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Shinjuku PIT INN Special 6days 梅津和時 『プチ大仕事2004』 -
DANGER
March
24th, 2004 at Shinjuku PIT INN
うねりをあげるDUBサウンド。圧倒的な清志郎のヴォーカル。
DANGERはこのうえもなく強力で、感動的だった。
梅津和時 ミニインタビュー
この日、新宿ピットインのステージに立ったのはDANGER・・・DUB(どくとる梅津バンド)、そして忌野清志郎である。これはフリージャズユニットDUBと忌野清志郎がコラボレーションしたバンド。今回、梅津和時6daysの1日として登場したのだが、なんといっても忌野清志郎である。「この強力なサウンドが、しかも新宿ピットインで聴ける!」・・・これは取材しなければ、と思いたち、今このレポートを書いている次第である。(梅津和時6daysで、新宿PIT
INNにDANGERが登場するのは昨年に続いて2回目)
会場はオープンと同時に、今日のステージを心待ちにしていたファンであっという間にいっぱいなる。比較的高い年齢層を予想していたのだが、見渡してみると若者から往年のRCファンまで、実にさまざまである。
ファーストセット、まずはDUBが「Pop
Up 」を演奏。DUBのサウンドには、半端ではない強靭さがある。突進するようなドラム。骨太のベース。そして豊かな表現力と同時に刃金のような強さを合わせもつ2本のサックス。梅津はソプラノとアルトを同時に吹き、ハーモナイズさせる技も披露。「Pop
Up」は、これらの音が絡まりあうように勢いよく展開した。
梅津和時(Cl, S.Sax, A.Sax) | 忌野清志郎(Vo,G) | 片山広明(T.Sax) |
「新宿に行くのなら」から、キーボードに新宿ピット初登場という厚見玲衣が加わる。ブルージーなイントロにのって奏でられる小気味よいオルガンはさすが。そして、ステージ袖からエレアコを弾きながら、鮮やかなブルーのコスチュームの清志郎が登場。味のあるギターソロを聴かせたあと、「新宿に行くのならピットインに連れてってくれ・・」といつもの清志郎節でシャウト。そして今度は、そのヴォーカルにDUBサウンドが絡みつき、強力なアンサンブルになっていった。
そして独特な空気感、タイム感を味わった「チモール」のあとは「Melody」へと続く。清志郎は高く透明感のあるヴォーカルで、語りかけるように、少し切なげに歌い上げた。
「上品な猫みたいな」では梅津がピアノに向かう。落ち着いた雰囲気のなか、清志郎も柔らかなトーンで歌い、静かに情感を表現する。その豊かな表現に、あらためてヴォーカリストとしての力量を感じる。そして片山広明のエモーショナルなテナーサックスソロは聴き応えがあった。
しっとりとした後はノリのよいR&R、「あの娘とショッピング」。このあたりからバンドはヒートアップし、清志郎も全開となっていく。とにかく、この人の言葉はまっすぐハートに伝わってくる。このナンバーでも、その歌唱力、表現力は素晴らしかった。
ファーストセット最後は、とにかくアレンジが面白い「貴女のお嬢さんに」。バラードだが、自然に存在する、あらゆる雑踏や騒音がうずまく中で、ぽつんと歌う清志郎・・・という設定である。そしてステージ上では・・・激しく叩きまくる菊池隆。思い思いに吹きまくり、弦を弾き続ける片山と早川。洪水のようになだれ込み、まさに騒然、ぐしゃぐしゃとなっている。その中で淡々とピアノを弾く梅津。そのピアノに合わせて、騒音などなにも無いかのように歌い続ける清志郎。一瞬、調和し始めたと思ったのもつかの間、さらに騒然とし続ける中で怒涛のエンディングとなった。「なんという思い切ったアレンジ」と思うとともに、このサウンドの中でも存在感たっぷりに歌い続ける清志郎に、またしても凄いと感じた。
セカンドセットもDUBメンバーによるインスト2曲からスタート。「デコボコ山」は、タイトル通りデコボコとした輪郭の曲。力強く奏でられる2本のサックスによるメロディーライン。梅津のプレイには独特の持続感がある。片山はテクニックを駆使して凄まじいソロを聴かせた。そして、ここでも早川の繰り出すビートは強力。他の曲でもそうだが、彼は"最初の一音"で瞬時にグルーヴを作り出す。一音の重み、説得力を感じさせるベーシストだ。ベースソロでも有無を言わせぬ迫力のプレイを聴かせた。
厚見玲衣(Key) | 菊地隆(Ds | 早川岳晴(Bass) |
2曲目は厚見が加わっての「CANAL」。ベースのロングトーンの上で、抑揚のあるハーモニーを聴かせるソプラノとテナーサックスが印象的。梅津の音色は抜けが良く美しい。豊かな表現で感動的なアドリブを聴かせた。
そして清志郎がステージに戻り、新曲3曲が演奏された。少し哀しいラブソング「愛」。心の痛みが伝わってくるヴォーカルだ。「春の嵐」では梅津がアコーディオンでサウンドに厚みをつける。清志朗の真っ直ぐ前を見つめて歌う姿が印象的。「さあ、踏み出そう最初の一歩・・・僕は待っているよ、もう一度会える日を・・」の言葉に勇気づけられた。
そして明るくテンポのよい「温故知新」では「古きを訪ね、新しきを知る・・・」と歌う。さり気ない詩、何気ないリズムなのだが、自然なメロディーにのってストレートに言葉の意味が伝わり、ぐいぐい清志郎の世界に引き込まれていく。もちろん清志郎という人は、すぐれた詩人でもあると思うのだが、彼が歌えば、どんな"言葉"でも最高の音楽になってしまうのではないだろうか?
新曲の後は耳慣れたナンバーが続き、ステージも佳境となってくる。ウィットに飛んだ、というか相当エッチな詩を、伸び伸びと爽やかに歌った「ダンスパーティー」。ここでの早川のベースソロは痛快。そしてDANGER最大のヒットナンバー「働く人々」では、梅津が超絶技巧を披露。そして本編のラストは、両サックスの少しコミカルなリフにのった、「大いなる訣別(ナンデ・ナンデ・ナンデ)」。「ナンデ、ナンデ・・」のコーラスに始まり、男の情けない(?)心情が、とてもよく伝わってきた一曲。片山のたっぷりとしたテナーサックスソロが気持ちよい。そして清志郎のギターソロはロックスピリットがあふれていた。
そして、この日のアンコール、RCファンには嬉しいプレゼントとなった。1曲目は名曲「スローバラード
」。トランペット渡辺隆雄が加わり、高らかに3本の管が鳴り響く。この曲について、なにも言う必要はないだろう。絶唱する清志郎。只々、ゆったりとした感動の中に身をゆだねた。
三宅伸治(G) | 渡辺隆雄(Tp) |
「上を向いて歩こう」で、いよいよ全体が盛り上がる。清志郎はほら貝ソロを披露。梅津は客席に乱入。菊池のツボを得たドラミングの後、全員のソロ大会を堪能した。最後を締めくくったのは、やはり「雨上がりの夜空に」。三宅伸治がギターで加わり、イントロのリフを奏でると、会場は大喜び。RCのコンサートさながらの盛り上がりで、幕を閉じた。
とにかく強力で感動的なステージだった。そしてこの力強いサウンドを作り上げているのは、気骨のある音楽魂をもったプレイヤーたちである。いつものように「どうもありがとう。アイシテマス」と叫んだ清志郎。こちらの方こそ、素晴らしい感動と勇気をあたえてくれたDANGERに「ありがとう」と言いたい。
Musicians:
梅津和時(Cl, S.Sax, A.Sax) Official Site: http://www.j-music.com/umezu/j/
(うら梅津サイト)http://webclub.kcom.ne.jp/mc/u-shi/
片山広明(T.Sax) Official Site: http://www003.upp.so-net.ne.jp/korochan/
早川岳晴(Bass)
Official Site: http://www2u.biglobe.ne.jp/~takeharu/
菊池隆(Ds)
Official Site: http://www.geocities.jp/indra_dub/
厚見玲衣(Key)
忌野清志郎(Vo,G)
Official Site: http://www.kiyoshiro.co.jp/
Guest
Musicians:
渡辺隆雄(Tp)、三宅伸治(G)
<SET
RIST>
1st Set:
1. Pop Up (DUB) < DANGER / DANGER >
2.
新宿に行くのなら*
<作詞作曲: 忌野清志郎>
3.
チモール< DANGER / DANGER >
4. MELODY< DANGER / DANGER >
5. 上品な猫みたいな<
DANGER II / DANGER >
6. あの娘とショッピング< DANGER II / DANGER >
7. 貴女のお嬢さんに<
DANGER II / DANGER >
2nd
Set
1. デコボコ山(DUB) <DO-GUWAW, IQ84 / DUB >
2. CANAL(DUB +厚見) <
ダイナマイト / DUB >
3.
愛* <作詞: 忌野清志郎、作曲:
梅津和時>
4.
春の嵐* <作詞: 忌野清志郎、作曲:
梅津和時>
5.
温故知新* <作詞作曲: 忌野清志郎>
6.
ダンスパーティー< DANGER / DANGER >
7. 働く人々< DANGER II / DANGER >
8.
大いなる訣別(ナンデ・ナンデ・ナンデ)< DANGER / DANGER >
ENC)
1.
スローバラード < シングル・マン / RCサクセション>
2. 上を向いて歩こう< RHAPSODY / RCサクセション)
3.
雨上がりの夜空に< RHAPSODY / RCサクセション)
* 新曲
Report
& Interview by Asako "hope" Matsuzaka
Photography by Chikako
Ozawa
Design by Asako Matsuzaka
Special Thanks to U-shi、Babys、PIT
INN, Shinjuku
梅津:
楽しかったですね。DANGERはプロモーションやイベントなどはやっていたんですが、あまりライブはやっていなかったんです。ライブハウスでやったのは去年(2003年
新宿PIT INN)が初めてです。今回は最初、もう少しジャズっぽく落ち着いた感じにしてみようかと思っていたんですが、我々がやると、やっぱりこうなるというか、ロックになってしまいました(笑)。
Q:今日は新曲もありましたが、これからのDANGERとしての活動は?
梅津:
できればやってみたいと思っています。私自身の気持ちとしては、清志郎くんと何か作ってみたいと思っています。
Q:梅津さんからみて清志郎さんは、どんなヴォーカリストですか?
梅津:
稀有なシンガーですね。日本で一番好きなシンガーです。素晴らしい詩人でもあり・・・ずーっと好きなヴォーカリストです。
※今後、梅津和時さんのフルインタビューも掲載させていただく予定です。
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