LIVE
REPORT
Nelson Super Project
音楽を楽しむ達人たちが集まった、究極のバンド! Nelson
Super Project!
Report: 4th, June 2002 at
STB139(http://stb139.co.jp/)
Photographs: 3rd June 2002 at STB139
Member:
土岐英史 (Sax) / 三谷泰弘 (Vo) / 佐々木久美 (Organ, Vo) / 国分友里惠 (Vo)
青山 純 (Dr) / 伊藤広規 (B) / 佐橋佳幸 (G) / 重実 徹 (Key) / 難波弘之 (Key )
Nelson Super Projectオフィシャルサイト:
http://www.esqlink.com/nelson
* Nelson Super Project オリジナルアルバム「Nelson Magic」についてはこちらをご覧ください。
メンバーのみなさんからコメントをいただきました!
Nelson
Super Project="山下達郎のツアーサポートメンバー"・・・その"あまりの仲のよさ"が昂じて結成されたスーパーバンド。ずらりとならんだ実力派ぞろいのメンバーはなんとも豪華だが、このバンドの一番の魅力は、「とにかく明るくて楽しいバンド」だと言うこと!彼等は一緒に演奏することを本当に楽しんでいる。だからそれを見て、聴いていると、こちらまで楽しくて、とてもハッピーな気分になる。
この日、STB139でのライブは、今回のツアー最終日(別名、パラサイトツアーとも言われたらしい)。とにかく、早々に完売となったチケットを手に入れたファンは、期待いっぱいで開演をまっていた(この日はワールドカップ日本初戦の日。六本木の風景も一変していた)。
タイトなリズムが響き、ファンキーなノリの「Work To Do」でライブスタート!定評のあるヴォーカル・ハーモニーには美しいだけでなく、確かな実力に裏付けられたパワーを感じる。そしてリードをとる三谷の日本人ばなれした表現力に改めて驚かされる。土岐、難波、佐橋、重実と、1曲目から気合いの入ったソロの応酬で、まずはステージ上が大盛り上がり!
続く2曲は国分がリードをとる。どっしりしたベースラインが印象的な「Oasis」。ゆったりとした空気の中で、会場は清涼感あふれる美しいヴォーカルに包まれる。そして「I
Can Say I Love You」・・・"抱き合って喜び合えるような、平和がもしも音を立てて崩れても、変わらない永遠"・・・やさしく語りかけるように歌う国分。この曲はじっとその歌詞に聴き入り、その意味を考えたくなる。難波の奏でるメロディカはシンプルなラインに込められた憂いが心に響く。
国分のヴォーカルを堪能した後は、佐橋作曲の「"T"」と「さよならが言えない」。「"T"」はさわやかなで軽いタッチのインストゥルメンタル。その中で難波のエレピと土岐のサックスが味のあるアドリブを聴かせる。「さよならが言えない」でリードヴォーカルをとるのは佐橋。彼のソフトで暖かいヴォーカルを聴いていると心が和んでやさしい気持ちになる。
横ゆれグルーヴが心地よい「Love Glows」は国分と三谷のデュエット。2人のハーモニーは本当に気持ちがよくて、ずっといつまでも聴いていたくなる。低音中心に展開される難波のエレピソロと、響き豊かな土岐のサックスがおしゃれでアンニュイな雰囲気を盛り上げる。
国分友里惠 (Vo) | 佐々木久美 (Organ, Vo) | 三谷泰弘(Vo) |
「Lesson
#1」では、佐々木のファンキーなオルガンをフューチャー。シンプルなリフのライン、緊張感漂うタイトなリズム、佐橋のトリッキーなソロはエキサイトして止まるところを知らず、土岐の自在なフレーズ、テクニックは聴き応え十分。そして重実のエレピソロは切れ味鋭く、感性豊か!特に彼の鍵盤タッチコントロールは素晴らしく、どれほど激しくプレイしてもバランスが見事にとれている。とにもかくにも、佐々木のパワフル&ソウルフル!大迫力のプレイに圧倒された1曲だった。
ここでメンバー紹介のMC。1人ずつステージに登場して「初めての六本木」をお題目に語ったのだが、特筆すべきは青山純コーナー。彼が登場するとイスが用意され、そのMCの間、ステージ上ではメンバーたちがひたすらBGMを奏でる・・・この微笑ましい光景は場内に大受けだった。
MCで和んだ後は「浮気なルナ」、佐々木は「Lesson #1」からがらりと雰囲気を変え、ポップで軽快なリズムにのって、"可愛らしさいっぱい"のリードヴォーカルを聴かせた。実を言うと、佐々木久美というヴォーカリストを初めて聴いたのは、今回発売されたCDの「浮気なルナ」が初めて・・・てっきり「いつも可愛らしく歌う人」だと思い込んでいた私にとって、実際の彼女、その底知れないパワーを秘めた実力には感嘆してしまった。
ステージもいよいよ大詰めを迎えての「Dadly」は重実作曲のハードロック・インストゥルメンタル。重実の重厚なオルガンが鳴り響き、佐橋がそのハートのままに全身で熱くプレイする。そして難波のシンセソロ。シーケンシャルを縦横無尽に操り、次々とかもしだされるフレーズはスリリングでエキサイティング!彼のシンセサイザーを聴いていると言葉を失ってしまうことが、しばしばあるのだが、この日、とっさに思いついたフレーズは、"輝かしいばかりのシンセソロ"だった。
重実 徹 (Key) | 難波弘之 (Key ) |
テンプのよい「Freeway Of Love」。まずイントロで土岐の渋くてジャジーなサックスソロを堪能。重実がガリッと歪ませたオルガンでカッ飛んだ、ハードなソロを激しくプレイし、佐橋のギターはさらに勢いを増す、難波はシンセで自在に遊ぶように、バラエティに富んだフレーズを聴かせる。
「Freeway Of Love」に続いては、ベース&ドラムのリズムセクション・デュオ。完璧なジャストタイミングであくまでもタイトな青山のストローク、そして伊藤のチョッパーを聴かせた重低音。複雑なリズムパターンとブレイクをピタリと決めるコンビネーションはバツグン!
ライブを締めくくるのは「Our Music」。ファンキーなグルーヴにのって聴かせる、厚みのあるヴォーカル・ハーモニーが見事!三谷は、その声量と音域で幅のあるリードを聴かせる。会場一体となって盛り上がった。
伊藤広規 (B) | 青山 純 (Dr) |
佐橋佳幸 (G) | 土岐英史 (Sax) |
アンコールの1曲目は待ちに待った「We Are Nelson」。佐々木がパワフルに会場全体をリードする。各メンバーのソロ回しに続いて、会場全員で「Ne, Ne, Nelson・・・」の大合唱!
この日のアンコールには、"とっておきの趣向"が用意されていた。難波得意の「山下達郎のまね」に続いて、なんと山下達郎本人が登場!その瞬間、会場の興奮は最高潮に!興奮さめやらぬ中で山下をフロントに迎えて2曲が演奏される。1曲目は渋いブルースナンバー「The Thrill is Gone」。佐々木のオルガンが再びヒートアップし、土岐はいぶし銀のようなプレイを披露。山下は気だるい雰囲気を漂わせて歌い、弾く。彼の手にかかると、どんなスタンダードナンバーも「自分の歌」にしてしまう・・・まるで「歌うために生まれてきたような人」だと思う。もう1曲は「Whiter Shade Of Pale」、本当に幸運なことに、これで2回も彼の歌う「Whiter Shade Of Pale」を聴く機会に恵まれたわけだが、聴くたびにあたらな感動を覚える。
この日のライブ、本当のラストソングはメンバーからの感謝をこめた「Thank You」。総立ちの会場は大合唱+手拍子で熱気あふれるエンディングとなった。
あっと言う間の2時間強だった。理屈抜きで音楽を楽しむ空間。あらゆるジャンルの曲が次々と飛び出し、最高のパフォーマンスに驚嘆し、堪能する。彼等のステージはアルバムタイトルのとおり、まさに「Nelson
Magic」だったのである。
---- SET LIST --
1. Work To Do
2. Oasis
3. I Can Say I Love You
4. "T"
5. さよならが言えない
6. Love Glows
7. Lesson #1
8. 浮気なルナ
9. Dadly
10. Freeway Of Love
11. Our Music
Enc)
1. We Are Nelson
2. The Thrill Is Gone
3. Whiter Shade Of Pale
4. Thank You
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メンバーのみなさんからコメントをいただきました!
Question: あなたにとってのNelson Super Projectとは?
伊藤広規:
お砂場だね。
メンバーたち:うん、お砂場だね!
伊藤:
今日はお山作っちゃった〜。トンネルほろうって・・・。「なかなかバンドを組めないような人達がバンド作っちゃったって」いう感じかなあ・・・。恥ずかしいくらい仲がいい・・・。あんまり仲いいと先がこわいっていう感じだよね。でも皆それぞれ、一癖も二癖もある人ばかりだから、大丈夫でしょう!
国分友里惠 :
さっきお砂場って言っていたけど、そういうのもあるし、なんか不思議だなあ、って・・・うまく言えないですけど、偶然に生まれたような、そうでもないような、でも遊び感覚でここまで来るっていうのも珍しいと思うんですよ。聴いている人に楽しめてもらえたら、私達もうれしいです。ツアーも楽しかったので、これが明日で終わってしまうと思うと、ちょっと寂しい感じがします。
重実徹:
まず楽しくて・・・安らぎとともに、鍛錬の場でもあります。
難波弘之:
一緒にやっている時間が長いですよね。特に2月からは、家族より長い時間一緒にいるから、家族みたいなものかな。あとやっぱり、もう40代、50代なのに、そうとは思えないようなことでずーっと笑っている、というバカな集団(笑)。
土岐英史:
兄弟みたいなものかな。珍しく仲が悪くならない、適度な感じで・・・でもみんな、無理してないから。誰も「これ一本にかけている!」っていう感じじゃないでしょう?(笑)まあ、遠足か修学旅行みたいなもんですよね。
佐々木久美:
変なバンド!変なバンドとしか言いようがない。
メンバーたち:なあんでだ?
佐々木:
変なヤツがやってるから!(笑)あんまり説明するようなこと無いですよ。ただ、へんな気をつかわなくていいというか・・・全然、気を使っていないっていう意味じゃなくて、"自分のまま"、"自然のまま"でやっていて、それで成り立つバンド。「こんなことすると、次から呼んでもらえないかなあ」っていうことがないから(笑)。みんなで同時にやっているんで大丈夫かなって(笑)・・・こう、羽交い締めにされていない感じ。こんなこと言っていいいのかわからないけど、みんなの意識の中に"ビジネスの部分"があまりないからじゃないですか?(笑)
難波:
自分が演奏していなくても、聴いているだけで、見ているだけでも面白い!(笑)
佐々木:
見ているメンバーも、一緒にそのステージに立っているんで・・・「みんなでバンドやらない?」っていって始まったバンドじゃないからね。
難波:
自然発生したカビみたいなバンド・・・(笑)
メンバーたち:みたりん(三谷さん)が無理やりあいていることを押さえたバンドだから(笑)。
(三谷さんがリーダーなんですね?)
佐々木:
リーダーじゃないんですよ、社長なんですよ。
三谷泰弘:
そもそも、RAGでセッションしようって言い出したのは土岐さんで、なんかみんなで責任をなすりつけているようですけれど・・・(笑)。一年越しだったんです。98年から99年の達郎さんのツアーが終ったあと、「すぐ京都のRAGでやろう」って言っていたのが、スケジュールがあわなくて、まるまる一年あいた後にRAGで2日間のライブやったんです。
それまではみんな、それぞれが達郎さんのサポートメンバーとしてのプロフェッショナルなミュージシャンシップが表面に出ていて、それはそれで素晴らしかったんだけど、初めてセッションをやった時、もっとレアな、"地の部分"をみんなが出してきて・・・それも"思いやりを持ちながら、音楽的な部分も含めた個性を、すごくうまく出せる人たち"っていう感じで、そのセッションがすごく楽しかったんです。そこで、「またやろう!」と始まったバンドなんです。
最初の"すごく楽しい気分"っていうのを、みんながずっと持ち続けていて、CDなんか作るつもりはなかったんですけど、「このままライブだけ、っていうのももったいないな」という思いがすごくあって、で、僕が旗振って、みんなでレコーディングをやったんです。
本当に自然発生的に始まって、CDまで出来ちゃったんですが、逆に考えると、"そこがこのバンドのすごく大事なところ"で、さっき久美さんも言ってたけれど、"ビジネス的な部分"が出てきてしまうと、その瞬間に「どうしても違うもの」になっちゃうんですよね。だから、それを"すごくうまくコントロールしていく必要が常にある"っていうか・・・。
ただメンバーみんな、それはよく解っているんで、決してそういう風にはならないと思うし、何かが起きそうになっても、みんなで軌道修正ができるような感じ。そこがやっぱり強いですよね。ただ遊びで集まってやっていると、たぶん短命に終っちゃうと思うんだけど、それを「みんなで長続きさせていこう」という意志があって、だから仲がいいだけじゃなくて、バンド運営っていうか、そのところでも皆が微妙にテンションを引き合っている、そこがネルソンの面白さかなあ、と思うんです。
佐橋佳幸:
みんな、百戦錬磨の人たちの集まりで、達郎さんのツアーをきっかけに集まったわけなんですけれど、こんなふうに仲良くやれているっていうのは、とても本当に珍しいことだと思います。しかもツアー中にみんなが仲良くなっていくうちに、こんな風にバンドになってしまう・・・なんてことは、なかなか無いので、非常に貴重な出来事だと思うんです。先々も集まってやれたらと思っています。僕にとって皆さん、この音楽業界の先輩であるわけで、まあ、僕が一番年下なんですけれど、それでも40歳なんですけれど、それもまたバランスがいい、っていうのかな?土岐さんみたいな重鎮がいて、で僕みたいなのもいて、っていうのが、なんかバランスがよかったんだと思います。とても家族的な雰囲気になったのには、それなりの歴史もあるんですけれど、とにかく妙に安心感のある集まりです、僕にとっては。
青山純:
そうねえ、年齢もね、みんな中年以上でしょう。だから若い時のバンドっていう感覚よりも、もうちょっと楽な感じなんだけど、一番アットホームっていうの?我が家に帰ってきたっていうような感じがするんですよね、ここは。一番するかな、ほんと。佐橋君だって僕は昔から知っているし、久美ちゃんだって彼女が16歳くらいのころから知ってるし、たまたまなんだけど、そのへんの縁のある人たちが集まったっていうのが、なんか絶妙な感じですよね。
でもやっぱり三谷君に実務面の情熱があるから・・・やっぱり三谷君がいなかったら、これは出来ていなかった、本当にすごく脱帽します。ミュージシャン実務だめだもん、特にうちらはね。だからせめて今回は、「みんなで曲を書こう」って、僕は久美ちゃんとの合作で全員参加っていうことになって・・・。
最初は本当にセッションで始まったんだけど、それが結構面白かったんですよ。2回、3回ってやっているうちに、だんだん馴染んできて、みんなうまいし・・・それで三谷君は盛り上がっちゃって、「じゃ、今回のツアーの時にCDを!それしかない!」って!
僕は始め、3、4曲入りのミニアルバムぐらいかな、と思ったんですよ。ところが出来上がってみたらバリバリの11曲入りのネ、凄いんだよね、しかも短期間で・・・あれはやっぱり三谷君の力ですよね、出来ないもん、あんなの、本当にいろいろ大変だし・・・。僕はああいうパロディみたいのが好きなんだけど(「We Are Nelson」)、最初は3、4曲の中のちょこっと1分くらいのロックンロールで、「こんなバンドでーす!」みたいな感じで思っていたんだけど、どんどんレコーディングが進んでいって後半、「俺達の書いた曲、なんか浮いてないかなあ」みたいに思えてきて・・・ただ、ライブじゃすごく盛り上がるじゃないですか。だから結果は良かったんだけど。途中、みんなマジになっちゃって、凄い曲持ってくるからね、みんなねえ・・・
ここで、本番15分前・・・、本番直前までコメントしていただいたメンバーのみなさん、どうもありがとうございました。コメントをいただいている間中、ワイワイガヤガヤ、本当に笑いの絶えない楽屋でした!(Interview:
3rd June 2002)
Report & Photos by A.Matsuzaka