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LIVE REPORT

Four Play
April 16 2009 at Blue Note Tokyo



芸達者ぶりを見せてくれた4人のベテランミュージシャン フォー・プレイ
ライブの醍醐味を感じさせてくれたステージとなった




< Second Set >

ボブ・ジェイムス率いるフォープレイについては既にご存知の方も多かろうと思う。90年代初頭にリー.リトナーと始めたこのバンドがこれまで長続きしてきたことはやはりボブ・ジェイムズのソングライターとして、またステージ・パフォーマーとしての力量によるところが大きいが、ギターがラリー・カールトンに交代してからもネイサン・イーストやハーヴィー・メイスンといった実力者たちの腕前を十分に生かしたチームプレイが際立って貢献していることも確かだろう。

今回のブルー・ノート東京公演は6日間の長丁場ながら連日ほぼ満席の観客を動員するところを見るとその人気はまだ衰えるところを知らないようである。

いつものように客席後方より白いシャツで衣装を統一したメンバーが入場し、ステージに上がる。ネイサン・イースト(以下NE)が「おはようございます!こんばんは!」と流暢な日本語で観客に呼びかけると待ってましたといわんばかりの歓声が沸き起こる。曲は「Eastern Sky」。NEのスキャットボーカルはパット・メセニー.グループでのペドロ・アスナールを、またスキャットと白い6弦ベースでのメロディーをユニゾンで奏でるさまはトゥーツ・シールマンスを連想させる。ラリー.カールトン(以下LC)はトレードマークのギブソン335である。LCのソロを挟み、ハーヴィー・メイスン(以下HM)のドラム巣がビートを刻みだすと曲は一気に盛り上がりを見せ、ステージの左右でHMと向かい合ったセッティングのボブ・ジェイムス(以下BJ)の弾き流すピアノが軽くいなすような粋な響きを聞かせる。

次の曲は一転してスローなフリーフォーム・ジャズで始まる「Chant」。やがてNEがスキャット・ボーカルとベースでリフを作り、そこへ全員が入ってくるとNEはスラップ.スタイルでアップビートに盛り上げ、LCとBJのユニゾンでメイン・メロディーに持ってゆく。LCのソロかに続きNEのベース&口笛のユニゾンのリズムに乗せてBJのピアノが絡んで来る展開はまさに真骨頂というべきか。そして3人のリフに乗せてHMのドラムソロが入るが、ソロながらリフのビートに合わせて展開するところなどやはりベテランならではの聞かせどころである。

続いての曲はニューアルバム「Energy」から「Argentina」で、BJのピアノだが、アコースティック・ピアノと思いきや、ヤマハのハイブリッド・ピアノでストリングスとパーカッションを軽くブレンドした音で、その微妙なバランスがセンスのよさを覗わせる。NEはヤマハのサイレント・ベースと思しきエレクトリック・アップライト・ベースに持ち替えているが、向かって左側、もち手のほうのフレームを付けて弾いているところを見ると、元々はアコースティック・ベースの弾き手だったのだろうと思わせる。全体にスローなトロピカルフュージョンといった感じだがあくまでもBJをメインにした抑え気味のLCのアコンパニメントが渋さを感じさせる。

次もニューアルバムから「Ultralight」。ドラムスのロールで始まルミディアム.テンポの曲で、NEはエレクトリック・ベースに持ち替えている。ピアノとギターのユニゾンとベース、ドラムスの絡みが楽しい。ここでLCのソロがフィーチャーされる。短いながらも得意のフィンガーピッキングを交えたパンチのあるソロを聞かせてくれる。続くBJのファンキーなピアノ・ソロに客席から嬌声が上がる。LCにリフを渡して今度はエレクトリック・ピアノの音を混ぜたトーンで徐々に盛り上げ、一気にフィニッシュまで持ってゆく。この曲もそうだが、今回のライブでは全体にヤマハのハサイレント・ピアノ「ディスクラビアE3」の機能をうまく使っていることに注目したい。

ニューアルバムからの3曲目は「Fortune Teller」。LCのスローなジャズ・バラードのソロで始まる。ギターのハーモニクスを効果的に使って奥行きを出している。そしてミディアム・テンポのアンサンブルへと展開してゆくが、ここでもBJのピアノはアコースティックとエレクトリックの音を重ねた音で、ソロ部分はアコースティック音だけに切り替えるなど、小技が曲を引き立てている。また、このソロ部分の音を聞いていると、電子ピアノがここまで進化したかと感心させられるほどアコースティックらしい音である。曲はLCのソロにつないでメインメロディーへ展開する。ファンキーなリフでピアノとベースの掛け合いを聞かせてくれるが、ここで改めてHMの刻むビートの小気味よさが際立つ。

次も「Energy」からの曲でBJ版バッハのプレリュードというべき「Sebastian」。NEはエレクトリック・アップライトに持ち替えて、さらにスキャット・ボーカルを添える。ピアノとギターでカノンを構成する導入部からジャック・ルーシエを思わせるジャジーな中間部へと流れてゆく。ジャジーとはいえBJのこと、デューク・エリントン的なブルー.コードを織り交ぜながら展開してゆくのが才気を感じさせる。

続く「Tally Ho!」はBJのアコースティック・ピアノでこれもクラシカルに始まるが、すぐに全員のユニゾンでフュージョン大会へなだれ込む。アヴァンギャルドなピアノソロがフィーチャーされるがこれはフランス現代音楽の巨匠オリヴィエ・メシアンに通ずるような不協和音による構造的な展開を見せ、聴衆も大きな歓声を送る。HMのライドに乗ってLCのソロが続くが、ここで感心せざるを得ないのはHMがライドを32ビートで軽く叩きながら8ビートでペダルを踏んでいるためライドの金属音が通奏的に響き、あたかもギターの高音部をトレモロで弾いているような音を出していたことである。曲はLCのソロからテーマに戻り、HMのソロへと続く。これは往年のトニー・ウィリアムスを彷彿とさせる切れと重厚さを合わせた圧巻の一幕であった。

一旦ドレッシングルームへ引き上げたメンバーがアンコールの拍手に応えて再びステージへ上がる。NEが流暢な日本語で「もう一曲?」と呼びかけ、観客は声援で応える。曲はおなじみのヒット曲「Smiles and Smiles to Go」で、LCの伸びやかなアコースティック・ギターの音が実によい響き。

ベースのリフに導かれてピアノ、ドラムス、ギターと入ってくると、小気味良いビート感の「Westchester Lady」、観客のノリも絶好調である。ギター、ドラムス、ピアノ、ベースとソロを取り回してゆく。LCはワウワウ・ペダルを使った音を混ぜて芸達者ぶりを見せてくれた。やがてBJの繰り出す即興フレーズをベース、ギター、ドラムスの順で追いかける展開へ。フュージョン版の連歌取りとも云えようか、名手ぞろいの掛け合いに楽しさも一入である。そして曲はテンポを上げながら大団円へと向かい、観客の鳴り止まない拍手と歓声の中、ステージは幕となった。

相変わらずの芸達者ぶりを見せてくれた4人のベテランはステージで楽しむ術にも長けているようだ。その楽しさが観客にダイレクトに伝わるのがライブの醍醐味と改めて感じるステージで、またの機会に読者諸氏もぜひご覧になるよう強くお勧めしたい4人のプレイであった。


Members:
Bob James(key)
Larry Carlton(g)
Nathan East(b)
Harvey Mason(ds)

Set List)
1. Eastern Skyy
2. Chant
3. Argentina
4. Ultralight
5. Fortune Teller
6. Sebastian
7. Tally Ho!
8. Smiles and Smiles to Go
9. Smile
10. Westchester Lady *Encore

Report by Tatsuro Ueda
Many Thanks to Blue Note Tokyo



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