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Concert Report
2023 セイジ・オザワ 松本フェスティバル 特別スクリーンコンサート
~オーケストラ コンサート Bプログラム~
《オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム》
2023年9月3日(日)
11:00~ まつもと市民芸術館
19:00~ 松本城公園(旧松本市立博物館前)
スクリーンコンサート詳細はこちら
セイジ・オザワ 松本フェスティバル オフィシャルサイト
ジョン・ウィリアムズとサイトウ・キネン・オーケストラ!
最強のタッグによる「E.T.」「STAR WARS」!!
※掲載画像について:
9月2日(キッセイ文化ホール)撮影のものが含まれます。
9月3日の掲載画像は松本城公園およびまつもと市民芸術館で撮影したものとなり、
まつもと市民芸術館での撮影画像(1枚のみ)については画像内に会場名の記載があります。
今年のセイジ・オザワ 松本フェスティバルでは、信じられないような組み合わせ、まさに夢のプログラムが実現した。
毎年サイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)を聴いている者としてはもちろん、STAR WARSファンでもある筆者としては一体どんな演奏になるのか、ワクワクするようなプログラムだった。
この夢のプログラム、「オーケストラコンサート Bプログラム」《オール・ジョン・ウィリアムズ・プログラム》は9月2日(キッセイ文化ホール)にて開催。残念ながら今回は生演奏を聴くことができなかったため、翌日開催された特別スクリーンコンサートに行ってきた。なんといっても生音でないので、本当のところの音色の妙は分からないのだが、スクリーンコンサートならではの楽しさもあり、なかなか興味深い体験だった。
スクリーンコンサートは9月3日の午前と夜、2回実施された。午前のコンサートはまつもと市民芸術館で開催され、当日用意された1200席に対して1.56倍の倍率だったという(長野県在住者のみ応募可)。
今回はまつもと市民芸術館での特別スクリーンコンサートの模様をレポートする。
オーケストラメンバーの入場から、(最後、すべてが終わるまで)最後のカーテンコール終了まで、ノーカットで観ることができ、音的な物足りなさ、つまりヴァイオリンの透明感やコントラバスの低音、各楽器の音色の妙など、本当のところが分からない、ということはあったものの、臨場感あふれる体験ができた。
「音」で言うと、1曲目「雅の鐘」では、やはりスクリーンの向こう側の音、という感じだったが、2曲目「Tributes! (For Seiji)」からオケの音が変わってきた。ステファン・ドゥネーヴは情熱溢れる指揮でぐいぐいオーケストラを引っ張っていく。(スクリーンを見ている)こちら側に音が伝わってきて、会場からも自然に拍手が湧き出た。前半の「E.T.」まではステファン・ドゥネーヴが指揮したのだが、スクリーン越しでもその演奏は素晴らしく感動的で、特に「E.T.」の3曲は映画の場面が目に浮かぶよう。吉野直子の奏でるハープの音色はどこまでも美しく、(スクリーンコンサート)会場でも拍手が鳴り響いていた。今回のプログラムは曲間にMCを挟みながらの構成だったが、ドゥネーヴのウィットにとんだMC「なんて素晴らしいオーケストラなんだ!」の一言がとても印象的だった。最後、楽譜を抱きしめるドゥネーヴの姿があった。
そして後半は、いよいよジョン・ウィリアムズが登場。この頃になると、すでにスクリーンの中との一体感を感じていたが、「スーパーマン・マーチ」でより盛り上がりを見せた。ウィリアムズはさすがの存在感で、一瞬でオケを掌握し、音楽を組み立てていく。MCでの「小澤征爾総監督を褒めたたえるために日本に来たかった」という言葉は、このフェスティバルに関わる全ての人の言葉を代弁しているのではないだろうか?総監督への深い敬愛を感じた。
「ハリー・ポッター」からの3曲を経て、演奏されたのは「シンドラーのリスト」。豊嶋泰嗣のヴァイオリン・ソロはまさに秀逸。深い哀しみをたたえた美しいメロディーを繊細に奏で深い感動を呼んだ。
「シンドラーのリスト」のあとは、いよいよ「STAR WARS」。ジョン・ウィリアムズならではの壮大なスケール感の「レベリオン・イズ・リボーン」、美しい管のメロディーが印象的な「王女レイアのテーマ」。透明感のある弦のハーモニーが会場を包み込んだ。
この日を締めくくったのは、STAR WARSの第一作であるエピソード4から「王座の間とエンドタイトル」。雄大で新たな希望に満ちた、まさしくエンディングにふさわしい曲だ。あまりにも有名な、力強いテーマが流れ、まさに実際に演奏を聴いているような幸福感に満ちた感動を覚えた。ジョン・ウィリアムズ&STAR WARS、そしてSKO!この素晴らしすぎる最強タッグを、来年もぜひ(今度はリアルで)聴いてみたい!と思わずにはいられない。スクリーンコンサート会場も大きな拍手が鳴りやまなかった。
アンコール、「ヨーダのテーマ」では独特の深みのあるSTAR WARSの世界が描かれ、「レイダース・マーチ」がリズミックに演奏されると観客は大喜び、大いに盛り上がった。そして最後、小澤総監督が舞台袖に登場すると会場は感動的なスタンディングオベーションに。その中で演奏された終曲「帝国のマーチ」ではSKOのギアが一段と上がり集中力が増していく。グレードが数段上がったかのような見事なラストだった。
その後、拍手が鳴りやまない中、何回ものアンコールが繰り返され、最後、SKOメンバーが舞台を去った後、スクリーンコンサートならではの楽しみが待っていた。帝国のマーチに乗って映画さながらのエンドタイトルが流れるという粋な演出。自然に手拍子が沸き、最後まで一体となって楽しんだ。