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LIVE REPORT

Ryo Okumoto Ultra Live

28th July, 2004 Morph Roppongi


ついに日本での本格的活動を開始するキーボード・マジシャン奥本亮の圧倒的パワーと、フレンドリーなステージに酔う一夜



Ryo Okumoto Offiical Site: http://www.ryookumoto.com/


Message from Musicians

メンバーのみなさんからコメントをいただきました。

ナタリー・コールのツアー・キーボーディストとして、また今やアメリカを代表するプログレッシブ・ロック・バンド「スポックス・ビアード」やソロとしても活躍するマルチ・キーボーディスト、奥本亮。その彼が今後は日本を拠点に活動することになり、その第一歩のステージが今日のライブである。メンバーはファンキーかつメロディアスなベースで人気急上昇中の日野賢二、作詞作曲家、アレンジャーとしても活躍するドラマー大槻"カルタ"英宣、日本のカンタベリーバンドとして海外でも知られるSixnorthの辣腕ギタリスト小田島伸樹、そしてMicro Stoneのメンバーであり、今回、ストリートでの活動で奥本に見初められた若手サキソフォニスト斉藤力である。

スポックス・ビアードのライブDVDが流れるなか、満員の会場は早くも熱気にあふれている。ステージの幕が上がると既に奥本を除く全員が位置についており、「Free Fall」のイントロを奏で始める。そしてステージ奥から、トレード・マークの赤いショルダーキーボードを手にした奥本が現れる。スタジオ録音のものよりインプロヴィゼーションのスペースを大きくとったアレンジに変えている。客席にまで下りてくる奥本スタイルは健在である。日野のベースのグルーヴ感がよく曲にマッチし、今回始めて演奏するバンドながらタイトにまとまりのある演奏を聞かせてくれる。

次の曲は伝説のアルバム「Makin' Rock」から「LA Express」。日野のスラップ・ベースに乗って奥亮はシンセサイザーとアコースティック・ピアノでリードをとり、スキャット・ボーカルのユニゾンも聞かせる。ベース、ギター、ドラムス、サックスとソロをフィーチャーしてゆく。日野のソウルフルなソロには会場も大きな歓声を送る。小田島はワウを効かせた軽快な音だ。大槻はストレートながらヘヴィーなリズムをたたき出し、斉藤はメロウな音色でサックスを歌わせる。ラストの小田島のギター・パートではクライマックスにふさわしいエモーショナルな泣きのギターを聴かせてくれた。

メンバー紹介のあとはブラジリアンなリズムのキメで始まる奥本得意のLatin Fusion「Guanabara Bay」。シンセサイザーのやわらかい音とサックスが良くブレンドされている。そしてサックスのソロをフィーチャーし、トータルなアンサンブルとして聞かせる。

次は奥本が日本に帰国後ピアノで作った新曲「So Many Dreams」。スローでテンダーなジャズ・フィーリングのピアノに導かれて始まり、バス・ドラムのステディなリズムが入ると彼らしい雰囲気が漂い始める。サックスのメロディーが心地よく広がり、アダルトな感覚で包みこむ。中間部でギターとサックスがメイン・メロディーをユニゾンで奏で、次第にフリーなヴォイシングへ展開してゆく様は非常に心地よく、またその直後のキーチェンジと併せてエキサイティングである。

(写真 左上:奥本亮、右上:日野賢二)

続いては「Crystal Highway」。ドラムスのシンバルでリードするこの曲は小田島の軽くフィードバックをかけた伸びやかなギターの音色が印象的だ。サックスとのコンビネーションも良い味を出している。スラップを含めたファンキーなグルーヴは日野の得意とするところだろう。徐々に盛り上がってくるサックスのリフレインの後にギターのモノローグをフィーチャーする。ファズをかけた情感的なソロに会場は静かに聴き入っている。曲は「Not in My Heart」へと繋がってゆき、奥本のシンセサイザー・ソロをフィーチャーするが、これは派手さを抑えたジェントルなフレージングで、あたかもリゾートでのひと時を演出するかのように響く。ステージのオーケストレーションを指示しながらソロをとる彼の様子に敏腕なアレンジャーとしての姿が見てとれる。

ここで小田島と斉藤がステージを降り、トリオ編成で演奏するのは奥本の2003年のソロアルバム「Coming Through」一曲目収められている「Godzilla vs King Gidalah」である。シンセサイザーの低音が破壊的雰囲気を醸し出し、オルガンで刻むリズムが嵐を予感させる。メインのリフを導入するオルガンが巨大なエネルギー感を演出するが、続くアコースティック・ピアノ・ソロでは「My Favorite Things」を引用するなど、お洒脱な感覚を盛り込んでいる。大槻のダイナミクスの広いドラミングと相俟って日野のベースがヘヴィー・グルーヴを叩き出す。ここでの日野のソロは特筆に価する。一人でステージに立ち、エフェクターを使った分散和音のテクニカルな出だしから、ファンキーなリズムをループで作った上をファズとピッチ・シフターでギターのように加工した音でソロを繰り広げ、頭上で弾くパフォーマンスも見せる。続いてはスラップでの激しいリフだが、これはスタンリー・クラークも顔負けである。ペグ・チューニングも交えて繰り広げる熱いベース・ソロに会場は大きく沸いている。そして奥本が戻り、二人でベースを弾くパフォーマンスも見せるあたりはさすが。ピッチ・ベンダーを通したオルガン・ソロは恐ろしいほどのパワーがみなぎっている。

(写真 上:大槻"カルタ"英宣 )

次の曲はスポックス・ビアードの現在録音中のニュー・アルバムから奥本のペンによる「Havana Slam」が披露された。7拍子のリフがドライブするへヴィーなナンバーだ。ドラムスのドライヴ感が痛快だ。中間部で大槻のドラム・ソロをフィーチャーする。リズム・チェンジを多く配しながらもドライヴする感覚に会場も歓声を上げる。

ここでゲストが登場。ミュージカル「Miss Saigon」のリハーサルを終えて駆けつけた小西ノリユキを迎えて、アルバム・タイトル曲「Coming Through」が演奏された。シンセサイザーのフルートで作るアンサンブルと小西の力強いヴォーカルが曲に新たな力を与えているようだ。これは圧巻の演奏という他あるまい。

次はもう一人、特別ゲストの登場。奥本の愛息、奥本星司(セイジ)がドラム・セットに座り、"お父さんと作った曲"「Get Out of My Life」を演奏。弱冠13歳ながら落ち着いたドラミングとシャウトするヴォーカルで会場を大いに沸かせてくれた。バンドも一気にロック・バンドとしてのボルテージを上げてくる。ドラム・ソロではエルボウを使ったチューンド・プレイも見せ、将来の有望さを見せてくれた。

ラスト・ナンバーは往年の名盤「Solid Gold」からタイトル・トラック。これまでのライヴでも演奏されたが今日はいつもより以上にヘヴィーにグルーヴする。やはり日野のベースが存在感を大きく見せている。奥本のシャウト・ヴォーカルもボルテージが上がっているかのようだ。全員のリフに乗せて弾きまくるオルガン・ソロはパワー全開で、叩きつけるようなドラムスと相俟って迫力120%だ。

(写真 左上:斉藤力、右上:小田島伸樹)

アンコールの拍手に応えてステージに戻るメンバー。曲は「Makin' Rock」から「Original View」。ゆったりとしたフュージョン・ナンバーであるが、今日のメンバーにかかるとファンキーな色が前面に出てくる。日野のスラップ・ベースが切れの良いリズムを展開し、大槻のドライヴ感あふれるドラミングと共に曲にスピード感を与えているのはさすが。ギターの滑らかな歌い口とサックスの鋭い音色が好対照を見せる。小田島のギターはただフレーズをなぞるのではなく、ハーモニーを広げる好感の持てるソロを展開してくれた。そこからやはり大ロック大会のジャミングでと突入する。ショルダーキーボードで会場を回る奥本。席の上へ立ち上がり見事な鍵盤さばきを見せ、恒例の肩車も飛び出すと会場は大興奮状態に包まれる。そしてステージへ戻るとフロア・パフォーマンスで駄目押しの一撃を食らわしてくれた。まさに圧倒的演奏といえよう。

 
小西ノリユキ 奥本星司

ジャコ・パストリアスとアパートを共にしたこともあるNY育ちのベーシスト日野を加えての今回のバンドはいつになくファンキーなカラーを押し出したものとなり、奥本サウンドの新たな一面を見せたステージだったといえよう。これから大阪、東京を中心に活動を展開してゆくスーパー・キーボーディスト"奥本亮"に要注目である。


>> RYO OKUMOTO WORLD TOUR "COMING THROUGH" 2004決定 <<

US ツアー (11. 13 - 11.20 詳細近日発表)
ヨーロッパツアー (12.1 - 12.11 詳細近日発表)
日本ツアー(12.15-12.23 詳細近日発表)
詳細はオフィシャルサイトへ



Musicians:


奥本亮 / Ryo Okumoto(Keyboards)
使用機材)
[Keyboards] KORG: CX-3,TRITON STUDIO 61 keys, YAMAHA: P-250, CASIO: AZ-1
[Speaker] Leslie 145
[Effecters] Digitech: Wahmmy, BOSS: V-WOWほか

日野賢二 / Kenji Hino(Bass)


小田島伸樹 / Shinju Odajima(Guitar)
Sixnorth Official Site: http://www.h5.dion.ne.jp/~sixnorth/

大槻"カルタ"英宣 / Hidenobu "KALTA" Otsuki
(Drums)

斉藤力 / Riki Saitoi(Sax)
Sixnorth Official Site: http://www.geocities.jp/elektricricky/
使用機材)

H.Selmer MarkY No,171683
mouthpiece ClaudLakey 5*3, Reed Vandoren JAVA 3 1/2

Guests:
小西ノリユキ / Noriyuki Konishi(Vocal)
奥本星司 / Sage Okumoto(Drums, Vocal)




< Set List >

Free Fall
LA Express
Guanabara Bay
So Many Dreams
Crystal Highway
Not in My Heart
Godzilla vs King Gidalah
Havana Slam
Coming Through
Get Out of My Life
Solid Gold

Encore)
Original View


Report by Tatsuro Ueda
Photograpy by Asako Matsuzaka, Yoko Ueda
Edit & Design by Asako Matsuzaka
Special Thanks to Chiyoko Noguchi, Morph


Message from Musicians...


※メンバーのみなさんからコメントをいただきました。


奥本亮
今回のライブのハイライトはやっぱり星司のドラム。特に彼が歌いだした時の客の盛り上がりが凄かった。谷村新司さんにも来ていただくことができ、おなじみの顔もたくさん見られ、もう何も言うことがなかった。欲を言えばやっぱりもっとリハに時間をかけて、いつも同じメンバーで演奏したいと思う。

日野賢二
So much fun and Challenging gig. My First time playing with Ryo, we had chemistry and telepathy. The second time playing, it was same thing. In the gig, I knew every aspect of his musicianship and as a composer. I hope we can play again someday!

とても楽しくてチャレンジングなギグでした。初めて亮さんとプレイした時、お互いに共感をもち、テレパシーを感じました。そしてそれは2回目も同じでした。このギグで、彼のミュージシャンとして、そして作曲家としての全ての才能を知りました。またいつか、一緒にプレイしたいと思っています。

斉藤力
今回、初めて亮さんとご一緒させていただきましたが、とても刺激的で楽しく演奏できたと思います。またどこかのステージで一緒に弾きたいです!!



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