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Artist Press Vol. 9 > Feature: 奥本亮 -Part I-

奥本亮インタビュー <1>
機材紹介<1>
ライブレポート: Ryo Okumoto Live In Tokyo "Super Jam Session Vol. 2"(2002.12.22)


奥本亮インタビュー <1>




L.A.をベースに、世界のトップミュージックシーンで活躍するキーボーディスト、奥本亮。

20年ぶりのソロアルバム「Coming Through」をリリースし、日本での活動を再開した彼にインタビュー第1弾として、
「Coming Through、今後の活動などについて語ってもらった


- LAに拠点を移すきっかけとなった「Makin' Rock」のレコーディング、LAの音楽学校、その後のミュージシャンとしての音楽活動、そして今の日本に音楽シーンについて思われること、などはArtist Press Vol. 10以降でご紹介します -

奥本亮 Official Web Site: http://www.ryookumoto.com/
奥本亮プロフィールページ



Information !!


奥本亮 "COMING THROUGH"リリース記念
スーパージャムセッション Vol.3 (1/28)


奥本亮「バンドクリニック(1/26)」
「キーボード・プライベートレッスン(1月中)」開催

ソロアルバム「Coming Through」
レコーディングエピソード「Godzissa VS. King Ghidorah」

印象深い曲「Close Enough」
楽器と音色
ライブパフォーマンス
これから・・・




ソロアルバム「Coming Though」

これは僕のベストのアルバムなんです・・・


Q:ジャズ、フュージョン、ロック、プログレ・・・といった、さまざまなジャンルの最高にクオリティの高い作品が詰まっていますね。

奥本:
そういうアルバムをプロデュースしたかったんです。これは僕のベストのアルバムなんです。自分が一番良く出るアルバム。自分らしい音と曲と・・・自分に一番近くて良いミュージシャンを使ってベストのアルバムを作たんです。良い曲を選んで、それがジャズだったり、プログレだったり、ロックだったり・・・たまたまそうなったんです。そしてその曲が一番良くなるためのミュージシャンを探したわけ・・・全然、意図的なことは無しで自然にできたアルバム。つまり、20年間の発表されていないベスト盤です。

* Coming Through は世界中から絶賛されています。以下がレヴューを掲載してあるサイトです。
(日本語訳は、Ryo Okumoto Offisial Site >Japanese> New Release > Reviewsをご覧ください)

Reviewed by Bob Mulvey
DPRP - Dutch Progressive Rock Page
http://www.dprp.vuurwerk.nl/reviews/0239.htm

Reviewed by Keith "Muzikman" Hannaleck, November 2002
ProgressiveWorld.net
http://www.progressiveworld.net/okumotor2.html

Reviewed by Douwe Fledderus - October 2002
Prog Visions
http://www.progvisions.i12.com/reviews_uk/ro_ct_uk.htm

eSpudd
http://www.espudd.com/articles/music/ryo.php?cat=mus

User Default Page
http://freespace.virgin.net/martin.jones10/mar01.html


Reviewed by Michele Hriciso
Ryo Okumoto Offisial Site >English> New Release > Reviews



レコ-ディングエピソード「Godzilla VS. King Ghidarah」

レコーディングスタジオで会ってから15分、1回目のテイク!これ、すごいでしょう!

〜即興、ジャム、改造したハモンドB3、エフェクター:ワミー(Wahmmy)・・・「Godzilla」レコーディングの全て〜

POINT >> 「Godzilla VS. King Ghidarah」を聴きながら、インタビューを読まれるとより一層楽しめます!

Q:特にすごいと思ったのは1曲目「Godzilla VS. King Ghidarah」で、すごくスリリングですね、無駄な音が1つもなくて・・・一発どりなんですよね?

奥本:
あれはトリオだから。まず、サイモン(フィリップス)の自宅のスタジオに10時に行ったら、もうサイモンがプロツールのスタジオを自分の家でセットアップを終えていたんです。

全部きれいにセットアップしてあって、モニターバランスも全てがパーフェクトな状態で、それもサイモン1人だけなんですよ。エンジニアもアシスタントもいない。モニターのバランスって一番時間がかかるんですよ。それがもうパーフェクト。それはもう、すごかった。

サイモンは自分のベッドルームにドラムをセットアップしているんですが、ハイハットの横にプロツールのコントローラーをセットして録音できるようになっているんです。彼は叩きながら、フットスイッチでポーンッとパンチインしちゃうんですよ!

Q:すごいですね!

奥本:
すごいでしょう!で、10時15分頃、「じゃあ、とるか?」ということになって、このジャズワルツ(「Godzilla VS Ghidorah」)のベースラインとコードだけの譜面を渡したんです。



Q:奥本さんが弾かれているメロディーラインは?

奥本:
あの時にパッと作ったんです。オルガン弾いたり、ピアノ弾いたりしてるでしょう?もう即興、あの時は。これで、この曲になった。なんにもない譜面で、練習もなにも無しで。

「いくよー」ってカウントして、ベースが始って・・・もうジャムですよね。メロディー、ソロ・・・僕がどんどん変えていって、ちょっとピアノで大人しくすると、みんな大人しくなって・・・で、盛り上がったかなあ、というところでハモンドでガンガンやって・・・で終りかなと思ったときに、またメロディーで入ったら、もう急にみんなバンバン来てくれて。で、そのままどうしていいか、わかんなかった、メロディー終った時に・・・そしてだんだんフェイドアウトしていって終ったんです。会って15分後、1回目のテイク!これ、すごいでしょう!これは、なかなか出来ない!

Q:ものすごくスリルがありますね。

奥本:
“モーメント”っていうのがあるんですよね。それを掴んだから!僕は、「リズムセクションを引き出す」ということを、とてもよく理解しているから。口で言うんじゃなくて、やっている時に雰囲気で「次こう行くよ」「終ったよ」って表現すれば、みんなついてくる。もちろん、それはついて来られるメンバーとやらなければだめだけど。そうじゃないと、いちいち言わないといけない。「Bはこうで、ここで盛り上げてここでシンバルに行ってください・・・」とか、もうそこで終っちゃう・・・言うっていうことは。



Q:もうひとつ驚いたのはウッドベースのあとで入ってきたハモンドB3の音です。ものすごい音ですね。なんでそんな音が出るんですか?アルバム全体を通してハモンドの音が素晴らしくて・・・

奥本:
あんな音、聴いたことないでしょう。あれはね、普通のB3だったんです。まず上のキーボードケースに鍵盤を1段だけとって入れて、下にはトーンジェネレーターを入れたんです。そうすれば、そのまま飛行機で運べるでしょう。でないとハモンドは運べないから。

改造したハモンドB3

1つ1つの鍵盤にトーンジェネレーターが回っているでしょう。それを下から上に持っていくために104ピンのコネクターを買って、1つ1つのトーンジェネレーターからコードをつけて、かまして、ロックしてるんです。ケースで別々にしたからコネクターでつないだんです。

つまり「音」が下のケースの中にあるんです。普通のB3は音を増幅させるためにチューブの入ったプリアンプが中に入っているんですが、それをまたコネクターでつないで外に出して、下に置いた。これも、一緒に入れると重くなってしまって飛行機で運べないから。

これはヴォリューム調整できるレスリーのプリアンプで、パワーのオン/オフとレスリーの回転を変えられるスイッチがついているんです。それを足でコントロールする・・・こんなセットアップ今までないですよ。すごいでしょう!


さらにプリアンプとレスリーの間に、ボリュームペダルを噛ませている。普通はハモンドのヴォリュームペダルでヴォーリューム調整してレスリーにつないでるいるんだけど、レスリーは60ワットくらいしかないですよね、ロックするためには小さいんです。



1) プリアンプ、2)ヴォリュームペダル、3)Wammy
* 詳細は、機材紹介<1>をご覧ください

このプリアンプのヴォリュームを2ぐらいにすると、ちょうど普通のハモンドのヴォリュームなんですが、それを10にしたんです!なんにも鳴らしていないとブーンって、すごいノイズが出ていて・・・もうレスリーのヴォリュームの限界を超えているわけ、飛ぶか飛ばないかの・・・ものすごいパワーを送ってあって、それでフォワ〜って弾くと、ウワ〜〜ンって音がするわけ!それを今回初めてやったんです。スタジオで!

いつもステージでは、ボリュームを3ぐらいで歪むんです。それで気持ちよくロックできるんだけれども、サイモンのスタジオではレスリースピーカーを長いケーブルつないでガレージに置いたんですよ。僕には直接レスリーからの音が聴こえないから、「あ、これはいいや」って思って思いっきりやって・・・弾いていないところのノイズはミックスする時に全部カットしているけど・・・あれは初めて!あれはもう僕しかでない、あの音は。

このハモンドの改造にはすごく苦労した、3ヵ月くらい。ハモンドってね人間みたいなもんでね、ちょっとしたことでもうノイズがワーっと出たり、作りが難しいんですよ。だからいろいろと工夫してやっているうちに、音自体は変わっていないんだけど、なんていうのかな・・・いや、ちょっと音色は変わった、少し・・・


Q:でも間違いなくハモンドB3の音ですよね・・・私たちがB3に求める音の要素・・・瑞々しい、胸のすくような爽快感というか、そういう要素は残っていますよね。それに、これはハモンドだけのせいではなくて、奥本さんご自身がそうなのだと思いますが、ものすごいパワーがありますね。


奥本:
それを出せるんですよ。ハモンドってね、アコースティックインストゥルメンタルなんですよ。そう思っている。それだけ表現力があるから、エレクトリック・オルガンなんだけれどもドローバーがあるでしょう。倍音をコントロールできるから、すごくリアルタイムに音を変えていける。

教会のオルガン奏者なんかも弾きながらどんどんドローバーを変えていくテクニックを自然に身につけていくんです。ヴィブラートにも6つぐらいセットアップがあるんだけど、変えると微妙にトーンが明るくなったり暗くなったりするんですよ。あとはパーカッション、長いのと短いの、ノーマルとソフトとあるんです。その辺の調整でいろんな音が出るんです。


Q:あと、キーアクションで、鍵盤が下りる間にいくつかの接点があって、倍音の重なり具合で微妙なニュアンスがでますよね。

奥本:
あのね、全部で8つのドローバーがひとつ1つのキーにケーブルでつながっているんですよ。オルガンってタッチセンスがないでしょう。でもゆっくり押していくと、倍音が順々に重なっていく・・・だからタッチによってドローバーをひっぱっていても全部ならないことがある。

Q:オルガンソロのラストで、ハモンドの音がポルタメントしていますね?これはどうやっているんですか?

奥本:
このレコーディング当日に2つエフェクターを買ったんです。Wahmmy(DigiTech)とV-WOW(Boss)。

ハモンドはポルタメントができないでしょう。これはWahmmy (上記PHOTO参照)を使ってやったんです。Wahmmyを買う前は、トランスフォーマー(音圧をかえる)でやっていたんです。音圧をあげると音のピッチが上がるんですよ。ただトランスを変えると音色もかわっちゃうから、今回、Wahmmyを買ったんです。これは2オクターブ、いろんなセットアップがあって、2オクターブポルタメントできるセットと、4オクターブ上げたり下げたりできるんですよね。本当はギター用なんですよ。普通はこういうエフェクターを入れると音色も変わってしまうんだけど、でもこれは変わらなかった。これで新しい武器ができた!(笑)

本当にレコーディング当日に買って、初めて使ったわけだから、使えるかどうか心配したんだけど、「まあ、いいや」って言って、あともう1つのV-WOWもけっこう良くて、電子的なセットアップいろいろあってね。「Close Enough」のイントロのハモンドの音、この音のゆれはレスリーじゃなくって、V-WOWなんですよ。もちろんレスリーも回っていますけど。

「Godzilla」では、演奏中Wahmmyで2オクターブのピッチベンド(ポルタメント)をコントロールしていたんだけど、ラストのところは、弾きながら下の方でいろんなことをやった、Wahmmyのセッティングを弾きながらクククッかえると、音がグシャグシャになる。それがラストのオルガンの音!最後4オクターブかえるセットにして踏んでいるんです。もう大成功!

シンセが好きだから・・・ミニムーグで育ってるんですよ。だから弾きながら、いろいろとセットアップを変えていくのが好きで、変えるたびにカチャッカチャッてノイズがでて・・・それが面白い。それを今回はオルガンでやったんです。

Q:スリルとスピード感がある演奏ですが、まさに演奏中もスリル満点だったんですね。それに、WahmmyやV-WOWの導入など、思いつきがいいですね?

奥本:
思いつきというよりも即興なんですよ。考えてやるんじゃないんですよ。アクシデントなんですよ。ちょっとピッチを変えたいと思って買ったんだけど、どういうふうに変えられるのかわからなかった。想像していたのよりも、それ以上の機能がついていたから、もう即興でパッとやって、「あっ、面白いっ」て・・・それが、そのまま音に、レコーディングのテイクになって。

だから新鮮なんです。聴いていて・・・考えて何回もやってみて、「ここはこうしましょう」ってやるんじゃないんですよね。僕は即興演奏が好きで、アドリブが好きで、いろんなふうに変えていくのが好きだから・・・それを向こうでいろいろと経験しているうちに仕込まれてたんです。だからなんでも即興。メロディーも即興だし、曲も即興だし、楽器も即興。そして“マジックモーメント”をつかんで音に、テイクに入れるんです。そうしたら聴いていて「すごい」と思う。これを計画してやったら「すごい」とは思わない。

Q:曲はあるんですか?

コードとテンポだけね。楽器が決まっていて、コードとテンポが決まっているだけですよ。譜面も書いてあるのは、コードとメロディー、必要なラインなどだけ。最小限のインフォメーションだけあげて、同じ考えをもっているベストのミュージシャンと一緒にやる。「Godzilla VS Ghidorah」はまさにそれ。これはジャムですよ。「Close Enough」みたいな大曲もとり方はそういう精神です。


印象深い曲「Close Enough」

・・・サイモンのドラムが凄い!

Q: 「Godzilla VS Ghidorah」は話を聞いているだけで、スリリングですが、奥本さんご自身として、アルバムの中で、特に印象深い曲というのはありますか?

奥本:
やっぱり「Close Enough」じゃないかな。あのレコーディングやっていた時点で一番新しい作品。歌の部分は半年ぐらい前に書いていたんだけど、特にサイモンのドラムのところだとか、あの10分くらいの中の部分。あれは一番新しくできた部分で、自分では一番気に入っている。ドラムソロとオルガンソロがはいっているだけなんだけど、変わり方がメドレーみたいじゃない?実際は10分でも、あれは自然に展開しているから、長く思わないだろうなって思う。





Q:あのドラムソロ凄いですね。

奥本:凄いよね。それも普通のドラムソロじゃないでしょう。ビートが入っていて、それも普通に4/4拍子でやっているビートじゃなくって、4拍子と3拍子があるから、すごくエキサイティングで・・・サイモンにしても、凄くチャレンジなんです。普通ビートとあわせる時は、4/4拍子か3/4拍子で合わせるんだけれど、4/4拍子と3/4拍子の中のフレーズで、自分もリズムキープしながらその中でドラムソロも展開していかないといけない。もうビシーっとしないといけないでしょう。自分でやっていて凄くエキサイティング。だからあれは良い作品になったと思う。

だからね、CDを作る時は、とりあえずベストの人を集めないといけない。うまい人を集めれば良い作品になる。それはあたりまえなんだけれど。その人をやっぱり200%出してあげないといけない。そうすれば曲も光るし、みんなが楽しく演奏すれば僕の演奏も良くなる。エキサイティングなところも、フリーなところもあって・・・そういうことを考えてCDを作っていかないとね。


楽器と音色

・・・すべて即興!それ以外ない!

Q:さきほど、Godzillaのところでかなり機材についても話していただきましたが、もう少し楽器について伺います。
本物のメロトロンを使われているのを知ったとき、本当に驚いたのですが、メロトロンをはじめ、ハモンドB3、ムーグ、ジュピター・・・サンプラーではなく、あくまでも本物にこだわる訳は?


奥本:
もともと、なんにもこだわってなかったんです。Spock's Beardに入った時、リーダーのニール・モースがピアノ、キーボードとギターをやっていたんですが、Spock's Beardはプログレバンドでしょう。プログレっていうのはミニムーグとメロトロンとハモンドが入ってないと、なんなか淋しい・・・というところがあって、そこでキーボードを探していて僕が入ったわけ。どうせやるんだったら、ハモンド、ミニムーグ、メロトロンだねっていうことになって、作ったのが2枚目だから8年くらい前。そしてツアーをやっているうちに、もうそういう評判になちゃった、「奥本亮はB3とメロトロンとミニムーグ奏者」だと言うような。



Q:最初から全て本物の機材を持っていらっしゃったのですか?

奥本:
ハモンドとミニムーグだけはね。メロトロンは持っていなかったけれど、貸してくれるところはたくさんあったから。今、メロトロン、2台持ってますよ。

Q:音色を作る時のこだわりなどはありますか?

奥本:
もうそれ即興。それ以外なんにもない。音作るのも「この音は曲に合うか」とか、全然考えてなくって、もう「とるからね」って言って、ワーッとやってみて、「あ、これいい」って言う感じ、よっぽどダメだったら、またやり直すけれども、それでもう全部いける、いつも。

Q:キーボードの中で一番好きな楽器は?

奥本:
ハモンドでしょう、やっぱり。さっきも言ったけれど、あれだけアコースティック、エレクトリックの間の楽器っていうのはないからね。


ライブパフォーマンス

・・・2時間で楽しませないと、2時間で全力投球して。みんなに思い出をあげないといけない


Q:Spock's Beardの最新DVDを見ました。すごい人気ですね。ショルダーキーボードをプレイする奥本さんのパフォーマンスは迫力満点でカッコよくて、ショルダーを持ってあそこまでやってくれるとうれしくなります。

奥本:
ありがとう!そうなんです。ハデにやるでしょう!キース・エマーソンとか・・・昔はあったでしょう。それが今ない。。芸人なんだから僕達、見せてなんぼ。アルバムが良いのは、もうわかっているんだから。見て喜ばせないと、感動させないといけない。

面白いのは、いつもでかい外人セキュリティーが必ず前に来てくれて、肩車して弾きながらワーッと会場回ってくれるんです。それを一回やったら好評で、今では「俺に乗れって」みんなが言ってくれる。それでヨーロッパで有名になったんですよ僕。今プログレのサイトで、キーボード投票で5番になってるんです。



Q:ところで、10/18は日本で初めてのライブだったんですか?

奥本:
日本で、というか、僕のはじめてのライブですよ。

Q:それをうかがって、すごく意外でした。奥本さんにとってフロントに立つことの意味は?

奥本:
すごい責任でしょう。CD1枚買えるくらいの金とって、みんなに見てもらうわけでしょう?よっぽどいいものをあげないと、来てくれた人には、また来ようと思わせないと。一回で終わっちゃうし。一回きたらはじめてみるオーディエンスは、一生僕のファンになってくれるように、そこまで感動させないと。

今までは、それをするチャンスがなかったし、作品もなかったし、他のことで忙しかったし、アメリカ人になろうとしてたし・・・ちょうどね、日本に22年、アメリカに22年なんです。今、折り返し地点に来ている。今まで人のことばっかりやっていたから、これからは自分のことをやりたいんです。

Q:向こうで数え切れないのどほステージを経験されているわけですが、日本のオーディエンスについてどう思われますか?

奥本:
ロックやメタルだとワーッと盛り上がっているでしょう。それ以外は、ナタリー(コール)のショーでも「楽しんでいるのかなあ?」と思うくらい?後で聞くとみんな「感動しましたよ」、と言ってくれるんだけど、それをショーの間に出してくれないから、やっていて、「楽しんでいないのかなあ」、と思ってしまって、盛り上がらない・・・。

Q:10/18のライブは、とても雰囲気もよくて、盛り上がりましたね。

* このインタビュー後に行われた12/22のライブも、10/18よりさらに大盛況、会場一体となって大いに盛り上がりました。12/22のライブレポートは Ryo Okumoto Live In Tokyo "Super Jam Session Vol. 2"をご覧ください。



奥本:
思っていたよりすごくリラックスできた。よく知っていて頼れるメンバーだったし、初めて一緒にやったベースの樋沢さんがあんなに良かったから、やりやすくて。今度(12/22)はギターもヴォーカルも入ります。「Close Enough」もできますよ。



やっぱり歌が入ると違う。ショーの構成がよくなるからね。インストで5人立って最後まで5人で終るよりも、ベースとピアノのデュオ、トリオ、ボーカル、ロック、ジャズ、ラテンがあって・・・そうすれば中身が濃くなるし、楽しいし、飽きないでしょう?2時間がものすごく短く感じる、アっという間。2000円にしても一万円にしても、2時間で楽しませないと・・・2時間で全力投球して、みんなに思い出をあげないといけないから。

そういうショーを僕も見にいったらうれしいしね。何千回と向こうでいろんなアーティストと一緒にやっているから、オーディエンスの反応がわかる。オーディエンスからのフィードバックも受けているから、自分がやるときは「こうしよう」と思う。

Q:さきほど芸人と言われていましたが、音楽を通して表現したいことは?

奥本:
感動させたい!それが役目でしょう、僕らの。みんなができないことをね、みんなが夢に思っていることを見せてあげて、接させてあげて、元気づけてあげて、それが僕らの役目でしょう。だからこう、自分の中にこう(小さくおさまって)なっていたらダメ。もっとこうオープンにして、見なさいといって・・。僕がアメリカに行って20年でこうなったということを見せてあげないと、やればできるからって・・・

Q:そういう意味で、若い人へのアドバイスはありますか?

奥本:
一人ひとり違うからね。若い人からメールもらったりするんだけど・・・根本的に自分が思ったことをもっとやるようにしたほうがいいんじゃないかな。やっぱり根性がない。どんどんやればいい・・・。


これから・・・

・・・2年で3枚くらい。あと30枚出したい

Q:これからの予定は?

奥本:
また2枚目は違いますから。



Q:もう2枚目も予定が?

奥本:
すぐ帰ったらはじめないといけない。今度はジェフ・ベックと違う方向に行こうかな、と考えているんですよ。どうなるか全然わからないけど。いい曲を書いて、いいミュージシャンと演奏して・・・ってやっていくしかない。これからね、あと30枚くらい出したいんですよ。2年で3枚出せたらいいな、と思って。いろんなアイデアがあるから・・・


Q:作曲、プロデュース・・・そういうアイデアはどこから?アイデアに困ることはないのですが?

奥本:
ないです。とりあえず今まだ200曲くらいあるから。で、どんどん変えていくし、新しく書いていくし・・・


***コラム***
- Spock's Beard...ニールモース脱退後の活動 -

Spock's Beard Official Site: http://www.spocksbeard.com/

もちろんやります。来年(2003年)入って、すぐレコーディングして夏に出して秋にツアー。4人で、ヴォーカルはニックが前に出て歌って、ドラムをいれて。

ここまで有名になっているからお客さんもが入るし、ファンからもずーっとメールが来ていて、「応援するからがんばれ」「4人でがんばれ」って言ってくれています。

< Neal Morse脱退後のSpock's Beard
通算7枚めのアルバムレコーディング風景 >

詳細は、奥本亮オフィシャルサイト > Spock's Beardへ

 

(C) Ryo Okumoto



Q:向こうでソロのコンサートは開かないのですか?

奥本:
あ、やりますよ。今、ヨーロッパツアーとアメリカツアーを組んでいます。

Q:このレコーディングメンバーでのライブを聴きたいですね。

奥本:
もうすぐ決まりそうです。。スティーヴ・ルカサーたちと「ブルーノートでやろう」って話していて。2月にTOTOがツアー終りますから、たぶん3月か4月にやります。ワールドツアーで回って、その後また日本に帰ってきて、今度は日本のメンバーとツアーをして回ろうと思っています。

これから、自分のツアーをして、あとはSpock's Beardでツアーして、その合間にナタリーとやって・・・。まだこれから、いろんなことをやりたいんです。もう食べられるだけ食べたい、いろんなものを。よくばっちゃう。どうせここまできたんだからね、中途半端じゃなく、行けるところまで行くつもりです。

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3時間におよんだこの日のインタビュー。話していただいた内容がどれも捨てがたく、2回に分けてご紹介することになりました。ワールドクラスのミュージシャンである奥本さんは、とにかくパワフルで前向き、それでいながら考えも深く思いやりのある素晴らしい方でした。(2002.12.14 Fill Inにて)


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写真提供: Ryo Okumoto

インタビュー & 写真撮影: Asako Matsuzaka

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