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LIVE REPORT

THE RAMSEY LEWIS TRIO
August 29 2009 at Blue Note Tokyo



まさに円熟、そして「今この時」を感じさせるパワーと陶酔のトリオの東京最終公演



< Second Set >

軽いオープニングといった感覚で始まる66年のアルバム・タイトル曲"Wade in the Water"。さすがにベテランの3人だけあって円熟味のある音とコンビネーションが心地よい。スロー部分ではLeon Joyce(以下LJ)がドラムスを手で叩いて抑えた音にしているのもにくい演出と言えよう。
2曲目は、甘い旋律のバラード"To Know Her is to Love Her"。アルコ(弓)で弾くLarry Gray(以下LG)のベース・ソロが印象的。そして続くドラム・ソロもタイトなリズムをキープした好演で、アメリカン・ジャズの伝統を感じさせてくれる。

クラシック曲を題材にした"Andante from Brahms's Symphony No.3"では、主題をRamsey Lewis(以下RL)がリリカルにピアノで奏でる。ドラムスのビートが入ると一気にジャジーに展開してゆくアレンジと相俟って3人の絶妙なコンビネーションが秀逸。続く74年のアルバム・タイトル曲の"Sun Godess"は一転して速いテンポのコンテンポラリー・ジャズ。こうした切り替えがベテランならではのステージ構成の妙味と思わせる。

この日のラストを飾ったのは、9月末に発売されるニューアルバム"Songs from the Heart"から"Clouds in Reverie"とファンキーな"Betcha by Golly, Wow"。ピアノのソロで美しいメロディーのスロー・バラードを奏で、次第にベース、ドラムスが色を添えて2ビートのブルースへと展開してゆくと、渋いなかにも時折見せるユーモアのセンスが光る。また、後半でのアルコによるLGのベース・ソロなど、クラシカルなテイストを盛り込んでバラエティー豊かに聴かせてくれる。終盤へ向けてのピアノとドラムスの掛け合いも楽しく、そして続くLJのドラム・ソロはダイナミックなパワー溢れるもので客席を大いに沸かせてくれた。

アンコールの拍手に応えての曲はアップテンポで軽快に演奏される往年の大ヒット曲"The In Crowd"。John BaldryがBrian Auger、 Julie Driscoll、そしてデビュー当時のRod Stewartとともに結成したSteampacketや、Roxy MusicのBryan Ferryなどもこぞってカバーした名曲である。

最終日のセカンド・ステージとあってか、一度はステージのスクリーンが降りたものの、会場の大きな拍手と歓声に誘われて再びステージへ。曲はRL自身が「ある朝目覚めたら頭の中でニューオーリンズのグルーヴが鳴っていたので自然とできてしまった」と語っている"The Way She Smiles"。スタンダードなテイストながら表情豊かに演じて見せるのはやはりこのトリオの円熟のなせる技か。

安定感とスリルを織り交ぜて、ステージ全体を通じて始終楽しそうに微笑みながら演奏するトリオの姿が、見ているほうも楽しませてくれる秀逸な演奏であった。


Members:
Ramsey Lewis(p) ラムゼイ・ルイス(ピアノ)
Larry Gray(b) ラリー・グレイ(ベース)
Leon Joyce(ds,per) レオン・ジョイス(ドラムス、パーカッション)


Set List)
1. Wade in the Water
2. To Know Her is to Love Her
3. Andante from Brahms's Symphony No.3
4. Sun Godess
5. Clouds - Betcha by Golly, Wow
6. Moment Spiritual
7. The In Crowd *Encore
8. The Way She Smiles *Encore

Report by Tatsuro Ueda
Many Thanks to Blue Note Tokyo



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