアノが美しく響いた。
そして、この日のフィーチャード・ヴォーカリストは中西圭三。オリジナルナンバーの他にボビー・コールドウェルやスティーヴィー・ワンダーを伸びのある声をたっぷり聴かせて熱唱した。
あっという間に過ぎてしまう楽しいひと時だった。これだけのメンバー、色とりどりの曲を、バランスよく見事に"料理"してしまう、青柳の手腕が光ったライブであった。
Members:
佐々木史郎(Tp)、中路英明(Tb)、小池修(Sax)、つづらのあつし(Sax, Fl)、
古川望(G)、青柳誠(Key,
Sax)、中村康就(Key, Prog)、村上聖(B)、 鶴谷智生(Ds)、玉木正昭(Per)
Featured Vocalist: 中西圭三
<Set List>
1st Set
1. Rolling
2.
Atami
3. JT-04
4. JT-01
5. Goodtime! Badtime (Vo. K.Nakanishi)
6. 眠れぬ想い(Vo. K.Nakanishi)
7. You & I(Vo. K.Nakanishi)
8. I Need You(Vo.
K.Nakanishi)
2nd Set
1. Kumamoto
2. Phoenix
3. Tsuki no Yoru
4. The Broccoli's House
5. What Is Hip! (Vo. K.Nakanishi)
6. 風のシルエット(Vo. K.Nakanishi)
7. Woman(Vo. K.Nakanishi)
8. A. C. E. (Vo.
K.Nakanishi)
9. Son Of The Sun(Vo. K.Nakanishi)
Enc) Sir Duke(Vo.
K.Nakanishi)
この日はレーベル「Blues Alley Interaction」の第一号アーティスト、KENGOのCD発売ライブツアー千秋楽。和やかでハッピーな雰囲気な中で、ポップに、ソウルフルに、大いに盛り上がったライブだったが、特に印象に残ったのは「そうだよ」「水たまり」「ダイジョウブ」など、語りかかるように歌った静かなナンバーである。KENGOはとても詩を大切にするヴォ-カリストで、丁寧に心を込めて歌い上げた数々のバラードは、その一言一言が心に響いてくる。またバンドメンバーの息の合った演奏にも好感が持たれ、「Everyday
Everynight」は静かな感動をよんだ。聴く者の心に直接語りかけることの出来るKENGO。これからの彼の活動が楽しみである。
Members:
KENGO(Vo)、鈴木 憲彦(Pf, Key)、菊池 真義(G)、田野 幹三(B)、中島 肇(D)、 羽田 智子(Cho)、 安奈
陽子(Cho)
<Set List>
1st Set:
1. Sexy
Eyes(Dr. Hook)
2. Moon Stone
3. そうだよ
4. Everyday Everynight
5.
Nudism -P. SEX-
6. New Song -War-
7. Sugar Days
2nd
Set:
1. I Got You(James Brown)
2. Milk & Coke
3. 鎮静の月
4. Good
Time
5. News
6. Like A Rolling Stone
7. Bacca Funk
8. 水たまり
Enc)
1. ダイジョウブ
2. Love The One Your With (C, S & N)
多くのロッカー達にリスペクトされているイギリスのPUB ROCK BAND、Dr. FEELGOOD。彼らの12年ぶりとなる日本公演が八王子CLUB HAVANAで行われた。この日の共演はダイヤモンド◇ユカイ 率いるROUGH DIAMOND。日英の雄による、ストレートなロックを大いに楽しんだ。
この日、オープニングはROUGH DIAMOND。市川、平山のリズム隊によるタイトなビートにのって、ユカイのボーカルが気持ちよく伸びる。特に強烈なビートでぐいぐいと押しまくった、スーパー・スティションが印象的だった。
ROUGH DIAMONDで大いに盛り上がったあとは、メインアクト、Dr. FEELGOODの登場。そのパワフルでアグレッシヴなステージングは圧巻。エイト、シャッフル、ブルース・・・次々と繰り出されるへヴィなビートにのって展開される演奏には有無を言わせぬ迫力があった。世界を股にかけて活躍しているUK PUB ROCK BANDの雄たる堂々のパフォーマンスはあっと言う間にオーディエンスの心を掴み、ラストまでエキサイティングに魅了した。
Members:
Dr.FEELGOOD
Robert Kane(Vo), Steve Walwyn(G), Phil Mitchell(B), Kevin
Morris(D)
ROUGH DIAMOND
ダイヤモンド◇ユカイ(Vo), ICHIRO(G),
市川"james" 洋二(B), 平山 牧伸(D)
ただ1人、その驚異的なテクニックと幅広い音楽センスをもってトリガー巧みに操りながら、独特の世界を築き上げる神保彰。およそ2年ぶりに体験したワンマンオーケストラは、よりパワフルに、テクニカルに、スケール大きく進化していた。
ジャズ、フュージョン、ポップス等のカバー曲からオリジナルまで全22曲、まさに休み無し、怒涛のようなドラミングが随所に散りばめられたステージは圧巻。各曲のアレンジも素晴らしく、トリガーシステム&ワンマンというある種、制約のある中で実に楽しく聴かせてもらった。
凄まじいまでのストロークを繰り出しながら、次々と音色&リズムパターンをチェンジしなたら曲を構成していった「オエコモバ」はまさに見事というほかないし、今回20分大曲に進化したという「エヴォリューション」は曲調が変わるたびにその場面があざやかに変わっていく。色彩感豊かな世界が次々と展開されていった。もうひとつ特筆すべきなのは、アンコールの中で予告編として演奏ウェザーリポート「ティンタウン」。予告編でも十分凄さが溢れていたが、この難曲を次回、叩きこなす彼を、ぜひとも聴いて(見て)みたいと思う。
SET
LIST:
1st Set:
バードランド
ポンタジアレイア
トリステーサ
Sunshine Of Your Love
明日に架ける橋
ラウンド・ミッドナイト
ジャイアント・ステップス
スパイ・メドレー
Sun Dance
ブリッジ
ボン・ボヤージ
2nd Set:
サイレント・ナイト
イパネマの娘
オエコモバ
チュニジアの夜
Evolution
White Christmas
ゴスペル・メドレー
Black Matket
Enc.)
ティーンタウン(Weather Report)
ソシュウ ほか
神保彰インタビュー
* 12/14、ワンマンオーケストラの日、本番前に軽くお話を伺いました。
ワンマンオーケストラ:
ワンマンオーケストラは、特にテーマというものは掲げていなのですが、ピットインではいつも3ヵ月に一回やらせていただいているので、その3ヶ月間で自分が体得したものを披露する、「研究発表の場」という感じです(笑)
ジャズスタンダードからウェザーリポートの「バードランド」「ティーンタウン」、そのあたりのレパートリーや、あとポップスフィールドではサイモンとガーファンクルの「明日にかけて」など、カバーもののレパートリーがずいぶん増えました。
オリジナルでは、前回から毎回少しずつ発展していくような曲はじめて、「エヴォリューション−進化−」というタイトルの曲があります。前回演奏した時は、たぶん10分くらいでしたが、今回はさらにそれが進化して20分くらいの曲になっているんです。やるたびに進化していって、ゆくゆくは「1部はその曲だけ」という風にしたいな、と思っているんです。起承転結があるようで無いようで、コラージュ的に場面がスライドショーみたいにどんどん画面が変わっていくような、そういう曲ですね。特に自分では限定したイメージで作っていませんが、聴いている人がいろいろなイメージを喚起させるようなサウンドではあると思います。
よく「1人でやって楽しいの?」と聞かれるんですが、結構、盛り上がるんですよね。同期演奏とは全く違うので、自分で全部オーケストレーションしながら叩くというのはすごく楽しいですね。ドラムだけじゃなくて、作曲、アレンジ、プログラミング、プロデュースといったいろんな視点が必要なので、すごくチャレンジしがいがあります。
ワークショップ:
年に2回やっています。ドラムクリニックっていうのは、僕がワーっとしゃべって、こう一方通行なんですよね。ワークショップっていうのはもっとインタラクティブな、お客さんが聞きたいことも、すぐ真近できけるし、実際に出てきて演奏もできる。毎回テーマをもたせつつ進行していく。ドラムをやっている人には面白いんじゃないかな、と思います。
あんまり基礎的ではなくて、いきなりものすごく難しくなって、みんな目が点になったりするんですけどね(笑)。例えその時はちんぷんかんぷんでも、一応教材みたいなペーパーは配るので、上達して、ある時期に来たときに、もう一回みてもらえばいいかな、と思っています。
1月に初のピアノ・トリオ・アルバム「トリオっ!」を発売した、人気ピアニスト塩谷哲。今回のツアーはそのレコーディングメンバーである吉野弘志、山木秀夫を擁してのライブステージ。トップアーティスト3人が組んでのピアノ・トリオだけに、いやがおうにも期待は高まった。
1曲目"Do
You Still Care?"はBlue Note Tokyoでの最初のステージということもあってか、音バランスが定まらず、メンバーも互いに様子を見ながらの演奏、といった感じであったが、2曲目"Ruby
Baby"では、互いの緊張感がほどけ、全体がアグレッシヴにかみ合い始める。塩谷哲が確実なテクニックに裏付けされたさまざまなフレーズをスピーディに展開させ、山木秀夫のドラムがそれに応えるようにあばれ始める。まさに「本能の赴くまま」といった自由自在なドラミングである。
3曲目フォーレの"Sicilienne"は美しかった。原曲のテーマを残しながらの洗練されたアレンジ。地中海東岸を思わせる吉野弘志のベースソロから徐々に大西洋西岸へと曲調は移り、はてはニューヨークのダウンタウンの空気を感じさせるまでに変化していった。塩谷のピアノはとても繊細なパッセージを重ねて静かな感動をよび、山木のシンバルがサウンドスケープに奥行きを加えていく。
ドビュッシーを思わせる曲調のリズミックな"Passage"ではピアノとドラムの掛け合いも聴かせ、本編のラストナンバー"Storm Front"。タイトル通り、嵐のような強烈なリズム。現代音楽のような曲調だ。楽器同士が絡み合う中からリズムが見えてくる聴き応えたっぷりの演奏。塩谷のソロはまさに縦横無尽。細かいパッセージと絶妙のリズムバッキングを組み合わせていく。吉野が名サポートぶりをみせ、そして山木は激しいストロークを叩きだしながらも、小気味よい語り口を覗かせた。
この日のアンコールは2曲。よりリラックスして演奏された"Flying Shoes"。山木のライドの細かい仕草が曲にユーモアを与えているようだ。ピアノ、ベースともにこの辺りで本領発揮。そして"Puff The Magic Dragon"。これはジャズバンドとしての艶やかさを見せる演奏で、原曲のエッセンスをメロウなアレンジにちりばめたアレンジメントで塩谷の力量が光る。曲の最後でベースが再びボウを取るがこの辺、実に心憎い演出と言えよう。
後半、曲が進むにつれ、より強力にバンド全体がかみ合い、集中力を増していった。それだけにアンコールを含めての7曲はあっという間。もう少し聴いていたい・・・あまりにも短かすぎるステージであった。
Members:
塩谷
哲(Pf)
吉野弘志(B)
山木秀夫(Dr)
<Set List>
1.
Do You Still Care?
2. Ruby Baby
3. Sicilienne
4. Passage
5. Storm
Front
Enc)
Flying Shoes
Puff The Magic Dragon
Report
by Tatsurou Ueda, Asako Matsuzaka
日本におけるジャズオルガンの第一人者と言えるKANKAWA。そのKANKAWAが新生KANKAWA122で、その幅広い音楽性を持ってファンク・ジャズ・シーンにも旋風を起こそうとしている。客席には若い女性も多く見うけられ、横浜のポートサイドの一夜を愉しもうとする雰囲気があふれている。
がらりとメンバーが入れ替わったKANKAWA122は、2人のサックス奏者、ギター、ベース、ドラムス、DJ、そしてゲスト・ボーカルという編成でフリーフォームかつソウルフルな演奏を繰り広げてくれた。
サックスが客席後方から演奏しながら現れ、二人で呼び交わすようなコンビネーションを見せながら徐々にステージへと向かう。リフが乗ってきたところで他のメンバーも現れ、そして古代の神官のような金に輝く巨大な冠を頭上に頂いたカンカワが登場し、フルブラストのバンドアンサンブルとなる。DJのサウンドエフェクトがなかなかの冴えを見せ、ベースとキーボードのへヴィーなジャズ・ファンクとドラムス、ギターのクラブビートの間を埋める役割を果たしているように思える。2人のサックス奏者はその上を自由に行き来しているかのようだ。
個々のミュージシャンのソロも多くフィーチャーされたが、やはりバンドとしてのリフの盛り上げ方にベテランらしいカンカワの腕が感じられる。特にダークでフリーフォームな部分では、ヘンリー・スレッドギルを彷彿とさせるようなNYアヴァンギャルドのエッセンスが顔を見せる。バンドの若メンバーは彼らの本領を発揮するスペイシーなハウスビートの曲でスピード感にあふれた演奏を聴かせた。そしてカンカワの轟々と唸りを上げるハモンドはやはり重戦車級の破壊力で、キャリアだとか場数といったものだけではないセンス、音の組み立て方の妙をうかがわせて余りあるものであった。
一時期のフュージョン・ブーム以降、ピアノ以外のキーボードもリード楽器として最前列に出てきたが、近年、SOULIVEが登場し、ファンク・ジャズ・オルガンというスタイルでオルガンが注目されている。そうした中でもカンカワのハモンド・オルガンは健在である。ハウス、クラブといったスタイルを呑みこむ巨大なハモンドの響きに翻弄される一夜はなかなかに痛快である。客席でワイングラスを片手にクールに構える港町の恋人達もその自在さに圧倒されたのではなかったろうか。
Members:
KANKAWA(Org,Key), KEN KOBAYASHI(from KEMURI)(sax) , NAO(Ts,Fl)
KATO(As), IZUMI(G), Fuyu(Ds), DJ RYOHEI(DJ)
Guest: keyco(Vo)
Message from KANKAWA
KANKAWA122はメンバーが変わって、ホーンセクションが2人になってDJもパワーアップしたしね。今日のライブでもDJに一人のミュージシャンとして参加してもらったけど、面白かったね。これから新曲もどんどん書いていくつもりです。みなさん、ぜひCDを聴いて、家で踊ってください!Thank you ! (17 May 2003)
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