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Concert Report
2022 セイジ・オザワ 松本フェスティバル
オーケストラ コンサート
会場:キッセイ文化ホール
2022年8月28日
セイジ・オザワ 松本フェスティバル オフィシャルサイト
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2022セイジ・オザワ 松本フェスティバル 大盛況のうちに閉幕! 2023年は8月20日~9月6日 開催!
30周年記念特別公演まであと2か月!チケット絶賛発売中!
3年ぶりに開催された「セイジ・オザワ・松本フェスティバル」。そして、満を持して開催されたオーケストラコンサートで、サイトウ・キネン・オーケストが迎えたのは、シャルル・デュトワ。昨年、全世界へ配信されたコンサートでもSKOとデュトワの素晴らしい演奏を聴くことができたが、やはりリアルで、同じ空間で聴くことができるのは、なによりも嬉しい。
プログラムの最初を飾るのは武満徹の「セレモニアル - An Autumn Ode -」。宮田まゆみが奏でる笙のたおやかな音色が会場全体に広がる、凛とした、そして涼やかな空気に満たされる。笙の音色に導かれてオーケストラの音色も澄み切っており、心洗われるようだ。ハープ、チェレスタ・・・宝石のように美しい音色がちりばめられた珠玉のハーモニーを心行くまで堪能した。3年ぶりに松本で聴くサイトウ・キネン・オーケストラ(以下、SKO)。その最初のプログラムが、SKOのために作曲された「セレモニアル an autumn ode」・・・そう思うと、一段と感慨深い。
2曲目は、ドビュッシー「管弦楽のための『映像』」。数年前、SKOの演奏でドビュッシーやラヴェルなどを聴いた時、その色彩豊かなハーモニーに「日本のオーケストラでこの音色が出せるとは!」と感嘆したのだが、今回は指揮するのがデュトワ。否が応でも期待が高まる。
冒頭、オーケストラの繊細な響きの上で奏でられるフルートをハープが彩り、柔らかな音色がふわっと広がる「ジーグ」。木漏れ日の情景が身に浮かぶようだ。そして軽妙なリズムに乗って展開する中間部では踊るように指揮するデュトワが印象的。リズミックにベースを刻むコントラバスとチェロが深く響いていた。
ハバネラのリズムを刻むカスタネットが心地よく響いた「イベリア」。オーケストラ全体が一体となって、表情豊かに、ダイナミックに歌う。オーケストラを自在に操るデュトワは、まるで魔術師のようだ。リズミックなパーカッションと豊かな音色を聴かせた管が秀逸。
そして終曲は「春のロンド」。これまで聴いた春のロンドよりも、より表現が繊細で表情豊か。その表情がどんどん変化していき、テンポアップとともにダイナミックさを増していく。SKOならではのアーティキュレーションの幅の広さ、深みのあるハーモニーを存分に堪能した。
インターバルを挟んでの第二部で演奏されたのはストラヴィンスキー「春の祭典」。バレエ好きの筆者としては、圧倒的にバレエで観ることが多い作品なので、この曲をどのようにSKOが演奏してくれるのか?とてもワクワクしていた。
冒頭、ファゴットから始まる混沌とした場面(1部:大地への崇敬「序奏」)から、その表現力の豊かさに圧倒される。激しいリズムが打ち付ける「春の予言~若い乙女たちの踊り」では、ダンサー達の激しい踊りが目に浮かぶようだ。ある時は深く荘厳に、ある時は激しく展開していくのだが、どれほど強烈になっても、そのハーモニーは不思議なくらい
攻撃的ではなく魅惑的で華やかだと感じる。曲は、2部「生贄」のラストに向かって一気に進み、デュトワとSKOはより一体感を増し
ていく。目まぐるしく表情を変えながら物凄いエネルギーを放ち続け、すべてを圧倒して大団円を迎えた。凄まじいパワーを受け続けていた観客は、いつまでも熱烈な拍手を送っていた。
この日はSKOの最終公演ということで、恒例のりんどうの花束が演奏者全員に手渡される。この光景を見ていると、大きく変動してしまった世の中が、少しずつ戻ってきているのだなあ、と思う。来年もこのフェスティバルが、もっと盛大に開かれることを祈らずにはいられない。
そして今年は、夏に続いて秋にもSKOの演奏を聴くことができる。1992年に始まったこのフェスティバルの30周年を記念した特別公演が、11月に松本市と長野市で開催される。指揮は、小澤征爾総監督とゆかりの深いアンドリス・ネルソンス。ネルソンスは10年前、小澤総監督がその指揮を見て、「ぜひ一度、彼にSKOを振ってもらいたい」と出演を熱望していた指揮者。SKOとのコラボレーションで、どのような演奏を聴かせてくれるのか、今から待ち遠しい。
30周年記念特別公演まであと2か月!チケット絶賛発売中!