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LIVE REPORT


AS WE SPEAK
4th May, 2004 at Motion Blue yokohama


そこにあるのは、深くて強力、そして最高に心地よいグルーヴ。AS WE SPEAKは “究極のグルーヴバンド”だった。


AS WE SPEAKは“究極のグルーヴバンド”だった。この日のオープニングはデオダートの名曲、グルーヴィな「Skyscrapers」。1曲目から実によい感じの、しかも密度の濃いグルーヴに包まれた。スタートから白熱したのは、沼澤尚と大儀見 元のリズムバトル。大儀見がコンガを打ち鳴らせば、沼澤が基本リズムパターンにシンバルやスネアで様々なアクセントをつける、といった手法で応える。2人のストロークが密度を増し、盛り上げていくあたりはさすがであった。

続く「Those Girls」では、各メンバーが自由なアプローチで、思い思いの表情をみせた。特に大儀見のプレイは巧みである。様々な音色を叩き沸け自在に表情をつけていった。「Skyscrapers」でも伸びのよいオルガンサウンドが印象的だったが、この曲でも森 俊之のプレイは冴えをみせる。リズミックで小気味のよいアプローチから次第にダイナミックに展開した白熱のプレイが素晴らしい。浅野祥之はブルージーで歌心満点、渾身のギターソロを聴かせた。

そして、このバンドの真骨頂がよりくっきりと見えてきたのは「Easy for You to Say」以降の後半である。ひたすらシンプルに8ビートを刻む沼澤。シンプルな8ビートをこれほどカッコよく叩く人を他に知らない。なんというか、押さえてほしいリズムのつぼを、完全にとらえたドラミングである。他のメンバーも「ひたすらリズム」という感じで、バンド全体でシンプルに刻んでいるのだが、そこから生まれるディープなグルーヴは、一種トランス状態に誘う。オーディエンスもたまらず立ち上がってリズムに身を任せる。展開される各自のソロもグルーヴの波にのってリズム中心に展開され、よりトランスっぽさを煽っていた。

この日のステージ、特に圧巻だったのが各曲で展開されたDs &Perのリズムバトルなのだが、ここ3曲目にきて、いよいよ最高調に達した。バトルというよりも、むしろリズムアンサンブルというべきか、機知にとんだストロークの応酬、絶妙の間合い、会話するように互いに呼応しながら、多様に変化し続け、凄まじいストロークを叩き出していった。

グルーヴの熱とバトルの熱狂に包まれた「Easy for You to Say」の後は、組曲のような変化を見せた「All You Can Eat」へ。もはや理屈ではなく、原始的な大地を感じるグルーヴに覆われる。ベースの沖山優司は全体的に派手なプレイこそなかったが、この強力なバンドグルーヴをガッチリと下から支え、存在感あるプレイを聴かせた。そして延々と続いたリズムのうねりは、浅野のギターソロをきっかけに強烈なグルーヴそのままにバンド全体が色づいていき、サウンドに厚みを増していった。

後半は下降するベースラインにのってバンドが弾けた。オルガンのリズミックなラインと歯切れの良いギターカッティング。流れるようなティンバレス。語るように表情豊かなコンガ。そして森のオルガンソロは冴え渡り、スピーディに勢いよく飛ばす。地面を揺るがすようなサウンドの中で迎えたエンディングは怒涛のようであった。

この日は、まだたっぷりアンコール2曲が用意されていた。ノリのよいリフではじまった「Root Down 〜 Fire」と続いた1曲目。痛快なオルガン。森はEPソロでもアイデア豊かなプレイを聴かせた。このアンコールでも表情豊かなコンガソロからドラムスとのアンサンブルへと激しく展開していった。

大儀見のプレイは時に囁くように、時に激しく、しなやかなタッチで音色を叩き分ける。そして沼澤のドラミングはバランスが素晴らしく、軸がぶれることがない。そこから叩きだされるストロークには安定感とともに、意思の強さが感じられる。その存在感のある一打はオマー・ハキムを思い出させた。

ラストナンバーは、今までの熱をさますような、ゆったりとしたチューン「Every Night」。落ち着いた雰囲気のなか、浅野の奏でるギターのメロディが、熱気を押さえるように穏やかに流れる。やさしくおだやかなサウンドに包まれてステージは幕となった。

このバンド、まずグルーヴ、ひたすらグルーヴィなのである。メンバー全員が自在にジャムりながらも、ひたすらグルーヴすることに集中しているようだ。もの凄いソロプレイですら、なぜかグルーヴ感をより煽るための、ひとつのきっかけのように感じられる。そして各メンバーの出す全ての音が、絡み合いながら生み出されていくビート、グルーヴはより深く、とどまることしらず、強力になっていく。

メンバー全員が楽しそうにグルーヴしていて、それが自然にオーディエンスに伝ってくる。ナチュラルなビートの心地よさを感じさせてくれる、気持ちのよいバンドだった。これから本格始動するというAS WE SPEAK。これからの展開が楽しみである。


Musicians:
沼澤 尚(Drums) Official Site: http://eltaso.org/taka/top.html

浅野祥之(Guitar) Official Site: http://www.geocities.jp/bounce_beat/butchertop.html

,森 俊之(Keyboards) Official Site: http://www.azuritelab.com/

沖山優司(Bass)

Guest: 大儀見 元(Percussion) Official Site: http://www009.upp.so-net.ne.jp/torisang/arroz/


<Set List>
1. Skyscrapers(Eumir Deodato)
2. Those Girls(Toshiyuki Mori)
3. Easy for You to Say((AS WE SPEAK)
4. All You Can Eat((AS WE SPEAK)

Encore)
1. Root Down 〜 Fire(Jimmy Smith)
2. Every Night(Paul McCartney)

レポート:Asako Matsuzaka
取材協力:
Motion Blue yokohama, Golden Kids

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