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REPORT
NANIWA EXPRESS 正式復活祭東京初公演
NANIWA EXPRESS本格始動!
会場はフュージョン界のツワモノたちによる超強力なフュージョンサウンドに包まれた
23rd, August 2002 at STB139(http://stb139.co.jp/)
Member:
清水興(B)、岩見和彦(G)、中村建治(Key)、青柳誠(Key, T.Sax, S.Sax)、東原力哉(D)
清水興さんからメッセージをいただきました!
NANIWA EXPRESS本格始動である。この日を心待ちにしていたファン、そして"伝説のバンド"を初体験するオーディエンス、期待感いっぱいで見守るすべてを、その超強力なフュージョンサウンドが包み込んだ。
このバンドについて語るとき、どうしても「強力」「骨太」「迫力」・・・といった言葉を使いたくなる。メンバーはすべて第一線で活躍するプレイヤーたちであり、表現される音楽も幅広い。それでもつい、硬派なイメージがまず浮かぶ・・・彼ら"ツワモノたち"がステージに並ぶ姿は、それほど力強く、カッコイイのである。
この日、スタートは「Sonic Boom」。タイトなリズムに乗って青柳のサックスがクールなメロディーを奏でる。さすがと思わせる東原&清水のリズムセクションががっちりと全体を支える。バンドアンサンブルもとてもバランスがよく、聴いていて心地良い。岩見のギターソロは序盤から熱がこもっていた。
東原力哉(D) | 清水興(B) |
2曲目「Between The Sky & The Ground」ではイントロとともに歓声が巻き起こった。さらにタイトに刻まれるシャッフルビートがカッコイイ。青柳のエレピが効果的に響き、岩見の奏でるテーマメロが一層スピード感を増す。サックスに持ち替えた青柳による渾身のアドリブプレイを堪能した後は、聴き応え(見応え)たっぷりの岩見&中村のソロバトル!中村はショルダーキーボードを巧みに操る。途中「Black
Night」のフレーズも飛び出し、大いに盛り上がった。
青柳誠(Key, T.Sax, S.Sax) | 岩見和彦(G) | 中村建治(Key) |
2曲終ったところでお待ちかねのMCタイム。清水の「新人バンドらしいさわやかな演奏を・・・」という台詞が場内で大受け!「NANIWA再スタート」「レコーディングにも入る」とのニュースも盛り込みながらのトークで、メンバーも観客もすっかり和んだ。
一呼吸置いた後、青柳のエレピが静かに、美しく流れ、「The Statue of Liberty」へ移る。気持ちよくスイングする中、中村が洒落たフレーズを重ね、瑞々しい音色でオルガンを唸らせる。「The Statu of Liberty」(自由の女神)のごとく、明るく自由な雰囲気に満ちた曲である。
そして続く「Eleven」は青柳の新曲(清水による「作品NO.11あらためEleven」の紹介でまたまた大受け!)。東原が刻むアップテンポのビートにのって全体のテンションが上がっていく。繊細なキメのフレーズとゆったりしたギターメロディーが好対照をなす。そして青柳のエレピソロは圧巻。鍵盤を縦横無尽に駆け巡る指。エキサイティングなプレイを存分に堪能した。
「Friends」は中村のバラード。美しいストリングスが響く中、青柳のソプラノサックスと清水のベースが柔らかな音色で静かにテーマをとる。岩見の奏でる繊細なフレーズが心に染み入る。聴くものをやさしい気持ちにさせるバラードだ。
"ゴングを鳴らす"東原 |
静けさの後は清水のベースソロ。強力なスラッピングで重低音を響かせて、ぐいぐい引っ張っていく。そこから生まれるグルーヴにのって自然と手拍手がおこった。清水の奏でるベースに合わせて静かにストリングが鳴り出し、「OLINO」へ導入。中村が伸びのあるシンセサウンドでテーマを奏で、やがてアドリブプレイへと入っていく。中村のフレーズは、その一つひとが味わい深く、抜けの良いシンセの音色が全体へと広がっていった。その後、東原&清水のタイトなリズムアンサンブルをはさんで、岩見がカッティングに、速弾きに凄まじいばかりのプレイを披露。曲の後半は東原が迫力のドラミングで圧倒。この人はまるで「叩くために生まれてきたような人」だと感じる。超絶テクニックもパワフルなストロークも、"感じるまま""本能の赴くまま"に叩いてしまうかのようだ。(この曲のエンディングには、「東原がゴングにみたてたスポットライトを叩くふりをした瞬間、実際にゴングが鳴り響く」という、心憎い演出もあった。)
セカンドセットは「Oriental Makin' Love」でスタート。この曲でもイントロと共に歓声があがる。軽快なリズムにのって岩見が小気味よくリフ刻み、中村は再びショルダーキーボードを手にテーマメロディーを奏する。岩見と中村の掛け合いはなんとも楽しい。テンポにのった中村のコミカルなプレイが印象的。
タイトな16ビートがうねるようにグルーヴしていく「My Lover Soul」。岩見がセミアコで軽快にメロディーを聴かせ、また自らのギタープレイとユニゾンでスキャットも披露。東原の流れるようなドラミングにのった、清水の気迫に満ちたベースソロは迫力満点。
2階席で熱演の青柳 |
MCによるインターバルを挟んでの「Blue Willow」は甘いサックスの音色とメロディーが印象的な美しいバラード。岩見のギターソロは静かだがエモーショナル。曲が一旦静まり、青柳がサックスソロに入る。卓越したテクニックを披露した後、「愛の賛歌」を奏でながら客席に入る。"ちゃめっけ"たっぷりに、観客を笑わせながら、(客とメンバーのリクエストに応え!)なんと2階席の隅々まで歩きながらプレイ!(場内は大喜び!)
場内が大いに沸いた後は、岩見の新曲「Epilogue」。アコースティックギターによるアルペジオを静かに響く。空気全体が中村の奏でる広がりのあるストリングスに包まれ、岩見がメランコリックなメロディーを弾く。青柳のエレピソロはセンシティブな感性にあふれている。とても静かな感動を呼ぶバラードだった。
しんと静まり返った後、東原が激しいサンバのリズムを叩き出す。明るく軽快な「Manhattan Express」。青柳が軽妙なフレーズをスピーディーに、次から次へと繰り出す。そして圧巻は東原のドラムソロ。全身を躍らせるようにしてバランスをとりながら、パワフルに、テクニカルに、嵐のようにストロークを叩き続ける。もの凄いプレイであった。
またしてもイントロからの全員手拍子は、お待ちかねの「The KOYA-Samba」。会場全体が踊るようにリズムに乗っている。ザクっとした岩見のカッティングがカッコいい。そして続くギターソロでは感情を全身で表現しながら白熱のプレイ。後半、バンドはさらにエキサイトしていき、そのままエンディングへとなだれ込んだ。
熱烈なアンコールに応えて演奏したのはまず「Believin'」。踊りだしたくなるようなリズム、気持ちよく伸びるギターメロディー、心憎いまでのサックソロ、そしてギターソロ、すっと聞きつづけていたい、と思わせるサウンドだ。そして2回目アンコールでは「Meteor」を演奏。スペイシーなシンセがうねり、ギターアルペジオが鳴り響く。清水が深く柔らかみのある音色でメロディーラインを奏でる。どっしりとしたグルーヴにのってゆっくりと感動的に、この日のラストナンバーは進んでいった。
迫力と感動に満ちたそしてとても楽しい時間だった。彼らの素晴らしいところは、これだけの物凄い演奏を、楽に肩の力を抜いて、本当にごく自然に聴かせてしまうところだ。今後レコーディングも予定されているというNANIWA EXPRESS、今後の動向から目が離せなくなりそうだ。
---- SET LIST --
1st Set
1. Sonic Boom
2. Between The Sky & The Ground
3. The Statue of Liberty
4. Eleven
5. Friends
6. Olino
2nd Set
1. Oriental Makin' Love
2. My Lover Soul
3. Blue Willow
4. Epilogue
5. Manhattan Express
6. The KOYA-Samba
Enc)
Believin'
Meteor
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清水興さんからメッセージをいただきました!
いよいよNANIWAの再始動が始まった。2年前の限定復活ツアーの際に再スタートを切る心構えはメンバーの間では既に確認出来ていた。とは言え、さすがにそれぞれがベテランと呼ばれるようになってしまった今日この頃、関わっているプロジェクトも数多く、なかなか足並みをそろえることが出来なかったのは事実だった。こうしてオリジナルメンバー全員でスケジュールを合わせることが出来るようになるまで、これだけの時間が必要だったのは仕方の無いことだったのかも知れない。
今回もツアーを前にして合宿を行なった。その時点で、このツアーが前回までのものとは大きく変わるであろうことは容易に想像がついた。もはや俺たちには同窓会的なお祭りムードはない。そこにはアマチュアバンドにも似た、大いなる野望に満ちたおっさん達の姿があったのだ。今回はツアーのみならずレコーディングも並行して行われている。既に3曲ばかりトラッキングしたが、今までのNANIWAには無かったアプローチもしているので期待して欲しい。10月にもスタジオにこもる予定だ。年明けあたりに発売できればと思っている。
FUSIONシーン全盛の80年代初頭にデビューしたNANIWAだったが、今後はJAZZ/FUSIONシーンにとらわれることなく、幅広くコンテンポラリーなものに挑戦して行きたいと思っている。個人的にもDJやラッパーなど若い世代のアーティスト達との交流が最近目に見えて増えてきている。このような世代を超えたアイデアがスパークすることによって我々のキャリアがより輝きを持つことを信じて疑わないのだ。(清水興)
Report by A.Matsuzaka
Photographs by T. Yamaguchi & A.Matsuzaka