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Live Report
PRISM "デビュー40周年記念LIVE"
21st, October At TIAT SKY HALL
デビューアルバムから新作まで
PRISMの魅力がぎっしりとつまった珠玉のステージ
40周年記念ライブがTIAT SKY HALLで開催された。このホールは2014年8月にオープンした多目的ホール。実は筆者もこのターミナルにホールがあることを知らなかったのだが、これまでもライブイベントなどが開催されており、最新設備を駆使した音響、照明などのには定評がある。
この日のステージは1st Stageがアルバム「Celebrate」、2nd Stageがアルバム「What You See」からの楽曲でプログラムが組まれていた。いずれも今年発売された新譜で、セルフカバーの「Celebrate」からは新旧の名曲が、そして発売されたばかりの「What You See」からは最も新しいPRISMが聴けるという、周年記念にふさわしいプログラムだった。
会場は満席。SEが流れるなか、メンバーが登場し、オープニングを飾るのは「Take Off」。羽田空港でのオープニングが「Take Off」というのも心憎い選曲だ。抜けの良いギターサウンドが会場にすがすがしく広がる。軽快なリズム、ノリのよいテンポにのって1曲目終了時から大盛り上がりで幕をあけた。
2曲目 「Virgo 9」では早くも全員のソロバトルが展開される。次々とセンス光るフレーズを繰り出す渡部チェルのエレピソロから、木村万作の怒涛のドラムソロへと続き、ベースとギターのソロバトルへ突入。岡田治郎がなめらかなタッチで流れるようなフレージングとスラップを交互に操り自在なプレイを聴かせれば、和田アキラは音の粒を凝縮させたような高速フレーズで応える。
この日はPRISMファンが経営するPRISMという会社からの、特別な照明チームが入っており、曲調に合わせて変化していくライティングも見ごたえがあった。
4人のハイレベルなソロプレイを堪能したあとはスローチューン「Tomorrow promise」へ。落ち着いた雰囲気でバンドアンサンブルを楽しむ。静かな雰囲気のなかでギターのロングローンが響き、美しいエレピのメロディーへと続く。この曲は心に響くものがある。
縦横無尽なギターソロ、そして多彩なカッティングセンスが光った「Aqua Bondi」のあとは往年の名曲「Wind」へ。岡田のベースがコード、ハーモニーを聴かせながら流れるようなインプロヴィゼーションを聴かせ、クールなギターのアルペジオへと続く。ストリングスが広がるなかでのベース、ドラムス、ギターのアンサンブルが美しい。渡部は柔らかなブシンセブラスで絶妙なソロを聴かせる。PRISMならではの透明感のあるハーモニー感と骨太で重厚なサウンドに包まれるなかで深い感動を呼んだ。
1st Stageのラストは「Viking II」この曲を賢明にコピーしたファンも多いのではないか?ノリのよいアップテンポの上で複雑なキメが決まっていくのが気持ちよい。キレのよいドラミング、凄まじいまでのギターソロ、まさにPRISMの真骨頂だった。
1st StageもPRISMの魅力満載の充実しステージだったが、2nd Stageはさらにパワーアップしていった。プログラムは「What you See」に入っている3部作からスタート。久々の3部作とのことだが、プログレ~ロック調の曲で渡部のボーカル入り。心地よく伸びるノーブルがボーカルはPRISMサウンドによくマッチしているように思う。
「Alter Ego」よりバンドの集中力が増し、各人のプレイも冴えをみせ、渡部はソロでも幅広く多彩なプレイを聴かせる。木村のドラミングはよりヒートアップし、岡田のベースはどこまでもグルーヴィーだ。そしてゾーンに入ったように弾き倒す、和田の圧倒的なギタープレイは圧巻だった。深く静かで、感動を呼んだ「Limbo」から、ストレートなロックだが実は複雑にリズムが絡み合った「What you see」まで、スピード感あふれるなか駆け抜けていった。
和やかなMCを挟んで4曲目は「Big Swanp」。静かにベースのアルペジオが流れ、すでに最高潮に達し熱気を帯びた場内がゆったりとした空気に変わっていった。リンと響くピアノの音色が深く心に語りかけるように響いていた。「Big Swanp」のあとは一転してリズミックな「Time for a Reboot」胸をすくようなオルガンサウンドが響き渡り、スピード感あふれるシンセソロが自在に飛び交った。
骨太いギターサウンドによるテーマが印象的な「Struggling Blues」のあと、2nd Stageラストとなったのは「KARMA」。ギターのイントロはいつ聴いても胸に迫るものがある。PRISMには数多くの名曲があるが、特にファンが待ち望んでいたのではないだろうか?美しいパッセージをつむぎあげていくピアノ、シンセベースとハーモナイザーを駆使してメロディアスに歌うベース。抜けの良いギターの音色がテーマを奏でソロへ突入。流麗な高速パッセージにオーディエンスが引き込まれていった。
アンコールでは全員が40周年Tシャツを着て登場。この日、誕生日だった岡田治郎を祝って「Happy Birthday to you」が演奏されて会場はアットホームな雰囲気に。アンコール曲「Everlasting Flower」のあとも、いつまでも拍手は鳴りやまず、大歓声のなか、この日予定外のアンコール「Morning Light」が演奏された。終焉後はメンバーのサイン会も開かれ、大勢のファンで遅くまでにぎわっていた。
アンコールまでなんと計15曲。PRISMの魅力がぎっしりと詰まった、聴きごたえ満点、という言葉では足りないくらいの、素晴らしい見事なステージだった。40年間、変わらず妥協せず、音楽に対する真摯な姿勢を貫き通している彼らは本当に称賛に値するし、ファンとしては嬉しくもある。これからもこのまま変わらず、よりパワーアップしていってほしいと心から思う。