LIVE
REPORT
渡辺香津美2DAYS
「花の京都の音だくみ(音匠)-個性派ギタリスト三人そろい踏み-」
繰り広げられる怒涛のギターバトル!
永遠のギター小僧たちの最高にカッコイイ、エンターテインメントの幕があがった。
2001年10月31日 LIVE
SPOT RAG
MEMBER: 山本恭司、松原正樹、渡辺香津美(以上G)、清水興(B)、マ−ティー・ブレイシー(Ds)
ライブ後の一言コメントはこちら
この日の「個性派ギタリスト三人そろい踏み」は「渡辺香津美2days」の2日目“エレクトリック・デイ”としての、RAGならではのユニークな企画だ。ギタリストが 3人、それもそれぞれ全く違う個性を持った名手たち・・・。このキャスティングを見たときから「一体、どんなことになるんだとう」と興味深々であった。開演前の活気にあふれる店内は当然のように満席。期待を込めて見守る中、最強の布陣で、最高にカッコイイ、エンターテインメントの幕があがった。
まず、ファーストセット前半は渡辺香津美、清水興、マーティ・ブレイシーのトリオで3曲演奏。それぞれ面白い“演出”で空間を感じさせるバランスのよいアンサンブルを聴かせた。
特にオープニングの「Walk Don't Run」は面白かった。ベースラインは1コードD一発で、終始、(スライ&ロビー風の?)同じリズムパターンをキープ。その上で渡辺のギターが自在に遊ぶ。「007」のテーマや津軽三味線風奏法などなど、、、耳慣れたフレーズが次々に飛び出すユニークな趣向で楽しませてくれた。
続く「HABANA」はゆったりとしたタイム感で深く響くベースと美しいメロディーラインが印象的。ここでも渡辺は歯切れの良いカッティングも取り混ぜながら多彩なインプロヴィゼイションを披露。ハーモニーの妙、独創性豊かで、様々な表情を見せるメロディーライン、奇想天外とも思えるプレイだが、どんどん引き込まれてしまう。そして、そんな渡辺のプレイとは一見対照的な、あえて抑制をきかせたような細かなタッチで始まった清水のベースソロは徐々に熱を増し、密度を濃く織り成すリズムの波で全体を圧倒した。
トリオ演奏のラストは、歯切れの良いカッティングから始まる軽快な「Milestone」。マーティーが小気味よく16ビートを刻む。彼のドラミングは心地よいドライ感があり、軽やかで明るい。三たび渡辺のギターが炸裂したあと、アップテンポに乗りながらステージ上のボルテージ一気に上がった。
そして、ファーストセット後半は松原正樹が登場。彼のオリジナル3曲が演奏され、メロディアスでノリの良いフュージョンサウンドに包まれた。イントロテーマがカッコいい「Busted」。ナチュラルでヌケのよいギターサウンドが、美しいメロディーラインをより一層引きたてる。ソロパートでも滑らかなラインの美しさが際立っていた。
軽くハネたリズムで心地よくグルーブする「Can't Say Good Bye」のあとは、ファンキーな「Lady Guy」。これまたテーマメロがカッコいい!そして後半はいよいよ渡辺、松原のギターバトル!両者ともに思い思いのインプロヴィゼイションを展開させ、ステージは最高潮に達した。
松原正樹(G) | 渡辺香津美(G) | 山本恭司(G) |
清水興(B) | マティー・ブレイシー(Ds) |
セカンドセット・・・まず、ステージに立つのは渡辺香津美、山本恭司の2人。いきなり山本のギターが唸りを上げた一瞬の後、渡辺が静かにアルペジオを奏で、山本が太く強い音色でゆったり歌い上げる・・・思っても見なかったギターデュオによる、ハードなエッジの利いた「アベ・マリア」でスタート。
そしてここからは、ロックギターフリークには応えられない「名曲」のオンパレードとなる。
まずはジミヘンの「Little Wing」。山本のソウルフルなヴォーカルとギターが深く心にしみる。彼のボーカルもギターも、まさにロックそのものだ。目を閉じていると、まるで60-70年代にタイムスリップしたかのような錯覚にとらわれる。そして重みのある清水のベースが、より曲に深みを増す。
渋いブルース「Good Bye Porkpie Hat」で、音色もフレーズも対照的な2人のギタープレイを堪能した後は、もう言葉もいらない「Purple Haze」!山本のヴォーカルに応えるように渡辺のギターが激しく炸裂する。
ステージも客席も最高に盛り上がったところで再び松原が登場。これでステージ上に、いよいよ「3人そろい踏み」となった。ファンキーなグルーブ感たっぷりの「Sissy Strut」は3人でテーマメロをユニゾンプレイ!なんとも強力なメロディーラインだ。ソロもそれぞれに個性たっぷり・・・切れ味バツグンの松原、ユニークなラインの渡辺、そして山本はヴォイスとユニゾンでメロディーを奏でる。
いよいよ佳境にさしかかったところで演奏されたのは山本のオリジナル「Mars」。イントロでゆったりとした心に迫るメロディーをたっぷりと聴かせた後、曲はアップテンポに展開。またしても聴き応えのあるギターバトルを楽しんだわけだが、やはり山本のハードなギタープレイは圧巻。
ラストナンバーはサンタナの「Soul Sacrifice」。松原のメロディーが凛と響く。ソロにおいても音の並びがとて滑らかで、どんなパッセージも軽々とこなしてしまうようだ。マーティーがアップテンポでさまざまなヴァリエーションのストロークを聴かせ、いよいよ終盤は怒涛のギターバトル!これでもか、これでもかとばかりに弾きまくり、最後、全体がヴォーリューム&ヒートアップする中でフィニッシュへ!
熱気冷めるやらぬ中でのアンコールは最高にドライブする「Freeway Jam」。のっけから3人のギターが乱れ飛び、ギターバトルへ突入し、そのままカッとばしてエンディング!
本当に「聴きたいと思っていた曲」を「最高に生かした演奏」で堪能したライブだった。ヴォリュームたっぷりのメニューだったが、アッという間に時が経ってしまった感じがする。この「3人そろい踏み」、是非とも、また違ったメニューで聴いてみたいものだ。
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SET LIST
1st Set)
1. Walk Don't Run
2. HAVANA
3. Milestone
4. Busted
5. Can't Say Good Bye
6. Lady Guy
2nd Set)
1. Ave Maria
2. Little Wing
3. Good Bye Porkpie Hat
4. Purple Haze
5. Sissy Strut
6. Mars
7. Soul Sacrifice
Encore)
Freeway Jam
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From members
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ライブ終了後、メンバーの皆さんからコメントをいただきました!
「ギタリスト三人そろい踏み!」
渡辺香津美:
ギターは素晴らしい!
新しい出会いをどんどん広げていきたいと思って企画しました。山本君とは以前、共演したことがあったんですが、松原さんにも是非参加してもらいたくて・・・今回実現しました。それぞれ違う個性をもっているけど、共通するものはある。今日は「お買い得なライブ」になったと思いますよ!(メインで使用したギター:Poul
REED SMITH シグネーチャー・モデル)
松原正樹:
とにかく、こういう企画に呼んでもらってすごく嬉しかった!香津美さんとは古くからの知り合いで、マーティーとはレコーディングはしたことがあったけど、ライブは初めてだったから、すごく嬉しく思っています。(メインで使用したギター:
GIBSON ES335 1958)
山本恭司:
今夜は、みんな心行くまで弾き、叩きまくったと思うよ。お客さんも喜んでくれたんじゃないかな。普段もっと大人のプレイをする松原さんまでもがロックギター小僧化してたのが嬉しかったですね。香津美さんも、あの手この手で挑発してくるし、こういうバトルなら世界中の人達も大歓迎でしょう。(メインで使用したギター:
YAMAHA HR-custom)
清水興:
めちゃめちゃ、おもろかったよ!
マーティー・ブレイシー:
みんなスッゴクよかった!最高だったよ!
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Report & Photos by A.Matsuzaka